◉ただいま〜♫おたんじょうび
◉ただいま(ビースト編)
カラカルを庇ったビーストは、噴石に挟まれて身動きが取れなかった。体も心もクタクタで、全身にまったく力が入らない。
ビーストはこれまでの事を思い返していた。
『疲れた…。目が覚めたら、私は一人ぼっちだった。それからお友達を一生懸命探したけど、走っても走っても見つからなかった。もういいや。このまま寝よう。』
しだいに意識が薄れてゆく。その時ふと、あの子の顔が脳裏をよぎった。
『迷子って、こんな気持ちなのかな。』
すると、どこからともなく歌声が聞こえてきた。この声は…。
絶対に忘れようがない、あの子の声だ!ビーストは目を見開いた。
ビーストは輝きの中を漂っていた。
上手く動かせない体を、なんとかよじって歌声のする方を見ると、あの子が笑いながら、彼女の方に両手を伸ばしていた。
ビーストが必死に手を伸ばすと、彼はしっかりとその手を握った。
あの子「おかえりなさい、アムールお姉ちゃん。」
輝きと一緒に彼の姿が消えてゆく。気がつくとビーストは、噴石から抜け出そうと必死に体を動かしていた。
外では、けもハーモニーの力で火山活動が収まり、巨大なセルリアンの渦が消滅していた。
フレンズ達はビーストを助ける為に、巨大な噴石を懸命に動かそうとしていた。すると噴石が大きく揺れ、彼女が這い出てきた。
ビーストは全身をブルブルッと震わせて、体についていた細かい石の破片をはらった。すると腕から手枷が外れ、カランと乾いた音が辺りに響いた。彼女の手と爪が縮んで、手枷が抜けたのだった。
フレンズ達は、ビーストが生きているのを見て歓声を上げた。そして口々にお礼を言ったり、彼女の体を気遣ったりした。
ビースト『私を受け入れてくれている。』
彼女は、そんなフレンズ達を見て自然と顔がほころんだ。
匂いを嗅ぎつつ辺りを見回したが、あの子は見当たらなかった。
さっきのは夢だったのだろうか?しかし、耳にはあの子の声がはっきり残っているし、手にはまだ温もりが感じられる。ビーストは自分の手をじっと見つめ、軽く握った。指が細くて華奢な手が、小さな握り拳を作った。
彼女は毛皮から絵を取り出した。それは、長い年月の間に色あせてボロボロになってしまったが、初めて会った日にあの子がくれた、アムールトラの絵だった。
「おかえりなさい、アムールお姉ちゃん。」
風と一緒に、またあの子の声が聞こえた気がした。
彼女はそれに応え、声を出した。すると声は自然と言葉になった。
アムールトラ「ただいま、◯◯(あの子の名前)」
彼女の足元に、手枷と壊れたラッキービーストの本体が落ちていた。ひび割れた本体のレンズには、満ち足りた表情を浮かべている彼女の姿が映っていた。そこから本当にかすかな声がした。
「………ビースト、ォ…、ヨロシクネ。」(ビーストをよろしくね)
◉おかえりなさい(カコとミライ、女王とセーバル)
キュルルの意識は、暗闇の中で俯いていた。
すると顔に何かが触れた感触がした。左手で触ってみると、指先が濡れていた。するとぼんやりと指先が輝きだし、泣いているカラカルの顔が浮かんできた。
顔を上げると、キラキラと輝く絵の欠片が周囲に舞っていて、そこから歌声が流れてきている。しだいにあたりに輝きと歌声が広がってゆく。そして腕に着けているラッキービーストから、「オカエリ。」という声が聞こえた。
キュルル『アレ…、僕は今まで何をしてたんだろう。』
キュルルは意識を取り戻した。
海に落ちたあたりから記憶が曖昧で、気がついたらカラカルに抱きしめられている。キュルルは呆然としながらも、なんとか現状を整理しようとした。
キュルル『ここ、どこだろう。』
あたりを見回すと、キュルルとカラカルは輝きの中にいた。頭の中はぼんやりしていて、まるで夢の中にいるようだ。
キュルルの隣には、2つの影が膝を抱えてうずくまっていた(カコ博士とセルリアンの女王)。
輝きの中から「おかえりなさい。」と声がした。2つの人影がこちらに歩いてくる。
一人は眼鏡をかけていて、羽のついた帽子を被っている。イエイヌの絵に描かれていた人だ。もう一人はサーバルと似た背格好をしている。2人は影に話しかけた。
2つの影が、それぞれ顔を上げて相手を見た。
カコ「ミライ、私は間違っていたのだろうか?」
ミライ「そんな事ないですよ、ただ一人で頑張りすぎちゃっただけなんです。」
女王「セーバル!?」
セーバル「久しぶり。もう、一人ぼっちには、させないよ。」
◉ただいま(イエイヌ編)
キュルル達の匂いを辿りながら走って来たイエイヌも、輝きの中にいた。
イエイヌ「ここは…?キュルルさーん、カラカルさーん、どこですかー?」
あたりを見回しながら歩いていると、輝きの中から人影が現れた。
イエイヌ「懐かしい匂い、まさか。」
ハッとして立ち止まったイエイヌの前に、パークの職員が現れた。
(イエイヌの隣に描かれていた男性と、ミライさんの隣の女性)
男性職員「ただいま。」
女性職員「ずっと一人にさせてごめんね。待っていてくれてありがとう。」
イエイヌ「〜〜!!おかえりなさい、ぅぁ…会いたかったぁ〜!」
イエイヌは顔をくしゃくしゃにしながら2人に抱きついた。
2人はイエイヌを抱きしめながら頭を撫でた。
イエイヌは、寂しかった事、センザンコウ達にヒトを探してもらった事、キュルル達と遊んでもらって、とても嬉しかった事などを一気に話した。
2人は笑顔で頷きながら話を聞いた。
そして、イエイヌに優しく語りかけた。
女性職員「これからはあなたの好きなように生きて。
お友達をたくさん作って、話したり、遊んだり、撫でてもらったり。そして、みんなと楽しい思い出を一杯作ってね。」
◉それぞれの未来へ
カコ博士と女王は立ち上がり、ミライさんとセーバルと一緒に、輝きの中心に向かって歩いてゆく。2人の職員もイエイヌに手を振りながら、ミライさん達と同じ方向に歩いてゆく。
6人の姿が輝きの中に消えてゆく。キュルルとイエイヌが呼び止めようとすると、6人が振り向いて笑いながらこう言った。
「あなた達の未来を歩んでね。」
6人の姿と輝きが消えると、そこには先程風に飛ばされた、イエイヌの絵が落ちていた。イエイヌはそれを拾うと、ギュッと胸に抱きしめた。
◉ただいま(キュルルとカラカル編)
輝きが消えると、キュルルの頭は急にハッキリした。ぎゅっと抱きしめられているため、カラカルの体温と息遣いが直に伝わってくる。だんだん気まずくなってきた。
キュルル「カラカル、なんだか恥ずかしいよ。」
それを聞いて、カラカルがピクンと動いた。彼女は顔をゆっくりと上げると、しばらくの間、放心した様子でキュルルを見つめていた。ところが、不意に彼の両肩を掴んで、激しく揺さぶった。
カラカル「キュルル、元に戻ったの?」
キュルル「な、何の事?」
嬉しさと恥ずかしさと怒りで、カラカルの顔がみるみる赤くなってゆき、口が変な形に歪んでゆく。そんな彼女を間近で見て、キュルルは困惑した表情を浮かべていた。
それに気付いたカラカルは、彼を力一杯抱きしめた。
キュルル「いたた、苦しいよカラカル〜。」
ジタバタするキュルルを、いじわるそうな顔をしながらぎゅーっと抱きしめるカラカル。
カラカル「うるさい!あんたは目を離すと、何しでかすか分からない。ずっと傍で見張っててあげるから、覚悟しなさい!」
