第2-02話 マンティコア襲来

━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


 その日のバイトは恙無つつがなく終わり、次の日を迎えました。


 ラウ・フェイチンさんという方が、新しく協力者として加わって訓練を重ね日々の報告書を軽くまとめ。


 帰路についたのでした。


 温羅うらさんは由良ゆらさんに戻らず、温羅さんのまま過ごすことが決まり、由良さんの住んでいたマンションに、そのまま入ることになりました。


 つまり元鞘に戻ったわけですが。


 世間一般には由良香織かおりはスキップして大学へ行っているので、由良の苗字は温羅に変えないといけないのでした。


 元々、私の家とそう遠くに離れて居なかったので、朝のお迎えは継続して健常者となった温羅さんが行うことになりました。


 現状私のバイクは納車待ちのため、入手できないのです。


 そして人気のバイクであり、外車であるため納車が三カ月遅れになっているのです。


 そして次の日の夕方バイトに行く直前の時間でした。


 校門の方から獣の吠え声が聞こえてきたのです。


 それと生徒たちの悲鳴でした。


 本日は由良さんは少し遅れるとのことで生活指導室にお呼ばれしていたのでした、特に要件はないとおっしゃっていましたが、何かあるのだろうと思われていました。



 問題は悲鳴と生徒の移動の向きが変わったことでバイクが走りずらくなっていたことでした。


 元々、徐行ではある上に進路上に生徒が割って入ってきて我先に別の門から出ようと必死になって逃げてきているからでした。


 ようやく門前に出ると、そこには一匹の大きなマンティコアが居るではありませんか、そりゃ逃げますわ……。


 結界があるのかマンティコアは門前から動けていないようでしたが、明かな障害物です。


 サイズはライオンより大きく、危険と思われる領域を超えていました。


 とりあえず我々、高木たかぎさんと私もバイクから降りて、戦闘の準備をします。


 とはいっても、学校の正門でドンパチやらかすわけには参りません、わたしは御神刀を用意しました。


 それと職場への通報です。


 私がそれをしている間に紅葉もみじさんは三節根を構えていました。


 すでに対象との近接距離に入っているようです。「美空みそらです、学校の正門前に大型のマンティコアが現れました、これより対処に入ります」と言うと、まずはカメラマンを除去しに行きます。


 写真部がいらんことをしようと出張ってきてていたのですが、吠え声には催眠効果も入っているらしく、こちらに向かってきていました。ですので神道流古武術で、即投げを打ちに行きます。


 これにより二人が軽い打ち身になりましたが「自業自得だから別の門から帰れ、仕事の邪魔だ」といって検非違使の身分証を突きつけます。


「私たちの事を記事や公に公開すれば、退学処分になる」ときついことをいいます。


 すると、二人は慌てて逃げだしたのでした。


 威嚇で誇示されたからには相応の威嚇でもって対処せねばなりませんでした。


 御神刀をまだ抜かず、構えたまま“怒雷”を準備します。


 高木さんが、打ちかかったようでした。


 それに合わせて『怒雷』を発動させます。


 白虎の吠え声がとどろきます。


 多少は効いているといったふうですが、まだまだ力不足の様です。


 白兵戦のほうが熾烈しれつを極めていました。すでに高木さんは左肩の辺りにみつかれ、かなり流血がひどいようでした。


 ですが、相手の頭にも、たんこぶらしきものができていました。


 互角と言うよりは、少々パワー不足と言った感じが漂います。


 かといって、学校前で制服のまま、銃器は抜けませんでした。


 その間にも、紅葉さんに被弾箇所ひだんかしょが増えていきます。


 私も攻撃に回ることにしました、射貫くように斬り付けるのです。


 御神刀の威力もあってか多少対象がふらつきますがまだピンピンしているようです。


 こちらは、私は持ちますが紅葉さんが不味まずそうでした。


 すでに三回は同一箇所を噛まれ、制服が真っ赤に染まっています。


 まだ時間は、さっきから三十秒も経っていないのです。


 紅葉さんが、四度ふらつきました。もう限界に、きているようでした。


 その瞬間、吠え声と共にマンティコアが、大空に舞い上がりました。


 逃げに入るようです。


 なぜかと言うと、検非違使のバンが三台来ていました。


 紅葉さんを支えようとしましたが、「大丈夫だ輸血すりゃ治るって」といって立って歩かれていきました、恐ろしい程の生命力です。


 そのまま検非違使のバンの方へ行って応急手当と輸血を受けているようでした。


 その間に出た条件を聞かれましたが、どれが条件なのか分かりませんとしか答えるすべを持たなかったのです。


 事実ですから、致し方ありませんでした。


 私たちが来た時には、もうそこにいたとしか答えようがなかったのです。



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