第0-8話 身辺警護:偽装

━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


 そして二時間ほどして斯波しばさんが、偽装バンに大量に荷物を詰め込んでやってきました。


 そして斯波さんと交代するように、男性二人組が八課に戻って行きました。


 斯波さんは色々必要な物を取りそろえた様でした。


由良ゆらさん、とりあえず現状サイズの中学の制服と、生徒手帳と必要なカラースカーフと学校指定のリュック、持って来たよ」としっかりとした口調で斯波さんがおっしゃって、かなり大きな紙袋から色々出しました。


「あー、そこまでしなきゃダメかー」と若干諦め加減な表情と口調で由良さんもそれを手に取りながらおっしゃいます。


「体育とかは見学できるようにしてあるけれども、装備つけたままだと厳しいからね、スカートの中だけにしておかないと、限定されるから法具はリュックの中に入れておく事、ジャラジャラさせて持ち歩けないからね」と斯波さんがものをそろえながら厳しめな表情と口調でおっしゃいました。


「因みに体育の見学の理由は?」と静かな口調で由良さんが問われました。


「心臓に難病を抱えていて、激しい運動は控えるようにお医者様にいわれているということでよろしく」と斯波さんが少し硬めな表情のまま診断書を出しながらしっかりとした口調でおっしゃいました。



「ガードって知ってるのは先生だけ?」と由良さんが目で診断書を読みながらさらに問われます。


「現時点では通達がいったのが担任と学年担当教諭と校長と副校長と風紀の先生くらいかな? まだ根回しが完璧じゃないんだ、あまり無理はするなよ」と斯波さんが現状に触れ厳しめの表情とその口調で、情報をおっしゃいました。


ロンスカロングスカートでは無いのか」とスカートを手に取り少々しょんぼりした様子の由良さんがいました。


「スカート丈は一番長いの選んでくれてるよね?」とも問われました。


「一応一番長いのにはしているけど8357は無理だぞ。226にしておけ。そして消音器サイレンサーも付けておけ」と暗号のような会話を斯波さんがしっかり目の口調で表情は厳しめなままおっしゃいました。


「8045は懐刀ってところか、と226と8357の位置変えるだけでもいい?」と由良さんが問うような口調と表情でおっしゃいました。


「それは難しそうだな、8357は大人しくリュックの中に入れておけ。背中は無理だぞ」と斯波さんが厳しい口調で表情はそのままおっしゃいました。


 それを聞いて、更にしょんぼりした状態になった由良さんがいました。


「独鈷杵の一本くらいは御守りですって持ち込んじゃダメかな?」とかなり苦しい、いい訳をしているように聞こえました。


「一本くらいなら何とかならんことはなさそうだが、五鈷鈴でなくていいのか?」とそっちじゃないのかといった表情で、五胡鈴を指しながら静かな口調で聞く斯波さんがいました。


「五鈷鈴なら持ってってもいいの?」と少し元気を取り戻した口調と表情の由良さんがいました。


「それなら持ってくー」とこんどは少しうれしいといった表情の由良さんがはっきりとおっしゃいました。


 まるで小学生の持ち物検査のようです。



「あ、それと下着は白一色な。ギリギリシルクは認めよう。白なら……」と斯波さんが静かな口調で厳しい眼差まなざしでおっしゃいながら二つ目の大きな紙袋を出しました。


「ゲ……。そこまで指定されるのか」と頭の上に髑髏ドクロマークが出ていそうな、由良さんが魂も抜けそうな口調でいいました。


「流石にしゅとかむらさきは不味いだろう。高校生でも十分不味いと思うが……」と斯波さんが表情は変えず厳しめな口調で突っ込みました。


「そこまで派手なのしてないモン」と不服そうな表情と口調でおっしゃる由良さんがいます。


「薄い色だけどダメ?」とゆるしをうような表情に変わり問うような口調でおっしゃいました。


「ダメだ、潜入捜査も兼ねてるんだ。大人しくしておけ」と斯波さんが厳しめな表情で厳しい口調となって確実に止めを刺しました。


 ここまで指定されると、流石に可哀そうな気がしてきます。


「シルクなら白は用意してあるから、それを付けておけ。サイズは合っているはずだ」と斯波さんが二つ目の大きな紙袋からシルク地のショーツやブラを出しながら静かに厳しい表情でおっしゃいました。


