第5話 実地訓練ー帝都編ー2

「おばあちゃん、荷物忘れてるよ。」

「ありゃ、騎士様ありがとうございます。手に荷物がいっぱいあると忘れるね〜。」

「だねー。馬車乗り場まで持つの手伝うよ。」

「ありがとうございます。」

 荷物をもちながら馬車乗り場まで案内する。


「リーラ、だいぶ慣れてきたね。」

「ルマンドだって子供の扱い上手いよ。」

「弟がいるからね。ここで役立つと思わなかったよ。」

ルマンドは迷子を親に引き渡し戻って来た。


 2人は順調に仕事をこなしていた。

「おまえ達だいぶ慣れてきたな。来年は第3番隊はどうだ?」

パブロ小隊長が勧誘する。ルマンドとリーラは顔を見合わせ苦笑いをする。


 リーラ達はイアンとも合流して4人で平民の食品を扱う出店パトロールを行う。年越しに備えて街に住む人達はたくさんの買い物をする。

 

 一人の男とすれ違う。なんだか甘い匂いがした。リーラは振り返りその男を見る。旅装束をした男が足早に歩いていた。自然と足はあの男に向かっていた。

「どうした?」

パブロ小隊長が私に声をかける。

「なんかあの男から甘い匂いが…」

…。イアン、念の為応援を呼べ。」

「いくぞ、ひょっこ。」


少し離れた場所から男を追う。男は角を曲がる。そして通りから離れた所にひっそりと物を売る出店の男に近づきを渡しお金を受け取る。まわりを警戒するように立ち去った。

「ルマンド、応援が来るまであの店の男を抑えろ。できるか?」

「はい!」

「リーラ、立ち去った方を追うぞ。いくぞ。」

パブロ小隊長と立ち去った男を追う。

あちらも気づいたようだ。

「気付きやがった。あの突き当りの道に追い込むぞ。リーラ、向こうの道から追いこめ。」

「了解。」

 1本手前の道を走り男が大通りに出ないよう追い込む。男はリーラの姿を見た途端、突き当りの道に向かう。土地勘がないということだ。パブロ小隊長と男を追い込む。

「リーラ、剣を抜け。」

「了解。」

カチャ。剣を抜く。相手も短剣を出す。

『おまえの方に来るぞ。』

エクストリアが言う。

 だろうね、強そうな男騎士と弱そうな女騎士なら当然、突破口は後者だろうしね。

「とりゃあー。」

ブンっと短剣が音が鳴る。

剣に光の力を込め何倍の力で跳ね返す。

剣の打力の強さに短剣は横に飛び、衝撃で男は尻餅をつく。

すぐにパブロ小隊長が男の顔の前に剣先を向ける。

「リーラ、縄で縛れ。」

「了解。」

 縄で男の手首を縛っている時に応援の騎士がやって来た。

「顔に麻袋を被せろ。ほら立て。

ルマンドの方は、大丈夫か?」

「大丈夫です。あちらの店の男は抑えました。やはり何かの香でした。分析に回してます。」

「よし。リーラ、よくやったぞ!日々の練習の成果だな。あははは。」


「ありがとうございます…」

光の力を使いましたなんて言えない。

『……だな。』


 詰所に戻ると男の取り調べが始まった。近頃、街で発見されている香を売っていた元締の男だった。

 男はカツラをかぶっており外すと紫色の髪だった。どこかで見た事のある髪。あぁ、リヴァリオン国のよく来ていたザカルケという奴がこの色だとた。

「ゾーン…」

「よくわかったな。恐らく、ゾーンの商人かそれを装った密偵…。2番隊の留置棟に連れて行け。」

「留置棟はどこにあるんですか?」

パブロ小隊長が教えてくれた。

「知らないのか?騎士住宅地にあるじゃないか。その奥に塀で囲まれた、黒い建物知らない?」

「えーっ!!」

知らなかった。そんな悪い人達がいる棟の近くに住んでるなんて。

「リーラ、候補生一年目に習ったよ。」

ルマンドがいらないフォローを入れる。

「えっ、習った??」

それを聞いたパブロ小隊長が心配そうに私を見つめた。


「じゃあ、今日で一か月の実地訓練終了だ。成績は花丸で提出したから安心して年越しを迎えてくれ。あっ、リーラはしっかり復習しておくように…。」

「はい…」

「じゃあ、解散。」

「「ありがとうございました。」」

 無事、リーラは第3番隊実地訓練を終えることができたのだ。

 

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