第2話 リーラの騎士候補生2年目

「リーラ!遅刻するから早く起きろ。」

ダリルの張りのある声がリーラの部屋に響く。

「もう朝なの?」とモゾモゾとリーラは、ベットから出ると眠そうな顔で食卓までなんとかたどり着く。


ダリルは、食卓に朝食を並べる。

ミルクをコップに注ぎ、アニーから分けてもらったほんのり甘いパン、ちぎったレタスにざく切りしたきゅうり、卵料理は毎日日替わりで今日はスクランブルエッグの日だ。

「おはよう〜。…グゥー。」

「こらっ、寝るな!どうしてまだ寝着なんだ。ひとまず食べろ。

あーっ、どうして毎日頭が鳥の巣状態なんだ。

リーラ頼むから自分で髪をとけ。」

ダリルは、香油を手に取り、リーラの髪に馴染ませクシで解く。

 アニーから癖直しには、香油をつけたらすぐに直ると聞き、アドバイス通りやってみる。『うーむ、凄い。まっすぐになった。邪魔だからから髪を一つにまとめリボンをつける。うむ、完璧だ。』ふと思う。

「私は、毎朝何をやってるんだろ…

この娘、本当に王女なのだろうか???」

ダリルは、朝からため息とともに嘆く。

「私は、もう行くから食器は自分で洗ってくれよ。頼んだからな。家を出る時、鍵を必ず閉めろ。あと聖剣様は必ず帯剣だぞ!」

「もぐもぐひってらっひゃーい。」


食器を洗い身支度を整える。

『エクストリア〜小さくなってね。』

『あぁ。わかった。』

小さくなった短剣を服の内側に仕舞う。なんと、剣は自由自在に形を変えれるのだ。もともと土の上位精霊で初代王と共に戦えるよう精霊王に懇願し剣に擬態したのがエクストリアだ。


 あの泉で引き継がれた記憶は、はるか昔に精霊王が初代王に光の加護を授け初代王は光の力が使える様になったそうだ。時代は変わり、光の力は次世代へと継承された。だがその力を狙われ賊の襲撃にあい、リーリラ様の姉、ダリルさんの婚約者であったリンダ様は賊に襲われその後自害したそうだ。ダリルさんから哀愁が漂うのはリンダ様を亡くしたからだろう。リーリラ様達は、外部者に光の力が悪用されることを危惧してエクストリアの提案で光の力の契約と精霊を守る結界を切ったそうだ。それ以降が私が知る国の歴史となる。

 不思議に思うのだ。リーリラ様は光の力が強く幼少時コントロール出来なかったそうだ。私は、全くそんなことなく小さい頃から病気なんてしたことない。あと、こんなすごい力があるんだからわざわざ結界や力を消さずに戦えばいいのに…昔は昔なりに事情があったんだろうけど。

おっと、考えごとをしたら出発する時間が過ぎていた。急いで家を出た。


「ぴゅーん。」

手を広げ鳥真似しながら家から学校までの道のりをパタパタと走る。


「おはよー」

「おはよ〜」

ルディがおやっ?と私のリボンを見た。

「リーラ、僕があげたリボンで髪結べるようになったね。」

お店で余ったリボンを私にくれたのだ。

「どう?父さんが結ってくれたんだ。」

「あっ、花の匂いがする。この前買ってくれた香油だね。リーラのお父さんもまめだね。」

アデルが横から入ってきて揶揄からかう。

「リーラは自分で髪の手入れなんてしないからな。リーラの父さんも大変だな。俺が、1年間見てきて髪なんてといた事なかっただろう。マナーの授業の時も身嗜みをしっかりしなさいって注意されてたじゃないか。」

「そうだったね。アデルも注意されてたけどね。」

とにたりとルディもアデルを揶揄からかった。

突然アデルは思い出したように叫ぶ。

「いよいよ今からびっくりタイムの始まりだ!」

「おはよう。みんな、元気でしたか?

何がびっくり?」

3人は、突然現れたルマンドにびっくりした。

「「「おはよう!ルマンド!」」」

「何がびっくりかは、秘密だ!」

アデルは、ヘヘヘッと笑う。

「??」

ルマンドは、きょとんとした。


「おまえ達訓練場に集まれ。」

シャルケ先生がクラスの生徒に声をかけた。


今日から騎士候補生2年目スタートだ。


 ロビンソン学校長が前に出て話し始めた。

「皆、おはよう。今日から騎士候補生2年目しっかり頑張るように。来年はいよいよ各隊に所属する。学ぶチャンスは1年しかない。時間を無駄にしないよう頑張れ。では、新しい新任の先生を紹介する。ダリル先生だ。

先生は周辺国に諜報活動されておりかなりの博識家だ。周辺国の地理、歴史を担当され体術、鍛錬も見て頂ける。皆しっかり励め。では、ダリル先生一言。」

「皆、おはよう。ダリルだ。リヴァリオンから来た。私は、決して優しくないので心得ておけ。たるんだ気持ちでいたらぶっとばすからな。」

父さんのドスの聞いた声が訓練場に響く。また睨めつけながら話すから皆怯えている。

「あっ、先生ありがとうございます。

続いて皆に連絡がある。ロン、来なさい。」

僕は、前に出た。

「ロンはリヴァリオン国から逃げる為に偽の身分証でこの国に入国せねばならならない大変な事情があった。本当の名前は、リーラ・ハントンだ。久方ぶりの女性騎士候補生だ。皆これからも仲良くしてくれ。」


「みんな、嘘ついてごめんなさい。

リーラです。女だからといって手加減しないでね。これからもよろしくお願いします!!」


えっー!!!と言う声が訓練場に響いた。みんな顎が外れちゃうじゃないかなと思うほど口がぽかーんと開いていた。

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