第33話
「精霊の階位や属性はこんな所かな。カイ、ちょっと良いかな」
エリックが、口を潤す為かお茶を飲みつつ氷川先輩の方を見る。
「何ですか?」
氷川先輩が首を傾げていると、エリックは楽し気に笑う。
「うん。空属性魔法の使い手かどうかは魔道具を使えば簡単に分かるけど、一応、全員の能力を全員把握しておいた方が良いかなと思ってね。説明しても良いかい?」
エリックの言葉に氷川先輩は肯く。
「そうですね。学校に行っていた仲間は、入学前に蛇神様に能力を教えてもらいましたから皆知っていますが、他のメンバーは知らない訳ですし、ここで知っておくのも良いと思います」
氷川先輩の言葉を受け、エリックは楽しそうに肯く。
「それじゃ先ずは、今までも力が使えた人達の説明といきますか」
そのエリックの言葉に、学校へ行っていないメンバーが緊張したらしいのが伝わってくる。
「最初はカイね。カイは、空、雷、闇、氷、火、風、水の高位精霊の力が使えるんだよ。これは凄いんだからね。七属性使えるのは高位貴族クラスだし、しかも全部高位精霊とか、王族か! って位もの凄いの」
村沢君が恐る恐る訊ねた。
「……あの、高位貴族って位ですから偉いんでしょうけど、貴族の大まかな区分ってどうなっているのか伺っても良いでしょうか……?」
それにエリックは納得顔。
「確かにね。ええっと、王、王族、高位貴族、上位貴族、中位貴族、下位貴族って分け方だね。で、高位貴族は、公爵と侯爵。上位貴族は伯爵。次は中位貴族の子爵。最後が男爵。貴族以外だと准男爵があって、その下に士爵。我が国には奴隷は居ないから、平民が一番下かな。士爵の下が従族で、一番下が平民だよ。准男爵は准男爵しか区分が無いけど、士爵はその中でも最上位、上位、中位、下位の区分けが有る。従族っていうのは、貴族とか士爵に仕える一族の人達。それで、平民でも上流、中流、下流って区分があったりする」
村沢君はどこか不安そうに眉根を寄せつつお礼を言う。
「ありがとうございました。助かりました」
それにエリックは鷹揚に笑っていた。
「良いよ。それじゃあ次はトーヤね。トーヤは空と緑、光、火、地、水の高位精霊の力を使える上に、異能力としてシールドが張れる。これは色々便利で、精霊の力をつかったものより応用力が高くて頑丈みたいだね。トーヤも凄いよ。六属性なんて上位貴族クラスだよ。六属性全部高位精霊なんて高位貴族でも滅多に出ないからねえ。基本的に、複数属性で最低が高位精霊なんていうのは王族だからね。一応の分け方としては、中位貴族と下位貴族は五属性で、准男爵、士爵は四属性。それ以外は三か二属性が一般的だよ。勿論、標準がそうなだけで、それより多い人達もかなりいるけどね。逆に区分の平均より少ない人はそうそう居ないよ。だからアルターリアー王国は、最低でも二属性は持っている人が大多数な訳。友好国のアエテルニターティス王国以外だと、複数属性は圧倒的に少数派だね。まあ、一属性だったとしても、上位精霊の力が使えれば生活は安泰だよ。貴族なら最低でも中位の精霊の力は使えないといけないし、准男爵と士爵も同様だけどね。それ以外には関係ないから気にしなくても大丈夫だよ。詳しく言うのなら、貴族は最低でも中位の上の下な精霊の力が使えないといけないし、准男爵は中位の中の中で、士爵なら中位の中の下だね。従族には特に決まりはないかな、ピンキリだし。精霊のランクはさ、最低限だから、一つでもそれ以下だと大変だよ。結構色々あるんだよねえ。平民ならいくらそれ以下の力があろうと別段大丈夫だけどね。高位精霊の力が一つでも使えたら、貴族や准男爵、士爵も、まあ、其々の区分の最低限の奴よりいくつか下が有ったとしても、高位精霊が一つも無いよりは、マシ、かなぁ」
