第4-07話 捻じれ

2035/08/08 22:00

 流石に疲れてはきましたし、少し眠くもなってきたので持ってきたケーブルを格子状に一部を軽く折りたたむと階段の上に簡易ベッドを作ります。

 そいう意味では、この階段はかなり緩やかな作りになっているのでした。

 実際の傾斜けいしゃとしては十五度も無いでしょう。


2035/08/08 22:15

 胸元に居れてあった、ボイスレコーダーに現在時間と記録を入れると、その作った簡易ベッドの上に転がる事にしました。その内、眠気が本格的に来ましたが、まだ二人が帰って無いのを確認すると。静かにお休みコースへ突入したのでした。


2035/08/09 05:00

 普通に起きました、時計の針を見るともう朝の五時にはなっていました。

 どうやら完全に熟睡してしまった様です。しかし風景は昨日から代わらないのです。変わっていたらあれ? おかしいなということにもなるのですが、逆に変わらない事のほうが、おかしいことのように思えてきました。

 置き去りにされた感じもしません。


2035/08/09 05:30

 これはますます変な感じがしてきました

 しかし、お腹の虫は正常に鳴るのです。

 もう一食分行動食を食べることにしました。


2035/08/09 05:00

 私が戻ると、そこを起点にさらに捻じれそうだったので、敢えて階段の壁側に寄って座を組み精神集中することにしました。

 気配の察知です。

 すると周防すおうさんが戻って来ているような感覚がしました。それに斯波しば班長も居るような感覚もあるではありませんか。



2035/08/09 05:30

 御神刀を抜き払うと、“怒雷”の術を唱えながら。

 御神刀で階段の真ん中を斬るようにひらいてみました。

 その直後でした捻じれが断たれ、空間があるべき場所へ戻ったのでした。


2035/08/09 05:33

 突如私がその空間に、飛び出たわけです。

 驚くなといっても、無理な相談でした。


2035/08/09 05:35

 空間が馴染むまでに、少しの時間を要しました。

 と言っても、一分か二分ほどでした。

 その間に御神刀を納刀します。


2035/08/09 05:36

「神無月さん今どこから?」と斯波班長がおっしゃいました。

「いつ頃お戻りになられたのですか?」と私のほうが若干遅く聞きました。

 私は「壁側に居たのです」ということにして帰ってきた時間を聞こうとしました。斯波班長はマルチセンサーを持っておいてでした。無事取ってこられたわけです。通信機のスイッチを、ONにして通話できるか確認しました。しかしこちらはダメみたいでした。


2035/08/09 05:37

「どうやら私が、空間のひずみの中に居たようですね」と答えます。

「帰ってきたら誰も居なかったんで心配したんだよ」とおっしゃられたのでした。それには「ご心配おかけしました。で周防さんはどちらに?」と言うと、「まだ会って無いんだ。帰って来ても二人とも居ないし」とおっしゃいました。

「少し危険ですが」と言うと周防さんの気配のあるあたりに向かって御神刀を抜き放ち斬ってみました。空間が切れました。

 すると空間の裂け目から周防さんが現れ「皆居ないからどうしたのかと思ってずっと待っていたんじゃ」と言う話が聞けたのでした。


2035/08/09 05:39

「この階段は仕掛け階段のようですね、空間を捻じれさせる効能があります早めに降りちゃいましょう」と私が言いました。


2035/08/09 05:40

 私はベッド状にしたケーブルの一部を元に戻しケーブルを背負いました。

 周防さんも途中まで伸ばしてきたケーブルを持つと階段を降り始めたのでした。


2035/08/09 07:00

 周防さんの束が終わりそうだったので、私の束の最初の部分を接続すると残りの分を受け取り更に下へ降りていきます。


2035/08/09 10:55

 私の束が最早もはや無くなりそうでしたので最長の長さを誇る、班長のケーブルに繋ぎ通信機をマルチセンサーのマイクとヘッドセットの位置に繋ぎ。「まだ階段は続いていますどうぞ」と声を送りました。すると通信が成功し、返答がありました。

「こちら指揮車風祭かざまつりだ。皆昨日は寝たか?」と風祭さんがおっしゃいました。

「こちら神無月です。原因が不明で皆まともに合流できなかったので、私は昨日はゆっくりと眠らせてもらいました」と答えます。

「いいのう、ワラワなんか寝てないんじゃぞ」と周防さんがおっしゃいました。

「同じく寝れてない」と斯波班長もおっしゃいました。


2035/08/09 11:00

「多分真面に合流できなかったのは、空間の捻じれじゃないのか?」と風祭さんから鋭い指摘が飛びました。まさにその通りだったので、「その通りの様です、階段から不思議な力を感じました」と答えました。


2035/08/09 11:35

「こちら斯波、階段の踊り場が見えた階段は終いの様だ、どうぞ」とおっしゃられました。

「こちら指揮車、ケーブルは後どれくらい残っている?」と風祭さんがおっしゃられました。

「あと二巻きってところだ五メートルは無いだろう」と斯波班長がおっしゃられたのです。

「マルチセンサーを多用するので、ケーブルの伸びきる少し手前にマルチセンサーを置いてくれ」と風祭さんがおっしゃいました。

「斯波了解、どうぞ」と言うとコードが伸び切る手前で、丁度階段の踊り場から少し上に上がった位のところにマルチセンサーを置かれました。


2035/08/09 11:45

 そして「マルチセンサー設置完了感度どうか?」と斯波班長がおっしゃられました。

「今のところは無事データリンクできてる、データを各自のデータパッドに送信するから平面図を出し切れたら、それに沿って調査を頼む」と風祭さんがおっしゃられました。


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