第6話 総隊長一家の年越し

 この1か月なかなか充実した帝都実地訓練だった。

 帰ろうとすると詰所に誰か入って来た。

「おっ、リーラ!終わったか?うちで年越しするから帰るぞ。」

エドモンド副隊長がやって来た。

「年越し??」

「ダリルさんもくるから親父にリーラを連れてこいと言われてさ。

いくぞ〜。」

 詰所に止めていた馬にひょいと乗せられハルク総隊長の家に行く。パカパカと馬に乗りながら着いたのは騎士住宅地の手前にある大きな家だった。誰の家だろうといつも思っていた。


「ただいま戻りました。」

 エドモンド副隊長が居間に入る。

中を見る数多くの刀が飾ってある。

凄いや。かっこいい!!

「帰ってきたか。おっ、リーラもいるな。」

 ハルク総隊長に手招きされ居間に入るとすでに酔っている父さんが手を振っている。

「いらっしゃい。」

と貫禄のあるがっしりとした女性に声をかけられた。ハルク総隊長の奥さんでマリアさんだ。居間にはエドモンド隊長の奥さんとハルク総隊長の2人の娘さんとその子供達が居た。

「あら、後輩来たわね。座りなさい。」

「ありがとうございます。」

頭を下げちょこんと座る。

2人の娘さんはお姉さんがミアさん、妹さんがメリッサさん。キャサリン隊長の後に入った現役女性騎士だ。今は子育て中で騎士の仕事は休みだ。ちなみに旦那さんも騎士らしい。ミアさんが飲み物を置きながら話し出した。

「どうだった?実地訓練?」

「色々経験できて勉強になりました。」

「年明けからは皇宮よね。オースティン隊長だからねぇ。あっちの方が大変よ。頑張れ。」

メリッサさんが

「さぁ、たくさん食べなさい。父さん達は飲み比べ始めちゃたから私達で楽しみましょう。どこの配属希望?」

「4番隊に行きたいです。」

「わかるー。他国にも行けるしね。楽しかったわよ。」

「メリッサさんは、4番隊所属だったんですか?」

「憧れのキャサリン隊長がいたからね。けど実戦かなりあるわよ。ほら、腕見て、まだ跡が残ってるの!」

「おぉー。」

凄い!メリッサさんに称賛の眼差しを送る。

「傷跡見て喜ぶなんて。あんた、やっぱ騎士だね〜。じゃあ、かんぱーい!」

私は、果物のジュースを持ってメリッサさんとグラスを合わせる。


「リーラ、来てくれ。」

父さんが私を呼ぶ。

「なに?」

「これから各領に派遣され何週間ごと家を空けることになる。その時は、ハルクの所で世話になってくれ。」

「派遣じゃなくて各領の偵察だろう。」

ハルク総隊長がノールを飲みながら話す。

 (ノールとは大麦を発酵させたお酒)

「馬鹿やろう!リーラに言うな!機密事項だろうが!」

「うわっ、しまった。おしゃべり娘に聞かれてしまった〜。言うなよ。」

誰がおしゃべり娘だ。この酔っ払い親父達殴っていいだろうか…

「ということだ。リーラ。」

「はい、はい。」


 あいつら酔っ払うとタチ悪いなぁと

思いながら席に戻るとマリアさんが果物を切って持ってきてくれた。

「ごめんね、リーラ。お酒が入ると調子乗るのよ。でも、ダリルさんが来てくれて嬉しいのよ。私達の年代の騎士はみな戦上で亡くなったり怪我で騎士を続けられず退役したり現役はほとんどいないわ。また、2人話合うでしょう。あんな楽しそうなハルク久しぶりなのよ。いつでも2人で来てちょうだい。」

「ありがとうございます。父さんも仕事上、ずっと1人でいたので寂しかったと思います。ハルク総隊長と気が合うみたいなのでこれからよろしくお願いします」

私は、ぺこりと頭を下げた。

「本当に気が合うようね。」

2人であはははと笑いながらお酒をんでいる姿がなんだか微笑ましく思えた。

 その後、子供達とカードゲームで遊びながら年を越したのだ。夜、寝ずに遊んだのは始めてだ。年越しって楽しい。父さんとハルクさんを見ると飲みつぶれて居間に寝転がって寝ていた。よくあれだけ飲めるもんだとマリアさん達とあきれてしまった。







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