キュルル「!…僕も、カラカルとずっと一緒にいたい。」
それを聞いたカラカルはキュルルを離した。
そして持っていた帽子を彼に被せると、ポンと頭を叩いた。
カラカル「よろしくね。おかえり、キュルル。」
キュルル「ただいま、カラカル。」
2人は明るく挨拶を交わして、笑い合った。
そこへ、2人を見つけたフレンズ達が駆け寄って来た。
◉ただいま(かばんさんとサーバル編)
かばんさんとサーバルも輝きの中にいた。かばんさんは、目を覚まさないサーバルを抱きしめながら、辺りに流れるメロディに合わせて、希望の歌を口ずさんだ。
するとそれに合わせて、サーバルとの思い出が、輝きの中に次々と
浮かび上がってきた。それらが輝きや歌声と一緒に、サーバルの心に流れ込んでいった。
サーバルは、夢の中で誰かと一緒にいた。
『ずっと前に、誰かと旅をした。どんな時も一緒で、とても楽しかった。その子の顔は、よく思い出せないけれど…あれ?』
今までぼんやりしていた過去のイメージが、突然昨日の事のように鮮明に蘇った。
『その子は、羽の付いた帽子を被ってた。とっても優しくて、いっつもすごいことを思いついて、みんなを助けてくれた。そして背中には…』
その子がサーバルに呼びかけた。
かばんちゃん「起きてよ、サーバルちゃん。」
サーバルはゆっくりと目を開けた。すると目の前のかばんさんの顔が、ぼんやりと見えてきた。
かばんさん「…サーバルちゃん?サーバルちゃん!良かった、目が覚めたんだね!」
『私を抱きしめてるのは誰だろう?この声、この匂い、この姿…』
サーバルの頭の中で、かばんちゃんとかばんさんが重なった。
『ずっと思い出せなかったけど、私の大切なお友達。そう、名前は…。』
サーバル「ただいま、かばんちゃん。」
その言葉を聞いて、かばんさんが震えた。そして少し俯いて、また顔を上げた。その目には温かい涙が溢れていた。
かばんさんはサーバルを抱きしめたまま、精一杯の笑顔でこう言った。
かばんさん「おかえりなさい、サーバルちゃん」
そして2人は、しっかりとお互いを抱きしめた。
地震は収まり、ホテルから水は引いた。
濡れた瓦礫から、しずくがポタポタと滴り落ちている。
割れた窓から暖かな光が差し込んできた。それを浴びて、ところどころに残っている水たまりの水面とサンドスターが、キラキラ輝いている。
2人はいつまでも抱き合っていた。
ラッキーさん「カバン、タベチャダメダヨ。」
かばんさん「食べないよ!」
ラッキーさんの言葉を聞いて、かばんさんは慌ててサーバルから
離れた。それを見て笑顔になるサーバル。
そしてかばんさんも笑顔になった。
部屋の中に、かばんさんとサーバルの笑い声がこだました。
一方部屋の外では、博士と助手が壁に背中を付けて、中の様子に聞き耳を立てていた。
博士「ようやく素直になったのです、まったく。」
そう言ってほっと胸を撫で下ろす博士と、
助手「ヒトは素直が一番なのです、まったく。」
そう言って少し悔しそうな、でも安堵した表情を浮かべる助手。
博士「助手は素直じゃないのです、まったく。」
助手「なっ…!何を言うのですか、博士。」
博士「フフフ。そういえばお腹が空きましたね、助手。」
助手「そうですね。ひさびさに4人で料理をしますか、博士。」
♫おちゃかい
イエイヌのおうちから、希望の歌のメロディが聞こえてくる。
その中では、歌を口ずさみながら椅子に座っているイエイヌが、
キュルルが描いてくれた絵を見ながら微笑んでいた。
それは、イエイヌが大切にしていた絵と同じ構図だが、人物が変わっている。左からイエイヌ、アムールトラ、カラカル、キュルル、サーバル、かばんさん、博士と助手がパークの入り口に並んで笑っている。
