第14話 襲撃事件の真相


 黒獅子棟にある騎士総本部には各隊長と宰相ルドルフが集まられ騎士候補生襲撃事件の報告が行われようとしていた。


「では、襲撃事件の報告を行う。その前に陛下からみなに話がある。」

ハルクがクリストファーに合図を送る。


「今回の襲撃報告の前に聞いてほしい。今回の標的は騎士候補生のリーラ・ハントンだ。」

各隊長は何故と驚きの表情になる。


「彼女の本来の名はリヴァリオン王女、リーラ・リヴァリオン・ラクラインである。ダリル殿は父親ではなく護衛騎士だ。」


「えっ?!」とオースティン、キャサリン、ラモントは目を見開き驚く。


「このことは各隊長、貴族では宰相の信頼のおける大臣までで留めるつもりだ。

襲撃事件からわかるように王女が我が国に逃げてきたことがゾーン国に知られたようだ。ビル、報告を始めろ。」


ビルが報告を読み上げる。

「騎士候補生襲撃の前にゾーン密偵5名は魅惑の実の香使用、麻痺で動けないようにして王女を誘拐予定だったが王女捕獲に失敗。

 その後、第1番隊諜報騎士2名とリーラ王女で戦闘。敵2名については1番隊の諜報部隊2名が撃退。敵3名はリーラ王女が撃退したと報告が上がっています。

敵5名死亡確認。内1名はリヴァリオンの民が利用された模様。」


「王女と騎士候補生の状態は?」

クリストファーが尋ねる。

「王女は両頬を強打されたと報告がありますが完治しています。しかし、倒した1名がリヴァリオン国の民であったことに精神不安定な状態と報告が上がっています。」


「一人で3人殺ったのか?」

ラモントが尋ねるとビルは答えにくそうに、

「諜報騎士が現場に着いた時には全身を血塗ちまみれの状態でパニックを起こしていたそうです。」

「血に塗られた黒獅子がまた生まれたか。」

チラリとハルクはクリストファーを見る。


「あと、魅惑の実を使われた騎士候補生は当初麻痺状態があり意識不明でした。かなり効果の強い物を使用されたようです。ダリル殿が応急処置をほどこしたので意識は戻り後遺症はないと思われますが念のため医療院にて治療中です。

 あと騎士候補生として入り込んだ密偵の少年に襲撃された騎士、ユーリアム公爵の次男はまだ意識不明の状態です。

 あと、ダリル殿から願いがありましてリヴァリオンの密偵を共同墓地で埋葬を希望されています。どうやら魅惑の実の影響をかなり受けており洗脳されていた可能性があるようです。」


「ゾーンめ、人を洗脳して操るとは許せん。

埋葬の件、許可する。

ラモント、甥は大丈夫か?」


「意識が戻らないためなんとも言えない状況です。しかし、あやつは騎士としてよくやりました。」

皆がそうだなとうなずく。


「質問があります。」

オースティンが尋ねる。

「なんだ。」

「なぜ、王女には魅惑の実の香が効かなかったのですか?」

「詳細は話せないがそれがゾーンの狙いだ。」

「はぁ…我々と違う特殊体質なんですね。あの娘が…」

「ゾーンの狙いはリーラ王女だとわかった以上、ゾーンが再び襲撃することが予想される。王女の安全を確保しやすい配置が望ましいのでこのまま配属は第1番隊のままだ。今後動きがあれば報告しろ。

宰相は各大臣、貴族院に報告を伝えろ。」

「御意。」

「各隊員にも報告内容を伝え、ゾーンへの警戒を怠るな!!」

「「「「御意。」」」」


「では、解散する。」




クリストファーとハルクは会議室から皇宮へ向かう。

 「ハルク、リーラ王女は大丈夫なのか?」


「ダリルから聞いたところ、かなりダメージを受けているそうですね。医療院に入っていますが、ほとんど食事にも手をつけていないそうです。リヴァリオン城内の惨殺ざんさつも聞かされたそうです。

 しかし、1番は自国民を殺めてしまったのが相当こたえているようです。

 あなたならわかるのでは?

 上にいる者として同胞を殺めなければならなかったあなたなら。」

「………。」

「まぁ、無理にとはいいませんがリーラに優しい声でも掛けてやってください。つよがっていますが一応繊細せんさいな女の子なんですよ。たまにはお姫様扱いしてやってください。女の子には我ら親父より白馬の王子様がいいでしょう。」

「白馬の王子って…

私は王子ではないがな。

私が彼女に声をかけるか…。

あと、リーラ王女にユーリアムの次男の事を教えてやってくれとダリル殿にことづけてくれないか。」


「……力を使えと。」


「彼女なら友の危篤状態を知りたいだろう。救うか救わないかは、彼女の自由だ。」

「まぁ、知らせてやらないとかわいそうですな。それをきっかけに自分を取り戻せるかもしれないですな。承知した。では。」

「あぁ。」


 クリストファーは自身の護衛に命令する。

「レンに伝えろ。リーラの状況を逐一報告しろと。」

「御意。」


 

 私はリーラにどのような声をかけれるだろか。


 戦場では後悔だらけだった。しかし、ハルク達が私にいつも励ましの声をかけ支えてくれた。故に自身が歩んできた道に後悔はない。

 強がりか…昔はリーラより強がりだった自分は現隊長達によく指導を受けたものだ。よく強がってキャサリンを何度も怒らせ本気で殴られたものだ。


「私も若い頃は迷惑をかけたな…。」

クリストファーは1人つぶやく。


私は、君を救える言葉を伝えれるだろうか。…


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