第二章 新生、第七班誕生 事件は唐突に……

第2-01話 高校初編と新メンバー初顔合わせ

━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


 その日は、比較的早く時間が過ぎ去る様に感じられました。


 授業が終わり、温羅うらさんと並んで教室を出ると、高木たかぎさんが待っておられました。


「早く行こうぜ、小学生に時間で負けるのは仕方がないが、遅れるのは嫌だ」とおっしゃったのです。


 それには、私も同意でした。


「あたしは、美空みそらを乗せてかなきゃ、なんねえからな」ともおっしゃいました。


 今は自身で最速移動ができないので誰かに乗せて行ってもらうのが得策なのです。


 学校への行き道は、温羅さんの後部にタンデムで座り。


 仕事場へ行くときは高木さんのサイドカーに座るのが得策なのでした。


 なので新しく自身のバイクのヘルメットは購入していました。


 あとはバイクだけでしたが現在は納車待ちのため、入手できないのです。


 十五歳になっていますし免許は持っていますが納車するまではお預けだね、といわれてしまっていました。


 高校の校則では、バイクに乗るのは自由であるが道交法はしっかりと守って、安全運転を心がけるようにとしか書かれていませんでした。


……


 高校に入って初日に、不良グループに絡まれたのは、容姿で凄く目立っていた牧村まきむら加奈子かなこちゃんだったのでした。


 それに怒った私が、突入すると温羅さんが続いて下さり、高木さんもさらにそれに乗ったため始業式のその日の内に番を張っていた、上級生の不良グループが壊滅かいめつするという、不良にとっては世にも深刻な事態が起きたのでした。


 その後も番を張ろうとして、加奈子嬢に狙いを定めたグループはことごとく滅び去ったので、清祥高校に不良で番を張るという体裁を取る者はいなくなったのでした。


 単純にイイカッコしいは残りましたが、加奈子さんの眼中に入らなかったためそちらは、ただのワル学生や、イイカッコしい位にしかならず、学校としての平穏は保たれたのでした。


 また女傑じょけつと呼ばれる番長格にはすでに、中学生時代の話が入っていたため、男子の不良のように私の背を逆なでする物はいませんでした。


 しかしあの三人只者ただものじゃねえということから、私や温羅さん高木嬢の関係先をコソコソとぎまわっていたねずみを温羅さんが始末して行ったため、私たちの関係先には手が出せなくなっていったのでした。


 そして六月に入り高木さんも一緒のバイト先であることが知れると、奴らに逆らったら即、豚箱行きだという情報が裏に流れそうになりました。


 しかし温羅さんが寸前のところでその噂を聞きつけ、知った者を全て始末したのです。


 そのため噂にはならず、温羅さんが逆に情報を下手に流したやつを、執り締まるといい切ったため。


 下手に情報が流せなくなり、情報から支配しようと目論もくろんでいた女傑といったグループも、滅ぶ道を辿たどったのでした。


……


 そして話は元に戻ります、「行くぜ!」という高木嬢の後ろに私と温羅さんが付いてついて行くのです。


 何時もの光景となったお馴染みの出勤シーンでした。


 帰る子は帰り、部活に行く子はいくのでした。


 私たちの様にバイトに出勤する学生もいるのです。


 すでに出勤先には着替えシャワールームは完備されていましたから、仕事が終わった後でシャワーで汗や汚れを流して帰る方もいらっしゃいます。


 そういう意味で仕事は厳しめですが、設備は完備されているのでした。


 装備も常に仕事場においてありました。


 携行をするように言われている一部の物を除き、仕事場においてあるのでした。


 私はいつも通りヘルメットを着用すると鞄を抱えて、高木さんのバイクのサイドカーに乗るのです。


 温羅さんもヘルメットを着用し、準備万端エンジンをふかし始めました。


 高木さんもエンジンをかけ徐行で学内を通り、車道へ出ていくのでした。


 温羅さんもそれに続きます。


 こうして学校から十五分で職場につき裏に自車を止めてカードを提示して局内に入り、地下一階の更衣室で装備を整えてエレベーターで二階まで登りいつものオフィスへ向かうのでした。


 装備内容の多さとしては私が一番多いのですが、すでに着け慣れ熟されている感がありました。


 このためか、余り差が出ないのでした。


 温羅さんは装備する銃の装備数や予備マガジンの数、特殊ライダースーツなどで固めるためそれなりの時間がかかります。


 私も巫女装束の代々引き継がれている霊衣と言うものを着用し霊甲と言うポインティングアーマーをその上から装着し銃器ハンドガンと御神刀を装着するのです。


 そしてコンバットブーツを履くのでした。


 高木さんも学生服から替え、ADSの制服を着用した上でボディーアーマー・セカンドを上半身に装着しタクティカルブーツを履き、タクティカルな脚甲やグローブを付けねばなりませんでした。


 そして白兵戦用の三節棍を棒状にして携行するのです。


 三人共似たような時間になるのでした。


 そして誰が早いということもなくタイムスタンプは既に局内にカードで入った段階で記録されており、問題は無いのでした。



━━━━━《ラウ視点》━━━━━


 そのころ、ラウはというと副長の長良さんと連れてきた、周防みこと嬢にを見てこの組織大丈夫か? と勘繰かんぐっていたのでした。


 副長というだけあり長良さんはまだ分かります、精悍せいかんで敏捷性のある肉体を持ち、しなやかですがガタイがよく。


 太刀を持っているからでした。


 白兵戦をやらかしたら、負けるかもなというのがラウの第一印象だったのです。


 しかし、周防みこと嬢はその点見事に小学生であり、尚且つ巫女の衣装を着ている女の子にしか見えないのでした。


 そして話す口調にもかなりくせがありました。


 ワラワはから始まり~じゃに終わるのです。


 古風で元気者なおばあさんといった口調だったのです。


「もう三人女性が来る」と長良さんが言われたのでした。


「舐めてかかると捻り潰されてしまいますよ」と、長良さんは若干脅しをかけていました。


 どんな豪傑が来ると思ったら、確かにゴツクはありますが力では負けそうな勢いの女性と若い女性が二人と来たのでした。


 若い女性は一人はバイカーで銃や弾薬をそこかしこに装備しており確かにヤられるかもしれないとは思いましたが、もう一人は先の小学生より背は若干低めでした。


 銃を帯びているのがどことなく分り、畏怖いふすべきものを持っていると思わせる女性だったのでした。


 その畏怖すべきものが、ラウにとっての青龍刀より厄介やっかいで強い力である。


 というのをラウはこの時点で、見抜いたのでした。


 つまり御神器持ちである、ということが分かったのでした。


 美空嬢の後ろに麒麟きりんの意思が見えたような気がしたのです。


 入ってきた三人に斯波班長がラウを紹介し始めました。


「こちらが今度から新しく七班に来てくださる、ラウ飛青フェイチンさんだ!」と紹介したのでした。


「温羅香織かおりと申します。よろしくお願いします」と、なんでもそつなくていねいにこなす温羅嬢がいいました。


神無月かんなづき美空と申します。よろしくお願いします」と同じ様に美空嬢がていねいな挨拶をこなしました。


「高木紅葉もみじです。よろしくお願いします」と少々堅苦しめの組織的な挨拶が飛びました。


 三者三様といったところでした。



第2-02話へ

--------------------《対応データ》--------------------

※この作品はフィクションです実在の人物や団体、

 ブランドなどとは関係ありません。


新法:新しい法律のこと、ここではバイクに乗れる年齢が一歳下がっていることを指し示す。


ADS:アドバンスドセキュリティー社の略章

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る