コンコンとドアを叩く音がした。イエイヌがドアを開けると、
そこには絵に描かれていたメンバーと探偵コンビがいた。
イエイヌ「ようこそ!」
そう言って、イエイヌは笑顔でみんなを出迎えた。
うららかな日の光の下、イエイヌのお庭でお茶会が催された。
お茶と、かばんさんが持ってきたお菓子が振る舞われ、集まった
みんなで近況を報告し合った。
海底火山の活動は、けもハーモニーにより鎮静化した。
それからセルリアンの数は大幅に少なくなり、強力な個体は出てこなくなった。
地震で壊れた所は、ラッキービースト等による整備が進んでいる。
海の水が引いた事で、再び地上に現れたホテルの出入り口や
遊園地といった施設も、利用出来るようになった。
キュルルはおうちを見つけることは出来なかったが、カラカルという大切な友達を見つけた。
セルリアンが原因とはいえ、自分が大騒動の中心人物だとカラカルから聞かされ、ホテルでみんなに謝罪した。そして罪滅ぼしのため、パーク中のフレンズ達のお手伝いをする事にした。
カラカルはキュルルに協力を申し出て、一緒にパーク中を回った。
こうして2人は、あちこちを旅しながら、フレンズ達に品物や伝言を届けるメッセンジャーになった。
けもハーモニーが起きたあの日から、絵のセルリアン化は起こらなくなったため、キュルルは絵を描き続ける事が出来た。
時にはフレンズたちの交流を、絵や文章で繋いだりもしている。
サーバルはかばんさんとの記憶を取り戻し、博士助手と共に研究所で暮らしている。ヒトから強力なセルリアンが生まれる心配が無くなったため、近々サバンナに引っ越して、2人で暮らすそうだ。
博士と助手はお菓子を頬張っている。かばんさん達の引っ越しに
合わせて、2人で静かな図書館に戻るらしい。
アムールトラは笑いながら、みんなの話を聞いている。手で物が持てるようになり、小さなカップでお茶を飲んでいる。
けもハーモニーの力で野生解放は治まり、言葉が話せるようになった。かばんさんに教わって、少しずつ会話の幅も増えてきた。
壊れたラッキービースト本体の着脱も教えてもらい、大切なお友達として、いつも左腕に着けている。
彼女はゴリラ達とジャングルで暮らしていた。
壊してしまった広場をみんなで修復し、フレンズが自身の身体能力を活かしたショーを披露する、サーカス会場にしたそうだ。
イエイヌは、あの日ホテルで大切なヒトと会ってから、おうちを開放し積極的にみんなと交流するようになった。
お茶の淹れ方も、すっかり板についていた。
探偵コンビはアライさんとフェネックに依頼され、宝探しに付き合わされていた。毎日アライさんに振り回されて、しんどい思いをしているという。
そこへ突然、アライさんが飛び込んで来た。後ろにフェネックもいる。
アライさん「あ〜!こんな所にいたのだ!モタモタしてるとお宝が逃げてしまうのだ!」
そして探偵コンビを引っ張って、無理矢理連れ出そうとした。
それをフェネックがなだめて、かばんさんがお茶の入ったカップを差し出して、アライさんに椅子を勧めた。
おいしいお茶と大好きなかばんさんとみんなの笑顔、アライさんはニコニコしながら、お茶会を楽しんだ。
キュルルが鞄から招待状を取り出して、イエイヌに渡した。
キュルル「ホテルの修理が終わって、そこでペパプがライブをやるんだ。パークのみんなが招待されているよ。特にホテルに駆け付けてくれたイエイヌさんには、ぜひ来て欲しい。」
それを聞いたイエイヌは、笑顔でハイ!と返事をした。
♫おたんじょうび
ペパプライブ当日。ホテルの屋上には特設ステージが設置され、たくさんのフレンズが集まっていた。
