第0-18話 身辺警護:その男危険につき

 男性陣が校舎外の監視をしている頃。


「どっかのバンが張り付いてやがる、サツか? ありゃサツじゃねぇな。でも、用心に越したことはねえな」というヤツラがいたのでした。


「特にお前は面ワレしてるからな、俺らはいいが」というのが五人ほど黒いバンの中に居たのです。


「最後のターゲットが居るのはここの中学か、中学ジャックとかしてえな」とゲスイ笑みを浮かべた奴がいます。


 そいつはサングラスをかけていて目が見えませんでしたが、逆に口は裂けていました。


 残ったほとんどが半魔だったのです。だからマスクやグラサンは必須だったのでした。



━━━━━《長良視点》━━━━━


「なあ、折神さん、後ろの黒いバンに、普通の警官に頼んで職質かけちゃくれないか。嫌な妖気が漂ってくる様だ」と俺がいいました。


「了解、通常の警邏に、連絡を入れてみよう」と答えました。


「ウィルはその間に、後ろのバンのナンバーに該当車両が有るか、チェックしてくれないか?」と太刀を準備しながらいうことにしたのでした。



 ウィルが先に答えました。「あの黒いバン該当車両ありませんね、偽ナンバーの様です」と――。


「なら、指名手配車両がいることを通報だ! 我々はあくまでも善意の一民間人だからな。バックカメラでしっかりと録画しておいてやるぜ、超高精細画像な」というと俺はメモリカードを新たに突っ込んだのでした。


 前のデータも上に書いていき、さらに録画データとも繋げたのでした。


 そこに警邏の車両が後ろからやってきました。二台います。


 さらに応援も呼んだみたいでした。


 四台ほど前からやってきました。


「見鬼!」と俺が、後ろのワゴン車向けて車の中で、叫びました。


「やっぱそうだな、鬼火が居るぜ。真昼間まっぴるまから居るってのは不自然だ。ドライバーは半魔だな、後ろに構成員が居るって構図か。ありゃ当たりの様だな。検非違使けびいしにも通報を入れよう」というと通報を入れ始めました。



「我々は身辺護衛で動けないので、一班頼みます。四月朔日わたぬき班長。賊の数はお凡そ六人、うち一人は構成員と思われます。長引くとまずい中学ジャックをしかけそうなヤツらだ。七班長良です。こっちはヤツラより人数が少ない、それがバレるのはあまりよろしくない」といい切ります。


「分った、こちら一班急ぎ出るとしよう。十五分は耐えてくれよ?」と四月朔日班長が言いました。


「一般の警邏に期待します」と俺にしては消極的な答えだったのです。


 やむを得ませんでした。三対六なのですから。


「奴らが車を捨てるとは考えにくいな。車から先にヤルか、動けなくしてしまえば。そっちに銀は使うなよ、勿体ない」と俺がいいます。


「.44マグナムだったら車ぐらいは射貫けるだろう? ここには、M8357のノーマル版があるから、SIG357マグナム弾もあるが牽制にしか使えない、全部銀弾だからな。予備マガジンは四本あるが。車相手に使うのは若干不足だ。+P弾も無い訳ではないが、マガジン二本しか余裕がない。そっちでタメってところだろう。どうせ防弾車両だと思うけどな。流石にタイヤを狙えば穴は開くと思うが。俺は由良ほど腕は良くないからな」と俺が追加しました。


「先攻鉛玉、後攻銀玉って事で。班長がいればな……」といいました。


 すると「こちら斯波。前に居るぞ、どうぞ」よく見ると、一般の警邏の後ろに国土警備のバンがいました。


「XM8で支援する、斬り込め。一般の警邏に被害が出てからでは遅い」と厳しめにいわれたのでした。


 腰の裏にM8357を突っ込むと、「折神さん、一般の警邏に職質のフリだけさせてくれ。黒いバンが動き出したら斬りつけてみよう。ドアのロック解除用意」と俺がいいました。


