第 9回   マニュアルヒャダイン 

 第5章ではAI戦闘というシステムのおかげで、善戦することすら叶わなかった

ヒャダイン、もとい、ブライ爺。

 

そのキャラクターの不人気は致し方ないにせよ、このAIの台頭による不遇は、どう考えても彼のせいではない。そう、資質自体はしっかり秘めてはいたのだから

 

 だがしかし、それも活躍の場がなければ、その存在意義は無いに等しいのが世の中というもの。持ってるだけではダメなのだ。それは、意図的ではないにせよ宝の持ち腐れとなるのだ。


 まことに憎きはAIシステムである。AIさえなかったら・・・

 

 ということで、もう既にお分かりだろう。

 そうなのだ。今度は第2章における彼の活躍についてみていこうというわけである。


 彼がアリーナとお供として、登場する第2章ではAI戦闘はない。従来どおりのマニュアル指示で、この魔法爺、同じくお供と相成った神官クリフト、そして本章主演のおてんば姫の3人をプレイヤー自身が操作して進めていくのである。

 

 この、なんら当たり前のことが、とても素晴らしいことのように感じられたのは、

2週目以降のプレイでのことだった。

 それは、1度あの完全なオートバトルを強要させられる第5章を味わったからこそ、湧き上がった感情なのだろう。特に本2章は最高である。


 考えてみて欲しい。5章を除く他章でもマニュアル戦闘なれど、3人パーティーをマニュアル操作できるのはこの2章のみなのだ。

 他章でも、3人構成自体は存在するが、それには必ずNPC、つまりゲストキャラが加わる。彼らはそもそもが、操作不能なのである。

 そう改めて考えると、第5章でのAI戦闘の伏線は既にこの時点で張られていたともいえるのか


 余談だが、このNPCは、第5章でも数名登場する。その際、NPCだけを馬車の外に出して皆を馬車に引っ込めると、


「〇〇〇〇は みちびかれしものでは ないので どうしていいのか わからない!」※ファミコンなので漢字表記なし。原文に基づいて記載


 というテロップが流れ、戦闘どころか、その場から動くことすら叶わない。

 

 はじめて、この事象を発見?したときは、なんだか小ネタ発掘してラッキー的な思いと、やっぱりゲストはゲストなんだなぁという冷めた思いが入り混じっていたのを覚えている。

 

 ときに、これも後になって、よくよく考えてみたならば、当の導かれし者だって、結局、AI仕様なんだよなぁ NPCと変わらないのに 何故? という素朴な疑問にたどり着いたのだが、おそらく、戦闘では操作不能でも、移動時にはしっかりキャラ動かせる=導かれし者だから進むべき道がわかっている。 という解釈なのだろうという苦し紛れの推察に落ち着いた。 戦闘ではNPCと同じ扱いの彼らが、主人公格である存在意義の細やかなる証明なのだと・・・ それにしては地味過ぎではあるが・・・

 ※ただし、厳密にはNPCのオート仕様と導かれし者たち7人のAIシステムでは、その行動の在り方は異なるのだが、ここではどちらも操作不能という意味でまとめて解釈しているので、悪しからず。

 

 さて、今回も大幅に脱線したが、ここで話を戻そう。

 このように、唯一完全にプレイヤーが任意でコマンド操作可能な第2章だが、さらにその3人の内訳についても、非常に興味深いものがある。

 本章主演のアリーナ姫は呪文が全く使えない所謂、脳筋 もとい、白兵戦キャラ 神官クリフトは回復補助役、そして我らがブライが呪文担当というように、しっかりと三者三様のキャラクター別棲み分けが成っているのだ。

 せっかく3人自由に操れたとて、似たようなキャラではつまならい。たとえば、アリーナみたいな脳筋3人旅であれば、結局 戦うコマンドを無造作に連打し続けるだけの単調な戦いになり、自己タイミングで薬草を投入できることくらいしか、マニュアル操作のメリットはない。

 そう考えると、それぞれに戦い方の異なる3人構成というのは魅力的だといえないだろうか。少なくとも筆者はそう思う。

 

 そんな期待膨らませる要素満載にみえる第2章、このフィールドでブライは一体どう活躍してくれるのか またヒャダインの行方は如何に??

 

 

 

 

 

 

 

 




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