テーブルがいくつも並べられ、その上には食べ物や飲み物が用意されている。
ステージの中の様子は、カーテンが閉じていて見えない。
ステージの下で、オオミミギツネが嬉しそうに挨拶をした。
ステージの脇からマーゲイが現れ、挨拶した。そして彼女の呼びかけに合わせて、反対側から5人のペパプのメンバーが現れ、ステージの中央に立った。客席から拍手と歓声が上がった。
メンバーの挨拶も終わり、いよいよライブが始まるかに思われたが、
プリンセス「ライブの前に、大切なお知らせがあるの。アムールトラ、ちょっとステージの上に来てちょうだい。」
アムールトラがステージに呼ばれた。何も知らない彼女は戸惑った。そしてゴリラ達に背中を押されながら、ステージに上がった。
彼女の目の前で、スルスルとカーテンが開いてゆく。するとそこには大きく『おたんじょうびおめでとう』と書かれていた。文字の周りには、みんなの笑顔が描かれている。
プリンセス「アムールトラ、おたんじょうびおめでとうの会を始めるわよ!」
先日のお茶会で、「アムールトラさんにお礼がしたい。」
というキュルルの相談に乗ったかばんさんは、研究所で見た彼女の過去を考慮して、誕生会を開く事にした。
そしてお茶会に出席したメンバーが中心となって、彼女に内緒でこっそり誕生会の準備が進められていた。
あまりに予想外すぎて気持ちが追いつかず、アムールトラがオロオロしていると、大きな拍手と共にキュルルとイエイヌがステージに上がり、彼女にそれぞれプレゼントを手渡した。それは、サーカス会場でショーを披露している彼女が、みんなと一緒に笑っている絵と、アライさんが隔離施設で見つけた、古ぼけたクマのぬいぐるみだった。
設置された大型スピーカーから音楽が流れ始めた。それは希望の歌だった。それに合わせて、集まったみんなで希望の歌を歌った。
そして『今は、さよなら』の後に、かばんさんが『いつか、おかえり』の一文を付け加えた。
歌が終わると、再び大きな拍手が巻き起こった。
アムールトラの目から、大粒の涙が溢れた。
それじゃあ一言みんなに挨拶をと、彼女にマイクが渡された。
彼女は涙を拭うと、満面の笑みを浮かべた。そしてみんなに向かってこう言った。
アムールトラ「みんな、本当にありがとう!」
彼女がマイクを一振りすると、なんとマイクが花束に変わった。
それを見て、客席から歓声が上がった。
彼女は花束からマイクを取り出し、それらをペパプに手渡した。
フルルがマイクを振りながら首を傾げている。
フルル「あれ〜?いくら振ってもジャパリまん出てこないよ?」
イワビー「闇雲にやっても出るわけないだろ!」
コウテイ「パークにはまだまだ不思議なことが沢山あるんだな。」
ジェーン「私たちも負けていられませんね。」
プリンセス「それじゃあ、いつも以上に張り切っていくわよ!」
ライブが始まり、歌と音楽、そして歓声と拍手が響き渡った。
歌声を乗せた風は、あの隔離施設まで流れて行った。
施設の中は、まるで時が止まったかのように静まり返っている。
アムールトラが眠っていた檻の床には、砂埃が積もっている。
しかしよく見ると、そこに足跡がついている。それを辿ってゆくと、アムールトラの手枷が置かれていた。
壁の穴から流れ込んだ風が、砂埃を散らした。すると手枷の側の床から文字が現れた。スケッチブックを置く際、たとえ読めなくても、いつか彼女が目覚めた時、真っ先に目に入るようにと、あの子が床に書いたものだった。そこにはこう書かれていた。
『おかえりなさい、アムールお姉ちゃん。』
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