第4話 エステール家の秘密

 あのパーティから3か月過ぎた。

 パーティで知り合ったノーザンランド国の皇太子のクリストファー殿下とこの国のローズ王女が恋に落ち婚姻を結ぶらしいとおじい様が話していた。国中お祝いムードだ。一か月後にこの国を出発し、ノーザンランド帝国に向かうそうだ。


「ラリー、来なさい。」

 おじい様は、突然僕を呼び出し執務室に連れて来た。


「どうしたの?」


「ローズ王女の輿入れが明日になる。極秘だ。おまえも小間使いとして仮名で登録してある。おまえは、国をでろ。」

「えっ?どうして僕だけ…」


「恐らく、この一か月以内にゾーン国は、仕掛けてくる。戦争になるかもしれない。狙われるなら王族だ。おまえも狙われるかもしれない。だからなんとしても生き残ってほしいから国を出ろ。

 一緒に王女に同行する侍女にお前を頼んだ。ノーザンランド国に行き、騎士学校の試験を受けろ。あの国では、女性も騎士になれる。おまえは、筋がいい。12歳から騎士学校に入れるから平民枠で入るんだ。きっとおまえなら騎士学校に入れるはずた。入学できれば、給金も手に入る。歳の近い王女殿下がいる。きっと女性の護衛騎士が必要なはずた。」


「いやだよ。おじい様とおばあ様と離れたくないよ!戦争になるならあぶないじゃないか!!」


「大丈夫だ。私は、強い。おばあ様はも知り合いの家にお世話になる。お前が騎士学校に入ったら手紙だって送れるだろう。いつか、立派な騎士になって私達を迎えに来てくれ。しっかり功績を挙げて3人で住む家を準備してくれよ。」


「……行きたくないけど、頑張るよ。

本当にふたりは、大丈夫なの。」

僕は、瞳から涙がポロポロ流れてきた。おじい様は、僕を優しく抱きしめて、大丈夫だと背中を撫でてくれた。

おじい様が耳元で話し出す。


「ラリー、エステール家の当主のみ引き継がれる話を伝える。よく聞け。」


「昔々、王女が我が家に嫁いできた。髪の色は銀、瞳の色は、紺碧色で大変美しい方であった。この方は、不思議な力を持っていた。いつか、同じ不思議な力を持つ子が現れたら泉に秘密を隠したと伝えるよう代々言われている。おまえが我が家に来たときすぐにわかったよ。伝承の子が我が孫だったのかと。」

おじい様は、笑いながら

「だからおまえは、あの王とバーバラの子で王族であり、先祖返りなのだ。

おまえは、決して不貞の子ではない。自分に誇りを持て。」


「はい。おじい様。」


「ラリー、これからもその力は、隠せ。絶対見せてはならない。

あと、この国には、二度と戻るな。

わかったな。」


「はい、おじい様。」


「出発は、明け方だ。荷物は、こちらで用意する。小さなものなら持って行く事ができるから準備しておきなさい。さぁ、おばあ様のところへ行こう。夕食は、おまえの好きなものばかり用意したよ。」

「う〜っ、おじいさまぁ。」

最後にはい、と答えることが出来ず、私は、おじい様の胸で思い切り泣いた。

 食卓に行くとおばあ様の目も真っ赤にされ、涙の跡もあった。

「さぁ、食事にしましょう。しっかり食べるのよ。」

「美味しいそうだ。」

「僕の好きな食べ物ばかりだ!」


食事は、本当に美味しく、おばあ様の味を忘れないように噛みしめて味わった。    

 しかし、その夜、僕は、これからの不安でいっぱいで眠ることなど出来なかった。


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