キャミキャミソールはロングつけてもいいから、シルクで白だけど」と少し内心かんがみた斯波さんがそれも出しながら、少しやんわりとした表情に変えましたが厳しい口調でおっしゃいます。


「こういう時のための健康診断でもあるのだから。有効活用しないと」と斯波さんがまた厳しい表情でデータを見ながらスパッとおっしゃいました。


「それと、近々入院療養するかもしれない、ということにしてあるから、直ぐに引き上げても大丈夫なように手を回してある。それとタフなスマホとはしばしお別れだ」と武骨なオリーブグリーンのスマホをしっかりとした口調で表情はそのままで取り上げておりました。


「女の子らしいのにしておけ。覚えやすい番号にしておいたから。メッセージソフトSAINE交換とかソーシャルネットワークサービス類の交換はこっちでやっておけ」厳しい口調のまま表情は変えずに、白色の華奢なスマホを渡していました。


 うへぇ、といった表情の由良さんがおりました。


「新機種に交換したばかりということにしてあるから、対衝撃と防水くらいはついているが、それ以外は無いからな。扱いに注意しておけよ。いつもみたいにラフに扱うなよ」と厳しめな表情でおっしゃって、斯波さんが由良さんにしっかりとした口調で説明書を手渡しました。



「さらにはバイクも使用禁止だ、中学生がバイクに乗るんじゃない。自転車は用意したからそれに乗ってくれ。電動自転車なのでバイク程とは言わんが楽だぞ。バッテリーは交換不可能なように改造してあるから、盗まれる心配は無いと思うが」としっかりとした口調で表情は変えずに一気におっしゃいました。


 たましいこそ抜けて無い物の「うん、うん、分った。大人しくしておく」とさっきの元気はどこへやらといった感じの表情で由良さんが静かにおっしゃってりました。



「由良は今、魂抜けかけてるからな……」と斯波さんがちょっと残念そうな表情で静かにおっしゃいました。


「まぁ、もう少し心の整理が付いたら元の由良に戻ると思うが……少し眺めてやっていてくれ」と斯波さんが静かな口調のまま少し困ったような表情でその状態を見ながらおっしゃいます。


「それと由良は温羅うら 香織として、任務にくことになる。一字違いだが、呼び名を間違わないようにしてくれ」と表情は穏やかな感じになりましたが続けてしっかりとした口調で、私に向けておっしゃいました。



遠縁とおえん親戚筋しんせきすじということにしてあるから、べったりでもいいぞ。そっちの方がカバーリングはしやすいだろう。それぞれでカバーし合ってくれ」と背にみぎけんがこいの検非違使のマークが入ったタブレット端末たんまつを見ながらはっきりとした口調で表情は変えずにおっしゃいました。


「手術までこちらに逗留とうりゅうさせてもらっている。という設定になっているので、その心算つもりで頼む」と斯波さんが表情はそのままでしっかりとした口調でおっしゃいました。


「一応対象病院は市民病院ということになってはいるが、転院する設定になっているのでそのつもりでそれ以降は知らないということでいい。京都にある病院に転院するということになっている位で覚えていて欲しい」と斯波さんは表情は穏やかに口調だけはしっかりとそういう話をしてくださいました。


「とりあえずの抜けは無いはずだが、まぁ今が冬で良かった。水泳の授業が無い。あると下から覗かれる可能性があるから、本格的に装備がつけられなくなるところだった」と斯波さんは表情を変えずに独り言のように静かにおっしゃいました。


「階段でも気を付けてくれよ? あまり急な勾配こうばいの階段は上り下りしないように」とまた更に由良さんに注文を付ける斯波さんが表情はそのまましっかりとした口調でおっしゃいました。



 それだけ潜入せんにゅうというのは面倒めんどうくさいらしいです。



「これだけセッティングしても、一つのミスからあばかれてしまうからな。学生さんという者はそういう者たちなんだからな。そろそろ正気に戻れ。さとい者の中にもぐり込むんだミスは無しにしてくれよ」とはっきりとした口調で少し穏やかながら厳しめな表情でおっしゃいました。


「元気だった頃の名残で体術たいじゅつ体捌たいさばきや格闘や合気道あいきどうにまで制限は無いから、そこらはいつも通りでいいから。」と斯波さんが口調と表情はそのままでおっしゃると、「喧嘩けんか売ってくる子はいつもどおりの作法でいいの? 物理的に足止めしてくる子なら物理的に対処しても、いいってこと?」と半分ほど表情が戻った由良さんが問うような口調でおっしゃいました。


