第68話 トンボと親衛隊

「な、何ものだ?!」


 ゼクスは俺を見ても気付かない。それもそのはず。何故なら今の俺は、これなのだ!


 久々の職業就労だぜ。バッキョーン!


◆◆


・名前/タロー ヤマダ

・種族/改造人間

・年齢/16

・職業/ドラゴンフライダー1号Lv.68

・生命力 8706/174121

・攻撃力 11608/232162

・防御力 7255/145101

・魔力 4353/87060


ーースキル


・火魔法Lv.4

・土魔法Lv.5

・光魔法Lv.1

・風魔法Lv.2

・水魔法Lv.3

・無属性魔法Lv.3

・生活魔法

・全方位視野(new)


ーーエクストラスキル


・アイテムボックスLv.5

・自己アピール

・嘘八百

・身体強化→身体強化Ⅱ(new)

・一人キャンプ

・優良ドライバー

・友達百人(11/100)

・賢者の部屋

・聖縄

・飛行?(new)


 そして【ドラゴンフライダー】の就業時間は1時間。クールタイムは24時間だ。


◆◆オープニングナレーション


 ドラゴンフライダー=タロー・ショキ・ヤマダは改造人間である。彼を改造した能力は不明だが、たぶん神様とか世界の管理者的な何かである。ドラゴンフライダーは己の欲望と御手洗先輩のために、それを邪魔する者と今日も闘うのだ。

 ♪チャカチャカチャン、チャカチャカチャン、チャカチャカチャーン。セマルー……♪


◆◆


 つまり、トンボ(ドラゴンフライ)の改造人間になったわけである!


 何故、子供向けの特撮ヒーローに就労したのかって?


 チッチッチ。君たちはドラゴンフライダー1号の格好良さを知らないのだ。俺が小学生時代は『ドラゴンフライダー777スリーセブン(パチンコをモチーフ)』だったが1号の格好良さをに触れて、最近のドラゴンフライダーがいかに幼稚臭いかに気づいてしまったのだ。更にあの渋い俳優さんがドラゴンフライダー1号だったとは……!


 何よりドラゴンフライダーは服を着たまま変身できるので便利だ。つまり今日は変装道具を持ってきてないのが一番の理由だったりする。今の俺の姿は大きなトンボの目をしたフルフェイスヘルメットに手袋、ブーツ姿のライダースーツ。このダサさがカッコイイぜ。


 異論は認める。


     *     *


 そして冒頭に戻ろう。


「何ものか、だと。ふふ、俺は傭兵戦隊セイント・カイン、紺碧のショキだ!」


 ここで1号ポーズだ、ジャッキーン!


「えっ、ショキさん?」


「ショキ殿?」


 ゼクスより先にビオラとバスが反応した。


 あれ、名乗る必要なかったかな? また、しくじったか。ま、まあいいや。


「大勢で女を追い立てやいばを向けるその所業、許すまじ。天に代わって、この紺碧のショキが成敗する!」


「ふん、何を馬鹿な事を……」


 と、そこで周囲を見渡すゼクス。そして、10人以上いたはずの仲間が倒れているのに初めて気付いた。


「こ……これは貴様が?」


 ビオラとバスも最初は驚愕の表情を浮かべていたが、俺の実力を思い出したのか納得顔だ。


「残るは、お前一人だぞ」ビシッ!


「ま、待て。私は王国の近衛騎士であり、我々は聖女親衛隊だ。この者達は聖女ミタライを探っていた怪しい他国の間者達なのだぞ!」


「えっ……と、聖女親衛隊ですか?」

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