スノボ
吉川 「やっぱりスノボだと思うんだよ」
藤村 「あぁ、スノー坊主ね」
吉川 「なんだその新しい妖怪は。スノーボードだよ」
藤村 「あぁ。そっち系か」
吉川 「どっち系でもいいけど、やっぱり冬はスノボだな」
藤村 「スノボならまかせてくれ。なんてったって、俺は滑ることに関してはうるさいよ」
吉川 「まぁ、確かに違う意味でよく滑ってるところを見るけど」
藤村 「ボーダーだからね。ほら、スマホだってソフトバンクだし」
吉川 「元ボーダフォンってこと? それがどうしたって感じだが」
藤村 「スノボのことなら、なんでも聞いてくれ。酢の物のことでもいいぞ」
吉川 「酢の物に関する疑問は特に用意してないんだけど、お前がスノボやるなんて知らなかったよ」
藤村 「俺はこれでも、白いおかゆと呼ばれた男だよ」
吉川 「意味がわからない。なんだ、おかゆって。大抵のいじめられっこだってもっとましなあだ名がついてる」
藤村 「雪のように白いっていう意味だよ」
吉川 「いや、でもおかゆでしょ」
藤村 「風邪引いたときとか、ありがたいという意味が隠されてる」
吉川 「それとスノボとどういう関係が?」
藤村 「馬鹿! スノボと言えば板だろ? 板と言えば板前、板前と言えば……まぁ、いろいろあっておかゆになるんだよ」
吉川 「うわぁ、ずいぶんはしょったな。もう板前の部分ですでにスノボと関係なくなってたけど」
藤村 「まぁ、またの名を、ゲレンデの王子と呼ばれた」
吉川 「うわぁ、本当かよ。おかゆとえらい違いだ」
藤村 「あ、違った。メレンゲは玉子って呼ばれてたんだ」
吉川 「全然違うよ! なんで、そんな料理説明みたいな異名ついちゃってるんだ」
藤村 「俺がメレンゲを立てる様がとてもかっこいいからだろ」
吉川 「それにしてもスノボと関係なさ過ぎる」
藤村 「スノボなんてのはね、足ですべるんじゃないんだよ。心ですべるんだよ」
吉川 「えー、いきなり精神論?」
藤村 「いいか? 心の清らかな人ほど、裏では何をやってることやら……」
吉川 「いやいや、スノボは? そんな人生の真実なんて聞きたくないよ」
藤村 「まぁ、ここで話しててもしょうがないから、実際にやってみるしかないな」
吉川 「そうだね。あ、俺、一回もやったことないんだよ」
藤村 「えー。いまどき!?」
吉川 「う、うん」
藤村 「俺なんか、二回半あるぜ」
吉川 「半はなんだ。何で滑ったんだ」
藤村 「まぁ、初心者はね、怪我するといけないから俺の動きよく見て」
吉川 「二回半のくせにえらそうだな」
藤村 「じゃ、いくぞ。ごっつあんです!」
吉川 「え……」
藤村 「どすこい!」
吉川 「なにそれ?」
藤村 「相撲モードだろ?」
吉川 「なるほど。見事にスベってる」
暗転
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