第12話 アレクの最後
「敵襲ー!!」
とうとう来たか。
やはり早かったな。
自分の判断が正しかった事に安堵した。
ローズ王女の婚儀が決まり、突然チリルから城内で話しかけられた。
ノーザンランドに一緒に行かないかと。チリルは、小さな頃からバーバラと仲が良く、リーラの事を気にかけてくれていた。リーラは、王女だから危ないから逃げた方がいいと。
もしゾーン国に攻められたら王女であるリーラは、消される。もしくは、あの神秘の力が奪われてしまう。絶対守らねばならない。しかし、私達が一緒に行くのは、帰って怪しまれるかもしれない。リーラには、ノーザンランドへの道を託した。チリルに王女と一緒に連れて逃げるれようお願いをした。
追手がくるかもしれないので念の為に部下のリヨン・グリットに息子の身分証を譲ってもらった。
そして、次に私は、家の財産を金貨に変え、妻と離縁の手続きを取った。
私は、国の情勢や逃亡について妻に告げ、逃げるように言うと妻は、泣き崩れた。
私は、泣き崩れる彼女を抱きしめながら彼女との出会いを思い出した。
ローリーとの出会いは、彼女の家族が保養の為リヴァリオン国に訪れた際に出会った。湖で遊ぶ美しい彼女をみて、妖精かと思った。彼女は、アンデルク国の商家の娘で、毎年夏の休暇にやってきた。湖で出会ってから私達は、仲良くなりすぐに恋に落ちお互い共に一緒にいたいと思うようになった。お互いの両親に反対はされたものの最後は、許してくれたのだ。
「嫌です。あなたと一緒にいます!!」
「駄目だ。君は、生き残れ。リーラは、どうなる。君は、実家に戻り家族の助けを求めてくれ。頃合いを見てリーラと合流するんだ。ノーザンランドとアンデルクは、交流がある。リーラを頼む。」
「あなた…うっうっ…。」
さらに泣き崩れ妻を強く、強く抱きしめた。
リヴァリオン国のトンネル使用料とアンデルク国の入国費用は高い。リーラとローリーに渡せる金貨は、僅かしか残らなかった。
王女の輿入れについていくリーラを見送り、すぐに妻の荷物を持ちトンネルに向かった。人が何人かすでに集まっていた。
リーラ達が乗っていた馬車が戻りは、人を乗せを関所への送迎を繰り返した。結局ローリーが乗れたのは、昼頃で、その頃には、王女が極秘にノーザンランドに逃げたと情報を聞いた人々が自分達も逃げようとさらに列を作っていた。
『無事逃げろよ…』
家に戻り我が家に関する書物を燃やし、城内の持ち場に戻った。
城でリヨンに会うと、
「なんとなく、今夜攻めてきそうですね。」
「あぁ、すまない。ロンの身分証よかったのか?」
「私達平民には、逃げるお金なんてないですよ。」
「家族は?」
「北の村に帰しました。」
「行ってやれ。俺がうまく言っておくから。」
「はぁ?」
「騎士服は、脱げよ。着替えて家族のもとに向かえ。さぁ!!」
「…ありがとうございます。」
リヨンは、迷う事なく去って行った。
私は、王の部屋前にいた別の騎士と交代をした。なんだか外から騒ついた音が聞こえる。
「敵襲だー!!」
とうとう来たか。
私は、剣を構える。
エステール家は、先祖代々王家に忠誠を誓う騎士家系…父上、私は、これで良かったですよね…
「ぎゃあー。」
「助けてー。」
周辺に叫び声が聞こえる。
紫色の髪を靡かせ銀色の鎧を来た大男がズカズカとやって来た。
ゾーン国将軍ザカルケだ。リヴァリオン国王妃サンドラの兄である。
「ゼカリヤ将軍とお見受けする、王に何用!」
「用があるから来ているのだ!どけ!」
将軍は、剣を振り落とす。私は、かろうじて受け止めた。すぐにもう一打を振り落とし、私は、すぐ受け流し、将軍に剣を振りかざす。
ガチャーン。
互いの剣を受け止めあう。
その時王の間が開き、私は、何者かに後ろから刺される。
「ぐわっ。あ、あっ。」
「お兄様遅くてよ、待ちくたびれたわ。」
「ちっ、。ほらよ。」
バサッ。前からも斬りつけられ、血痕が当たり一面飛び散る。
「あ、あ……。」
痛みで意識が遠のく…
リーラ、生き残れ、必ずだ…
バーバラ、
ローリー、
あいしてる…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます