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作者 辰井圭斗

「のろい」と「まじない」(あと「ねがい」)

  • ★★★ Excellent!!!

身近にある才能への嫉妬はしんどい。

この場合、「身近にある」というのがミソでして。というのも、距離感が近い分、才能だけではないことがわかってしまうのである。その人が陰ながら積み上げている姿を垣間見てしまうから、「自分には才能が足りないのだ」ではなく「自分には何もかも足りないのだ」と。云われているようで、突き付けられているようで。

息が、できなくなるのである。

それゆえ、飾らず云ってしまうと「自分には才能"だけ"が足りないのだ。彼の人は100%才能の塊なのだ」と思い込んでいる奴の嫉妬の炎なんぞ小火すら起こせぬ──気がする。

「才能とか、無いよ。どれだけ描くかじゃないの」

結局のところ、持たざる者は持てる者に憧れるのではなく、そんなものを拠り所としなくたって生きていけるでしょと強く断言できる者に憧れたいのかもしれない。

──ええ、憧れ"たい"というのがミソでして。そこのところを憧れると云い切れぬ、そのあり方を生来の「のろい」とでも云えばいくらか恰好はつくのでしょうが、自らに嬉々として課した「まじない」であるようにも思う。

さて、かく云う私は件の作者の作品に随分入れ込んでいるのだけれど、非常にらしい作品だなぁと思った。いつぞやの言葉を借りるのであれば、「我」が出ていた。

そう、あなたは以前どこかで自分の作品には余計な「我」が出ている──と云ったけれど、それは決してマイナスではないと私は信じているよ。

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