もじゃもじゃとチリチリは親戚みたいなもんだから

「つまり七原は清楚系で勉強できてピアノが弾けるタイプが好きなんやな」

「待て。鈴谷は勉強もできるしピアノも弾けるけど清楚系ではないと思うぞ?」

「つまり二宮さん系が好きなわけやな、七原は」

「またその話?」

「二宮さん系のわたしが好きなわけやな?」

「鈴谷に二宮さん要素まったくないって」

「勉強もできるしピアノも弾けるし、同じ系統やん」

「ものすごく大きな括りで言えばそうかもしれないけど」

「わたしは七原の中で、劣化二宮さんてきポジションなん?」

「え? そんなことないよ?」

「二宮さんは無理でもわたしやったらいけるって思ったん?」

「そんなことないって! 俺が好きなのは鈴谷だけだよ!」

「……」

「ジトッとした目で睨むのやめて」

「マイナス10ポイント」

「ガツンと引かれたじゃん。いま何ポイントなの」

「36ポイント。30ポイント以下でドボンな」

「ドボンしたらどうなるの?」

「処刑」

「こわっ!」

「じゃあ、もし仮に二宮さんに告白されたら、七原どうする?」

「しないでしょ。接点すらないよ」

「仮にやて。仮に二宮さんが七原に告白したとして」

「全然イメージできないんだけど」

「そっか。じゃあ七原ちょっと目ぇ閉じてて」

「え、うん」

「今からわたしが二宮さんやるから、七原はそのつもりで返事してな」

「え、マジで?」

「オホン。ご……ごめんね、七原くん。急に呼び出したりして……」

「なにそれ? 再現度高すぎじゃない!?」

「やるからには本気でやらな意味ないやろ」

「うっそ。どこから声出してんのそれ」

「できるやろ。特徴あるから逆にやりやすい部類やで」

「マジか……目を閉じてたらマジで二宮さんに喋りかけられてるみたいだ……」

「あの……それで、話っていうのはね……」

「うん」

「……七原くんって……いま……好きな子……とか、いるのかなぁって……」

「うおおお……」

「七原くん……聞いてる……?」

「聞いてる! 聞いてるけど……!!」

「あの……もし他に好きな子がいない、んだったら、よかったら……わたしと付き合ってもらえませんか!」

「うおお……!!」

「七原くん……?」

「落ち着け俺……心頭滅却……」

「七原くん、あの……返事は……?」

「ごめん、二宮さん……俺は……! 鈴谷のことが……! 好きだから!!」

「なんでちょっと涙ぐんでんねん」

「終わった……さよなら……二宮さん」

「めちゃくちゃダメージ負ってるやん。でも、ちゃんと断れたのは評価してあげよ」

「うぐ……うぐ……」

「ごめんて。まさかそこまで入り込むとは」

「もう、大丈夫だから……」

「全然ダメそうやけど。まあええか」

「……逆にさ」

「うん?」

「鈴谷はどんなタイプが好きなの?」

「好きなタイプ? でも七原以外の男子、そもそもあんまり知らんからなぁ」

「同級生じゃなくてもいいよ。芸能人で言ったら誰?」

「EXILE NESMITHやな」

「ガッチリ肉食系できたな」

「なんかおかしい?」

「いや、なんとなく星野源みたいなアッサリ塩顔草食系でくると思ってたから」

「NESMITHかっこええやん」

「じゃあ俺がEXILE NESMITHやるから、ちょっと目を閉じて」

「マジで。オッケー目ぇ閉じるわ」

「……スゥー。どーもー。EXILE NESMITHでーす」

「待てや」

「なに?」

「NESMITHはどーもーって入ってこんやろ」

「だって、歌ってる人じゃん……。普段どんな喋りしてるとか知らないよ」

「知らんなら知らんでええけど、なんでやろうとするん。二宮さんを再現度高めでやられたのが悔しかったん? せめて一太刀かえしたかったん?」

「新しい扉が開きかけた感じはあったな。鈴谷の二宮さん、マジでリアルだから」

「次から一回500円な」

「意外とリーズナブルだな……。シチェーション指定もできる感じ?」

「オプション一点につき500円追加」

「全部で2000円くらいか……」

「どんな込み入ったシチェーションを想定してんねん」

「いや、してない。全然興味ないよ二宮さんなんか」

「本当にわたしのこと好きなん?」

「好き好き。ものすごい好き。愛してる」

「減点すべきか加点すべきか悩むわ」

「加点して。頼むから。ドボン寸前だから」

「しゃーないから1ポイントつけとくわ」

「マジで? 言ってみるもんだね」

「たぶんNESMITHは頼むからとか言わんけどな」

「でも俺も系統でいったらNESMITH要素ちょっとあるでしょ?」

「頭もじゃもじゃなだけやん」

「頭はもじゃもじゃじゃんか」

「NESMITHはもじゃもじゃっていうかチリチリやし。ていうか、七原がビタでNESMITHやったら即決29800ポイントやけど」

「ネットオークションみたいなシステムじゃん」

「NESMITHに寄せてくると逆に減点になるから」

「そうなの?」

「100NESMITHやったら29800ポイントやけど95NESMITHやったら-100ポイントやで」

「NESMITHがポイントの単位になってるじゃん。ただでさえややこしいのに別のポイント制度の導入で複雑性が限界突破してるな。5NESMITHの場合はどうなるの」

「5NESMITHならむしろ加点要素やな。75NESMITHを超えたくらいから痛々しさが勝つ」

「ものすごく判定微妙じゃん」

「わたしが好きなのはNESMITHであって、NESMITHっぽい人ちゃうし。寄せてこられると、その届いてなさが気になるねん。それならいっそ、まったく違う方向性のほうがマシやん」

「じゃあ、やっぱ俺いけるじゃん」

「自分でいまNESMITH要素ちょっとあるって言ったやん」

「鈴谷がもじゃもじゃとチリチリは違うって言ったんじゃん」

「まあ、どこからどう見ても七原には1ミリもNESMITH要素ないけど」

「でも、もじゃもじゃとチリチリは親戚みたいなもんだから、ちょうど5NESMITHくらいじゃない? 加点つくやつじゃない?」

「ものすごい必死にポイント拾ってくるやん。1ポイントつけたろ」

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