第9話 ロッテンハイム商会

「 あー重い。」

私は、両手に荷物を抱えてセントレア通りにある質屋街を通り過ぎ、赤レンガの建物前に止まった。ロッテンハイム商会本部と看板に書かれたルディの家の前で立ち止まった。

 ルディの家は、食材、服飾、宝飾、書籍に関する店を家族で経営している商会だ。食材に関してはいつもお世話になっていて特別に注文したものを家まで届けてくれる。ルディは5人兄弟の末っ子で憧れだった騎士になりたいと家族に話すと末っ子特権ですぐに頑張れと応援されたそうだ。


「こんにちはー。リーラでーす!」


「いらっしゃい。リーラちゃん。ルディ〜。リーラちゃん来たわよー。」


 今、私と話している薄桃色のウェーブされた髪を結い上げているふくよかな貫禄ある女性は、ロッテンハイム商会副会長のアンナ・ロッテンハイム、つまりルディのお母さんなのだ。会長であるルディのお父さんは、各領や他国に買い出しに行っているらしく、商会を切り盛りしているのはアンナさんとルディの兄弟だ。


「あっ、この服を見てほしいです。

アンデルクにいる祖母からたくさん服を送られてきたんですがサイズがほとんど合わなくて着れないから売りたいんです。」

私は、袋の中に入っているピンク色のワンピースを1枚出し手渡した。


「ふーん、あらっ、良い生地使っているわね。また、可愛らしいデザインじゃない。あらっ?服の内側にラベルが?珍しいわね。何か字が入ってるわね。アンデルクの字よね〜、う〜ん、リーラ…ローリー

これってリーラスタイル…

えっ〜!!これ、まさか、まさか…

アンデルクの新進デザイナーのマダムローリーの服じゃない!!」

服を握り締めるアンナさんの手が震えている。


「マダムローリー?確かにおばあ様の名前は、ローリーだけど??」

 私がきょとんとして答えてるとルディがお待たせ〜とやってきた。


「あれ?母さん何興奮してるの?何、このヒラヒラ服…」

ルディが服を触ろうとすると、彼の手をパシーンと叩き

「売り物に触るじゃないわよ!」


アンナさんは、興奮最高潮で話し始めた。

「今アンデルクで人気の洋服ブランドなのよ!アンデルクのアンジェラ王女様がパーティで斬新なドレスを披露なさって、瞬く間にデザイナーのマダムローリーの名が知れ渡ったのよ!娘世代にはリーラスタイル、母世代にはバーバラスタイル、祖母世代には、ローリースタイルとブランド展開してるのよ。なかなかあちらで人気だから手に入らないのよ〜。

1着100ノアンで買い取るわ。どうかしら?」


ふふふとアンナおばさんは、不敵に笑う。1ノアンでドミニクパン屋の大きい丸パンが買えるから、かなりお得?30着あるから3000ノアン?!私の一か月の給料の倍じゃない!すかさず、アンナおばさんに握手を求める。


「ありがとうございます!こんな高額で買い取ってもらっていいんですか??」


「ほほほー。1着200ノアンで売るから大丈夫よー。」


すかさずルディが

「売値言っちゃう??」

と私に申し訳ないような眼差しを送ってくれた。


 私は、3000ノアンの大金が手に入ると思わず嬉しかった。ルディのお母さんはさすが商魂たくましい〜すごい副会長だと感心した。

 アンナおばさんはおばあ様がノーザンランドで出店するつもりはないのかとか、その時は、ロッテンハイム商会が手伝うので口添えをしてくれないかと頼まれた。


「リーラちゃん、出掛ける前に体のサイズ測りましょう。おばあ様に伝えた方がいいわ。」

と部屋に連れて行かれ私のサイズを測ってくれた。これで私に合う服が送られてくるばすだ。あとヒラヒラ服はら着ないからもっと実用性のある服を送って貰わなくては改めて思ったのだ。

 アンナおばさんからお金をもらい、握り締めてルディの所へ行くと大金だからと質屋にお金を預けるように連れて行かれ、結局、友人達の待ち合わせ時間に随分と遅れてしまったのだ。





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