「こちら斯波、射線は確保した。相手が動けば即フルオートでガラス面をヒビだらけにしてやる」という指示がありました。



「ウィルは左のタイヤ頼む、こっちで右はヤル」というと、ドアを開いて太刀を抜きました。


「検非違使だ! 黒のバンの臨検をする!」というと、右手に太刀、左手に職質用の手帳を持ち黒いバンに接近していったのです。


 突如とつじょこちらをひくつもりで、黒いバンを急発進させるところでした。


 動きが緩慢かんまんな間に前方に転がりながら、右側のタイヤを一閃して斬り抜いたのです。


 防弾仕様では無かったらしく、あっさり斬れ、右側タイヤを軸にしながら黒いバンが道路中央で横転しました。


 そのまま斯波班長のXM8がフルオート射撃をみまったらしく、ドライバーがハチの巣になりました。


 手帳をしまい込み、M8357に握り直すと飛び上がろうとした鳥人間の翼、目掛けて一マガジンが空になるまで撃ち込みます。


 左片翼と左肩のあたりがボロボロになりました。そのまま倒れウィルエル側に落ちた模様です。


 十二発は撃ち込みましたから骨も砕けている事でしょう。


 ウィルエル側でもマシンガンの音がしましたから、二クリップ目のマガジンを入れました。


 その左側のドアからさらに這い上がろうとしている馬面半魔の上半身目掛けて、こっちのマガジンでも五発連射して全弾胸にヒットさせました。


 馬面半魔は、そのまま中にずり落ちて行きました。



 少なく見積もっても後三匹はいるでしょう。


 丁度グレネイドセットがあったのを思い出し、車側へ走り込むと、ケースごと担ぎ出しました。


 痛い奴二発、スモーク二発、閃光二発のグレネイドセットでした。


 フロントガラスを割って出てきた半魔に向けて、容赦のない六発を撃ち込むと完全に動かなくなりました。


 スモークと痛い奴一個づつを掴みだすと、スモークからピンを抜き、二秒まで感覚を縮めて中に転がしてやります。


“ドバン!!”という激しい音がして白い煙がもうもうと立ち上りました。


 さらに痛い方を用意しました。三秒型なのでピンを抜いて二秒待ち投げ込んでやります。そういう意味での容赦ようしゃはありませんでした。


“ドゴーン!!”とコレも大きな音がしてバックドアが“ガランガラン”と転がりました。


 太刀に切り替えると、吹き飛んだ後ろ側ドアから出てきた、ゴッホゴホいっている半魔を背中側から一太刀袈裟斬りで斬りつけました。


 もう一人のゲフォゴホォいっている半魔を振り抜きざまに、胴斬りで車の屋根ごと切り裂きます。


 そのまま、一旦グレネイドを回収すると、自車の方に戻りました。


 折神さんがM29を抜いて、まだバックドア側から出て来ていた半魔を、銀弾の連射三発で沈めていました。


 太刀を鞘に一旦納刀すると、M8357に予備マガジンを入れました。残り三マガジンです。


 ウィルの方から、散発的ですが発射音がするので回り込むと、構成員と撃ち合っているようでした。


「スモーク」というとピンを抜き、速攻で車の背後側に投げ込みます。


“ドバン!!”という激しい音と白い煙が横転した車一面に広がりました。


「ゴホゴホ」と咳き込む声が、聞こえます。


 ついでに、「閃」といいながらフラッシュグレネードも転がします。


“カッ!”と閃光が立ちあがり、「グワッ!」と言う声が聞こえます。


 煙が引き始めたので、最後のフラッシュグレネイドを、足元に転がします。


 こちらに向かってサブマシンガンを撃っているヤツの丁度、足元で“ピカッ!”と炸裂しました。


「グワッ!!」という声が聞こえます。


 直接真下で、炸裂したようです。


 そのまま「バックアップ!」とウィルに言うと、太刀を抜き突入します。


 もう一人しか、いないはずです。



 起き上がろうとしている半魔がいました。


 頭を、峰打ちで叩き伏せます。


「ホールドアップ!! 動けば、即、斬り捨てる!」と俺がいいます。


「全ての武器を落とせ!! 手を挙げろ!!」とさらに続けました。


 手持ちの武器を落とし、手を上げて行きます。


“ガシャガシャ”と、武器が落ちた音がしました。


「構成員! 桑形くわがた 彰人あきとだな! 逮捕拘束する!」とウィルも横に来ていて、P100を突き付けていました。


 そのままウィルが構成員の、両手首に手錠ワッパをかけ拘束します。

「構成員逮捕、十時五十五分四十秒」とウィルが冷静にいいました。


 後ろに魔物の気配があったので振り向き袈裟斬りの体勢に入りましたが、逮捕されて立たされた魔物だったようでした。


 他の半魔も全て逮捕され、逃げおおせた者はいなかった様です。



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