何だか、学校に行っていなかったメンバーが不安そうに顔を見合わせている。
「次はサツキ。サツキはアハオラム様の巫女だね。神々と個人的な主従関係は珍しいかな。力としては、アハオラム様のお力の、空、光、風、水の力を借りれるよ」
皆が不思議そうな顔をしているが、エリックはサラッと無視。
「そうだね、次はルナにしよう。ルナは精霊魔法は全く使えないけど、浄化、怪我と病の治癒、解毒、殺菌とかの異能力を使えるんだ。魔力は精霊魔法じゃなくて、異能力に用いられているんだよね。それで、神々や精霊にとても好かれる体質。カイもトーヤもサツキもそうだけど、ルナは飛び抜けているかな。だからだろうけど、ルナがソキウスにしようとすると、とても難しい種類もスルッとソキウス化したりするね。これは凄い貴重。今、ソキウスの需要がもの凄く高まっているから、バンバンとソキウス化してくれると国としては非常に助かるね。魔石類はここんとこ過剰気味だからソキウスとかの方が嬉しいし、値段も上がってるよ。カイ達も普通の人よりソキウスにする才能有るから、今度から考えてみてくれると助かる。あ、でも、無理はしなくて良いからね」
エリックの説明に、ちょっと疑問。
「ねえ、エリック。神々や精霊に好かれる体質だと、ソキウスにしやすい才能が有るものなの?」
エリックは楽し気に笑っている。
「勿論。ただ、どうしても無理な場合も有るから、ソキウスにするのはケースバイケースで構わないよ」
その言葉に、ちょっと楽になった気がした。
「ありがとう。そうだね、出来得る限り、頑張ってみる」
私の言葉にエリックは温かく微笑んだ。
「うん。そうしてくれると嬉しい。で、次はシュンね。シュンは、火の高位精霊と、闇、光、風、水の上位精霊の力を使える訳。最低が上位精霊なんて、属性的にも、力的にも、上位貴族か高位貴族の上位だよ。五属性でも最低が上位なら凄いんだ。複数属性持っていても最低が中位精霊っていうのは高位貴族でもザラだし。シュンは言葉遣いは荒いけど気が付くタイプだし、うん、爵位を得ても大丈夫だね」
長谷部さんは疑惑の眼差しを、どうやら日向先輩に向けている様だ。
でも日向先輩は、ああ見えて本当に根っこが真面目で気遣いも出来る人なので、そんな目で見たら、何というか、その、失礼ではないかと……
「次は、そうだな、ハルトで良いかな。ハルトは、緑と闇と光、氷、火、風、地の上位精霊と水の中位精霊の力を使えるんだけど、これも凄いんだよ。八属性だからね。しかも最低が中位精霊の上の中だから、立派に高位貴族クラスって所。できれば高位精霊が一属性でもあると色々有利なんだけど、こればっかりは仕方がないね」
笹原君と村沢君が、苦笑している設楽君の肩をポンポンと叩いて元気付けていた。
「最後はアキラ。アキラは、地属性が使えるんだけど、どうもドール系やゴーレム系、ホムンクルス系、レプリカント系とかを創るのに特化している感じだね。それ以外は魔法使えないし。ただ、創作したのを鑑定すると、どうも高位精霊の力は使っているらしいからどれも性能が高性能、高品質で凄いんだよねえ。地属性の仕事って基本的に創造だから、アキラは別に問題ないからなあ。需要も凄い有るよ」
鈴木君は複雑そうな顔をしていて、笹原君、村沢君、酒井君と安藤君が代わる代わる肩を叩いて苦笑している。
「学校で一緒だった皆の能力はこんなものかな。それじゃ、次は、今回力を得た人達の解説といきますか」
エリックの言葉を聴いた皆の緊張が肌に痛い程感じられ、私も落ち着かなくなってしまった。
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