沢田の場合-3

沢田の場合-7-

「本気?」

「マジかいな?」

「…………」

 四ノ宮以外の二人が大きなリアクションをした。誰かが口火を切るとは思っていたが、その時間が思ったより短かったことと、発言者が一番若い沢田だったことに驚いたのだろう。

「本気です。僕は浅野さんを信じます」

「おいおい、青年よ。もうちょっと慎重に……」

「これ以上考えたって、答えに変わりはありません」

「けど、相手は詐欺師よ?」

 はっきりと話す沢田に、白井や佐伯が注意を促す。しかし、

「僕は、そこが間違っていると思うんです」

「どういう事や?」

 沢田は白井達に向き直って言った。

「だって、問題は『浅野さんが詐欺師』ということじゃなくて『銀行強盗をするかしないか』でしょ? 詐欺師に騙されるか騙されないかは、大した問題では無いように思うんです」

 沢田は自分の考えた結果を述べる。

「成功すりゃ万歳ですし、失敗すれば捕まる。簡単な事じゃないですか?」

「俺達を騙して、金を独り占め……なんてこともあるかもよ?」

 白井が沢田の導いた答えに反論するように、問い掛けた。

「確かに、僕も考えましたけど……それって凄く矛盾してるように思うんですよ」

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