第8話 帝都グランディナ

 帝都に到着すると、すっかり夜になっていた。都の中は、暗いかと思いきや通りには沢山の街灯があり、お店も各々明かりを灯し昼のように明るく見えた。たくさんの人々が夜の帝都に繰り出しているようだ。


「すごーい!お店がたくさんー。」

「あれってレストラン?外で食べてる!」

「ドレスのブテックじゃない!素敵!」

みんな興奮して窓に釘付けだ。

街に入り馬車は、ある場所で止まった。長時間の馬車移動で固くなった身体に鞭を打ち、馬車を降りる。大変大きく白い石作りの立派な造りの建物だ。たくさん窓からあふれる光が眩しい。僕達は、王女の馬車に並び、頭を下げる。

 再びあの短髪騎士がやってきて、彼女をエスコートし建物に入って行った。


別の黒服の騎士が私達の元にやって来た。

「王女様は、こちらの宿に滞在されます。みなさんは、お近くの別の宿にご案内します。

 僕達は、少ない荷物を持ち騎士の後に続く。賑やか通りから細い路地に入った。建物が並び、しばらく歩くと騎士は、ある建物の扉の前に止まり中に入っていく。年季の入った木造で出来た建物だった。

 入ると一階は、食堂のようで二階に上がると部屋があるようだ。騎士の人が宿主らしき人から鍵をもらい、僕達に渡してくれた。


「2人で1部屋でお願いします。食事は、朝と夜のみ用意され、滞在は、1週間まで許されています。それ以降は、ご自身で手配お願いします。明日、朝に侯爵家がお迎えが参ります。今後のご相談はその際によろしくお願いします。」

と話すとすぐに騎士は、こちらの質問など受け付ける素振りも見せず去って行った。


 残った者達で部屋割りを決め、ベラの父親が気を使ってくれ、僕は、ベラと同じになった。

「ふぅー、無事着いたわー。」

ベラがベットに腰掛ける。

「こんな長旅初めてだよ。」

僕は、かつらを外しベットに、転がった。

 部屋には、小さな窓にベット2つしかなく簡素な部屋だった。

「私達どうなるのかなぁ。」

「さぁ…」

それから何も話せなくなり、僕達は、休んだ。


 翌朝、小間使いの服からおばあ様から渡された白シャツと綿のズボンを着てかつらは、被らず下の階に降りた。

 朝食は、ミルクとパンとリンゴが用意されていた。昨日は、昼から何も食べていなかったので、与えられたものは、すべて食べた。食べっぷりが良かったのか、ベラのお父さんが偉いぞーと頭を撫でてくれた。


「今日は、これからお世話になる侯爵家の方から街の案内があるそうだ。アレクさんから聞いてるが、ロンは、騎士志望でいいのか?」

「はい。」

「ノーザンランドの騎士は、大変だぞ。」

「わかってます。」

頑張るんだぞと頭を撫でてくれた。

ベラのお父さんは、騎士にならないのかと聞くと、侯爵家で警備をする仕事で雇ってもらうらしい。リヴァリオン国の騎士の肩書は、ノーザンランドでは邪魔らしい。

 みんなで買い出しに何が必要だろうかと色々話していると侯爵家の召使いの人が来て、街を案内してくれた。

 

 路地から出ると大通りに馬車があり、皆でそれに乗った。

「今いるこの大通りがセントレア通りです。この道を北にまっすぐ行くと皇宮があります。見えますか?

 今いるのが商人の街です。買い物には、皆ここに集まります。南に行くと平民街が広がります。南へ行けば行くほど貧富の差があると言えば想像がつきますかね?

 皇宮を北に行くと貴族の屋敷あります。皇宮に近いほど位の高い屋敷になります。皇宮を囲った通りをエンドレス通りです。あのドレスショップが見えますか?その前の通りが、エンドレス通りです。乗合馬車で行き来できます。乗り場は、赤いベンチで、乗り降りの目印になります。子供は、無料。大人は、お金が必要です。お金の換金などは、最後にご案内します。

 今日は、エンドレス通りを周り、侯爵邸を案内します。さぁ、出発しましょう。」

侯爵家の召使いの人は馬車を走らせた。

「まず、このあたりが服飾関係ですね。南に行くと平民用の店になります。次に見えるのが装飾関係、次に見えるのが家具関係でしょうか。次に、この建物は、皇宮で官吏の住居と騎士の詰め所になります。

さあしばらく走ると貴族の住居エリアです。ここにはいるには、身分証の提示が必要です。

左に見えるのが公爵邸、右が我がリッチモンド邸が見えます。リッチモンド邸には、明日ご案内しますね。」

説明が続く中、通りからは、お屋敷の姿は、見えなかった。屋敷には、かなり奥にあるらしい。しばらく貴族エリアを走り抜けるとようやく建物が見えた。

「ここからは、右が騎士の住居街ですね、左は、騎士の詰所と騎士学校です。」

僕は、うわぁーと目を見開き眺めた。騎士達が練習している声が聞こえてきたからだ。

「ここからは、一帯は、飲食街と食品街となります。だいたい街の雰囲気が掴めましたか?」


その後、質屋で金貨を預けたり、両替を教えてもらったあと、レストランで食事を取った。


「今日は、これで解散にしましょう。

午後は、生活に必要な物をご購入されては、いかがですか?


では、明日は、侯爵邸にご案内します。何か他にご質問などありますか?」


「すみません、この子が騎士学校に入りたいのですが…」

召使いの男性が、ふむと考えこみ

「騎士学校ですか…確か入学試験の申し込み終わっているはずです。次は、来年になりますよ。」

「えっ!!そうなんですか?」

僕は、ガッカリした。

「そうですね〜。一度申し込めるか聞きにいきましょうか?

身分証は、持っていますか?」

「はい!よろしくお願いします。」

僕は、深く頭を下げた。

「では、参りましょう。」

男性は、にこりと笑ってくれた。


 


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