第2章 あこがれの騎士学校生活
第1話 学校生活
帝国暦317年 冬
僕が学校に入学して何ヶ月が経った。この国の皇太子とローズ王女の婚姻は、リヴァリオン国滅亡で破談になったらしい。亡命者として受け入れるためリッチモンド侯爵が後見人に名乗りを挙げ、その長男に嫁ぐことが条件で亡命者として受け入れられたそうだ。
季節は、冬。やはり北国、すごく寒い。
朝起きたら、訓練場で走りこみ、その後、素振りと打ち合い練習。そして朝食をとると学校の授業だ。主な授業は、歴史、地理、言語あと算数、マナー、体術、乗馬など週単位で決められている。授業後に鍛錬があり、先輩の騎士候補生や騎士が相手をしてくれる。その後掃除をして一日が終わる。しかし、字が書けない、算数がわからない、他の授業に遅れがあるものは、補習がある。終わればようやく夕食をとり就寝だ。
僕は、こちらの字が書けなかったので、しばらく補習を受けていた。友達のアデルは、字と算数ができないので大変みたいだ。
「うわー、わからないよー、あーイライラする〜」
「アデル、うるさい!静かにしろ!」
担任のシャルケ先生が怒った。
「どこわからない?」
僕は、仕方なく助け舟をだしてやる。
「おー、私の神よー、いつもありがとうー。」
「アデルずるいぞ!ロンー、俺も教えて〜。」
ピーターが泣きついてきた。彼は、マウンテンプレイス領出身で、僕と同じ12歳で茶色の短めの髪で顔には、そばかすがある。本人は、それを少し気にしている。マウンテンプレイス領には、貴族はいない。昔ながらにいる平民が家畜の放牧を行なっている領だそうだ。何もないところなので故に算数を習う機会がなかったので苦手なようだ。
今回入学した平民は、40人で、ちなみに補習を受けているのは18人だ。
「ロン、字を書けるようになったから補習に来なくていい。図書室があるから次は、本を読めるようにしなさい。」
「はい。わかりました。」
「「えーっ!神様が来ないの」」
「うるさい!おまえ達!ロン、戻りなさい。」
「じゃあ、ルディと先に夕食行くよ。」
僕は、バイバイと手を振り、学校を出て寮に戻った。
トン、トン。
「はい。」
「ルディ、夕食に行こう。」
「あれっ?アデルとピーターは?」
「あれは、駄目だ。まだ終わらない。お腹ペコペコだから、先行こう。」
「助かるよー。君達いつも遅いから」
ルディは、笑う。
ルディは、短い薄桃色の髪で眼鏡をかけている帝都の商家出身の12才歳の少年だ。実家の店で手伝いもするらしく計算が早い。
僕達は、食堂に向かう。
寮の食堂は、鍛錬後に自由に食べれる。しかし、平民は、早い時間は来たがらない。
早い時間は、貴族出身が固まって座っており、何かと難癖つけてくる。時間もかなり遅いので大半いないだろう。
食堂は、日替りでメニューが決まっている。量も言えば調節可能だ。
「こんばんはー。量少なめで。」
「こんばんは。僕も少なめで。」
「ルディ、もっと食べないと。」
「いや、ロンもだろう。」
あははと二人で笑う。食堂の食事はは、量が多いんだ。
「ロン、今日は、先輩いるね…」
「うん。奥の端に座ろう。」
「そうだね。」
候補生寮は、1年間のみ、2年目からは、自宅もしくは家賃を払い騎士寮に入るので基本、夕食時に先輩がいることはないが班演習の話し合いや反省会で食堂を使うようでたまに先輩達がいることがある。
同じ一年目の平民達も奥に座っている。出来るだけ先輩達に近づかないように席に座った。
同じクラスの子が
「おまえ達、量少なくして正解。早く食べて部屋戻った方がいいぞ。」
と先輩の方に目向けた。
「おまえが足引っ張ったから演習が遅くなったよ!成績にひびいたらどうしてくれるんだよ。平民のおまえと違って
