幕間 宝物庫の探検

  リーラに仕事をさせようとする兄をとがめようと後をついて来たエリザベスはクリストファーが執務室には向かっていないので疑問に思い尋ねる。

「お兄様、仕事とはどちらでするのですか?」

「宝物庫だ。」


 ビルはリヴァリオン国のお宝をリーラと聖剣様に鑑定してもらわなくではいけない事を思い出す。

「あぁ。宝物庫ね。あれっ、リーラ、聖剣様は?」

ビルがいつも傍にいる剣を思い出す。

「あっ、忘れてた。」

リーラはクリストファーの自室に戻りエクストリアを回収する。


『ごめんね、完全忘れてた。』

『許さん。』

「陛下、聖剣様が部屋に置き忘れていたのですごく怒っています。」

「なんとかしろ。」

「えーっ。」


「剣と話ができるのね!すごいわ!」

「エリザベス様、この剣は精霊だそうですよ。」

ビルが教えるとエリザベスはまじまじと剣を興味深そうに見る。

 

宝物庫に入る一同。

「ここには我が一族が誇る宝を保管している。」

「おぉー。」

「これがリヴァリオン国からの宝だ。ローズ夫人の持参金代わりの品だ。」

「どうしてローズ夫人の品がここに?普通リッチモンド侯爵の物でしょう?」

リーラはビルを見る。

「まぁ、そうなんだけど色々訳があって。トンネル開通に関してリヴァリオン国にもお金を出してもらう予定だったんだか出さないと言い出したんだ。トンネル開通時に鉱物を発掘で得たから要らないだろとか言い出してさ。確かに鉱物は取れたけどアンデルクと分割するからね。そんな大金にはならなかったんだ。

 どうやってお金を出さそうと思ったら奥さんと結婚することになって持参金としてがっぽり奪ってやれと思って貰ってきたんだ。」

「鬼畜。」 

リーラが冷ややかにビルを見る。

「仕方ないだろう。この方の命なんだから。」

三人がクリストファーを見る。

「私は悪くない。どちらにしろゾーンから奪われることを阻止できたんだぞ。褒めるところだろ。」


『はぁ。(ため息)

確かにこいつの言う通りだ。

ここにある品は初代王の子孫達、力のあった時代の物だ。剣や宝物には精霊の加護の力が残っている。持ち主よって使えれるものもあるだろう。』

「本当?」

「どうした?」

「ここにある品はかなりの年代物らしいですよ。剣などに加護が与えられて

持ち主によって使えるらしいです。」

試しにビルとクリストファーは剣を握る。

「何も起こらない。」

「そうだな、何も感じないな。」

「私も試させてくださいよ!」

ビルから剣を渡されリーラが剣を握る。

「えっ?風の加護?」

軽く剣を振る。ピュンと風が起こる。

「凄い!」

「これは何の剣だ?」

リーラはクリストファーから剣を受け取る。

「多分、火かな。握ると温かい。」

軽く剣を振ると、微かに火が起こる。

「おぉー。」


「きゃあ!!」

一面光り輝く。

「エリザベス!」

 みながエリザベスに近づく。

 エリザベスの手には透明に光り輝く玉のネックレスがあった。


『玉が持つ事を許可したようだ。光の加護の石だ。持ち主を守る力がまだ残っている。リーラが力を補充すれば使える。恐らくラクラインが子達に与えた物だろう。』


リーラは玉を触り力を補充する。玉は吸収するように光り輝き透明に戻る。


「これらは、初代王が子達には与えた物らしいです。ネックレスはベス様を持ち主と認めたみたいですよ。今、新たに力をいれたからこれからも玉がベス様を守ってくれますよ。」 


「ありがとう!リーラって物語の主人公みたいにすごい力を持っているのね!」


『普通は精霊が嫌う狼の一族が加護付きの物を使いこなせないが血が薄まっているのか、心が純粋なのか…』


「ふ〜ん。陛下達は、狼の一族らしいですよ。精霊が嫌っているから加護付きの物を使いこなせないが普通らしいです。血が薄まっているのか、ベス様の心が純粋なのか…」


「僕は純粋じゃないのか…。」


「確かに私も純粋ではないかもな…

我が一族が狼の一族…ってなんだ?」


「先祖は狼だったんじゃないですか?」


「ぷはははっ。クリス、狼に変身できるの?

あははは。

まぁ、男はいつでも狼だけどね!」


「ビル隊長、気持ち悪っ。」

軽蔑の眼差しを向けるリーラ。

先ほど触っていた剣を手に取る。

「この風の剣で吹き飛ばしてやろうかな〜。」

にやりと悪い顔をする。


「おまえ、止めろよ!上司であり兄でもあるんだぞ、僕は!」

剣を振りかざし風でビルを吹き飛ばす。

ビルは飛ばされ、ドカンとドアにぶつかる。

「ぷっ、あははは。」

大笑いするリーラの隙を見てクリストファーは剣を奪う。

「リーラ、僕は怒ったからな。おまえ、今日はとことん仕事させてやる。」

「やだよ!。なんで騎士候補生なのに仕事やらないといけないんだよ。」

ひょいとビルにかつがれ連れ去られるリーラ。

「馬鹿!下ろせよ!」

ぎゃあーぎゃあー二人の声がだんだん遠くなる。


「なんだかんだ言って二人は仲良し兄弟ね。」

「くっくっく。そうだな。」

笑いを必死に堪えていたが我慢出来ず笑い出す。

「あれはかなり傑作だな。まさか風に

飛ばされるとは…これはハルクに話さなくては。」


「お兄様も変わられたわね。

リーラのおかげね…」

 皇帝である肩書をいつも重く背負っている兄だが、今、心から笑っている姿がごく普通の青年に見え、嬉しく感じるエリザベスだった。

 


 この宝物庫にある数々のリヴァリオンのお宝が誰が使いこなせるかわかるのはまだまだ先のお話となる。

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