「そうだ、そこはいつも通りより少しソフト目で対応してくれればいい」と斯波さんも穏やかな表情でしっかりとした口調ながらおっしゃいます。


「邪魔になりそうなら、めても構わないぞ」と斯波さんがチョークスリーパーホールドと思われるめるポーズを追加しながらはっきりとした口調でおっしゃいます。


「それ以外は平和的に解決してくれ。頓智とんちではないが似たようなものだ」とも追加で静かな口調で表情は穏やかにおっしゃいました。



「送り迎えは、長良が大人しい車の時に限り任すことにする。ツーシーターの時は自転車か歩いて行ってくれ。そこまでの面倒は見切みきらん。アイツもそこそこ目立つからな」と静かな口調でいいながら斯波さんは少々考え込みました。


「あ、そうだ髪はプラチナブロンドに戻して置けよ。そこまでならダブルかミックスということで対処ができる。染め抜きは一応いつも持っているんだろう。髪を傷めないタイプの染め物だと聞いてはいるが? それであっているか?」と由良さんに確認するような表情で静かにおっしゃいました。


 やはり薄桜うすざくら色の髪は、染めているだけだったようです。


「長良の赤髪あかがみ地毛じげだからどうにもならないにしても、かつらくらいはつけることを要請ようせいする。送迎そうげいするときくらいはね」と斯波さんは考え込んでいた表情から穏やかな表情に戻して静かな口調でおっしゃいました。



「まぁ仕方ないか」とあきらめモードで由良さんが髪色を戻すべく「洗面所はこっちか」と静かにおっしゃって洗面所のほうに歩いて行かれました。



「こちら副課長加藤だ、長良・ウィルエル組は構成員マルタイの方の捜査を県警の捜査一課の刑事と組んで行ってくれ。捜一が新たに加わる。各員は捜査チームに折神おりがみ 清志郎せいしろうが加わることを確認してくれ。データは今、各位のタブレットに送信した」と副課長が通信でおっしゃった様でした。


 偶々たまたま通信機をオープンにしていた、斯波さんの通信機から聞こえました。


「と、いかんいかん」と軽くあせりを見せ、慌てて斯波さんはレシーバーを下げ通信機をクローズにしたのでした。



「どんな方が新たに加わるのですか? いきなり来られても対処たいしょに困ると思うのでお見せ願えますか?」とタブレット端末を開いて穏やかな表情でながめている斯波さんに聞くことにしました。


「かなりイケメンだな、折神 清志郎、二十七歳か。そっちに行くことも、あるかも知れないから。見せておくよ」と穏やかな表情のまま静かな口調で斯波さんがあっさりと写真フォトイメージデータを見せていただけました。


格好良かっこうよい人ですね」と私は静かにうなづきながら確認しました。


 大学院生といっても通用しそうな若くて甘いマスクをお持ちの方でした黒髪で少し色白でしたが、立ち写真もあり健康そうな精悍せいかんな肉体をお持ちに見えました。


 車と一緒に写っている写真イメージデータも数枚あり、身長は百八十センチメートルくらいはありそうな感じでした。


 笑顔でないのが残念な感じがしました。まぁ捜査中の写真とかなのでしょう。笑ったらいい感じなのにと思ったくらいでした。


 美男子イケメン具合は長良さんと、いい勝負の様な気がしました。


「長良といい勝負だな……」と斯波さんは静かな口調で思ったことを口にしたようでした。


「由良から、もう一つ取り上げないといかんものができてしまった。タブレット端末はウチ専用だから、ただの中学生が持ってたらおかしなことになる」と少し慌てた表情ではっきりとした口調になっておっしゃいました。


 そこへ、プラチナブロンドに戻した由良さんが戻ってきました。


「由良、タブレット端末もだ、あれはウチ専用だから。只の中学生が、持っていたらおかしい」と戻って来た直後の由良さんに斯波さんが、容赦ようしゃのない厳しめな口調と表情でその一言をおっしゃいました。


「まだあったか……」と大人おとなしく静かな表情と口調でタブレット端末をあずける由良さんがいました。


「で、だれか新しい人が加わるって?」と由良さんが髪を太めのロールブラシでとかしてストレートヘアに戻しながら静かな表情と口調でおっしゃいました。


「折神 清志郎、二十七歳だそうだ。兵庫県警の捜査一課の刑事だよ。県警も合同捜査班に加える様にいって来ている。どっかでつながったんじゃないかな? 意外と構成員かもな」と斯波さんも静かな表情と口調でデータの備考を見ながらおっしゃいました。


「連絡員をよこして来たってことはそうだろうなー」と由良さんも表情を抑えうなづきながら静かにおっしゃいました。


「笑顔ならイケメンで通りそうなのに」とも追加で表情は変えずに静かな口調でおっしゃいました。


 我々女性組は三人とも、同じことを考えた様です。


「こっちにも来るの?」と由良さんが表情と口調はそのままでおっしゃいました。


「行ったら困るだろう? だから美空じょうにも見せたんだが? 不味まずかったか?」と斯波さんが逆に問うような口調で表情は変えずにおっしゃいました。


「その判断であってると思う」と由良さんが静かな口調で静かな表情でその問いに答えました。


「もう二十一時か、追加の下着インナーるいはこっちのバッグだ。一週間分あれば足りるだろう?」と斯波さんが穏やかな表情に変えてしかし静かな口調のままおっしゃって、三袋目にあたる大きめの白いバッグを出しました。


 五十リットルくらいの容量はありそうなダッフルバッグでした。


「自転車はもう降ろして、母屋おもや軒先のきさきに置いてある。銀色の自転車を、使ってくれ。温羅 香織で防犯登録済みだ。学生手帳も温羅 香織になっているからよろしく。漢字が少々面倒だが……」と斯波さんが中学の学生手帳を開いて文字を見せながら穏やかな表情のまま静かな口調でそのようにおっしゃいました。


「私は一旦八課に戻る。何かあったら連絡はくれ。スマホの一番最後に登録してある。バレにくいと思うが、バレても昔使ったことがあるくらいでませておけ。相談したことがあるくらいで通るはずだ」と斯波さんが表情を変えずにはっきりとした口調でおっしゃいました。




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--------------------《対応データ》--------------------

※この作品はフィクションです実在の人物や団体、

 ブランドなどとは関係ありません。


8357:由良の手に合わせるようにカスタマイズされた銃、原型は少々旧いがベレッタM8357クーガーの.357SIG弾系弾丸対応モデルであります。


 様々なカスタムが施されているうえにロングバレル化等の、改造等も行われています。


 四インチ追加のロングノーズモデルです。


 消音器を付けると長さが結構なことになるので、改造ホルスターにも入りません。


 今回は軽量のハンドガンケースで携行するようです。



8045:8357同様のベレッタM8045クーガーの.45ACP系弾丸対応モデルです。


 こちらはサイレンサー付でも短く収まるので、改造ホルスターにでもフィッティングする性質を持っています。


 ただし、こちらのサイレンサーは消音器というよりも減音器といったところです。



226:普段は背中に配してある、SIG系226型因み口径は9×19mmPミリパラベラムモデルです。


 由良が使うHGハンドガンとしては唯一射程が長く、取り回しもしやすいころからカスタマイズされて扱われています。


 消音器を付けても小振りで済むため取り扱いにも優れています。



銃弾:検非違使で使用される銃弾は、対妖魔機関としては当たり前で全て銀弾が標準となります。


ツーシーター:二座席スーパースポーツ車両の事、を暗に示す用語です。


 長良さんだから、使われる特殊な用語だと思ってほしいのです。


 ツーシーターとは二座席の事であり、その様な車に乗ることが多いからですが、略していわれているのです。



独鈷杵:両剣を模した片手型の法具である、神法に寄る伸延を可能とする法具です。


 特殊な生成のされ方をします。


 検非違使で使用されるモデルは、ナイフ程度の刃も付いているので、取り扱いに注意が必要となります。



五鈷鈴:五鈷杵の片側と鈴から成る独特の法具です。


 検非違使で使用される法具です。


 振り回すと音がうるさそうですが、振り回す際は意図的に音を抜くこともできる特殊法具です。


 片側の五鈷杵は剣の部分の伸延が可能なモノで、五鈷杵側は主に突く攻撃に向く、伸延時は剣としても扱え、五鈷鈴側で神法を、扱える特殊なものとなっています。

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