我が家は、名家なんだよ。」
周りがそうだと騒いでいる。
同じ貴族仲間だな。中に同じクラスの赤髪がいる。あいつ性格悪いんだよなぁ。なんかお兄様の言う通りとか言っているからいじめている赤髪が兄か?!あいつら兄弟で性格悪っ。性格の悪さが顔に滲み出ている。多分親も性格悪いだろうなぁ。
「ほらっ、あの兄弟は、公爵の息子だよ。」ルディが教えてくれた。
本当イラつくなぁ。
「おまえ、明日、来るの止めてくれる?」
パシャっと赤髪兄は、平民の先輩に水を掛けた。
「やめろよ!!」
黙っていられなくて僕は、立ち上がった。
「「ロン!!」」
ルディと友達の驚愕してるよ。
わかってるよ、わかってるよ。でもさぁ。口が勝手に言っちゃうんだよ…
「先輩達、ご自分が何をなさっていことわかっていますか?先輩達は、今、班演習されているんですよね。その意義をわかっていますか?戦いは、一人でできますか?実戦で仲間割れしていたら確実に全滅。つまり死にますよ。その仲間割れを後輩に見せびらかせ、つまりノーザンランドの騎士レベルの低さを見せていらっしゃるとわかっているのかなぁ。」
「なんだとー。」
しまった、赤髪兄を怒らしたかも…
「だって、学校入りたての僕だって、わかる事をわからない訳ないですよね。」
「この平民ー。兄上になんて無礼な事、このぉー。」
飛びかかってきた赤髪弟を避ける。
そのまま赤毛は、机にあたり、
ガチャ、ガチャ。バタン。
あらぁ、椅子が倒れ、食器が床に落ちたよ。
「くそ〜!!」
赤髪弟は、起き上がり僕に飛びかかろうとした。
「やめろ!!」
赤髪で顔が険しく怖い、熊みたいにでかい人がやってきた。
「何をやっている!!話は、全部聞いてだぞ!!」
後ろからオレンジ色の髪が見えた。
「おまえたち〜、候補生2年目なのにダメダメね。」
ふふふと妖艶な雰囲気を漂わすキャサリン隊長もやってきた。しかし、眼光の鋭さ相変わらず怖い。
「そこの銀髪、名前は!」
「は、はい!ロン・グリットであります。」
「そうか。まだ入りたてのヒヨコの方が聡明とはな。」
「私のお気に入りなのよ〜」
キャサリン隊長は、僕の首に絡みついた。
「隊長ー。ありがとうございます。」
僕は、赤面して頭をポリポリ書いた。
「ラモントにはあげないから〜」
「おまえがキャサリンのお気に入りの奴か。
ラファエル!ラディリアス!我が名に恥をかかせるとは、今すぐ執務室に来い。しっかり説明してもらおうか」
「「叔父様!これには!」」
「やかましい!!」
ゴン、ゴン。一発づつ拳骨をいれられた連行された。
「キャサリン隊長ありがとうございます。」
僕は、ペコリと頭を下げた。
「よく言うわ。私達が来るのをいつから気づいてたやら。無理するんじゃないわよ。」
キャサリン隊長は、そう言って僕の頭をコツンと優しく叩き去って行った。窓からキャサリン隊長がこちらに来ると気付いてことがバレていたようだ。
「ロン、第4番隊が待ってるからな。下僕仲間!」
ポンと僕の肩を叩いた。ネイルさんも来てたんた。また、下僕って言ってた。今度シャルケ先生に意味聞こう。
ルディが「ロン、もう心臓が止まるかと思ったよ。まさか、第4,第5番隊隊長かくるなんて、助かったね。」
「確かに…」
きっと誰かが助けを呼びに行ってたのだろう。
「君、助けてくれてありがとう。」
平民の先輩デニスさんがお礼を言ってくれた。食堂に残っていた平民仲間は、拍手はしてくれてよくやったと褒めてくれた。
あんまり目立ちたくなかったのになぁ。
はぁーとため息をつくと、
ルディが「頑張れ…」と声をかけてくれた。
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