第2話 現在のリヴァリオン王国
帝国暦317年
リーラは、12歳となった。
物心ついたときから騎士である祖父から体術、剣術を習っている。母が王家から不当な扱いを受けて亡くなったので女性として生きるより男のように強く、たくましく育てたいと祖父の願望で男の子として生活している。髪も男の子のように切り揃え、名前もいつからから男の子のようにリーラではなくラリーと呼ばれている。
僕も、男に生まれたかった。いつか母様を虐めた王達を痛い目にあわせたいからきつい剣の習い事だって頑張っている。しかし、一応女の子だからと祖母からは、女性としての嗜みが必要と作法も教えられ、必要性に疑問を感じつつ、故に毎日忙しい。
この国のスケベ王(一応父親)は、さらに二人の側室を迎え、王子が生まれた。人々は喜び、もはや人々は、僕やお母様のことなんて忘れたようだ。まぁ、いいけどさぁ。
1日の習い事が終わると、友人がいいタイミングでやってくる。
「ラリー、遊ぼうぜ。」
おじい様の部下の騎士の子どもで同じ年のロンが遊びに来た。栗色の瞳で同じ栗色の短髪の少年は、僕の幼なじみで小さな頃から遊んでいる1番の友達だ。
だいたい良いタイミングに遊びに誘いに来てくれる。
「いいよ!今日どこの木登る?」
「城の庭見える木に行こうぜ!」
「え〜、城〜。」
僕は、ぶすっといきたくない顔をする。
なんで、あんな嫌いなやつらの近くに寄りたいもんか!
「今日、パーティあるんだぞ!皇太子の誕生日とトンネル開通を祝うとか言ってたよ。夜、城に忍ぼうぜ。パパが厨房からこっそりお菓子持ってきてくれるって。城の雰囲気見たくない?偵察だよーん。」
ロンがにやにやしながら誘う。
あいつ、皇太子って20になったのかよ。20になって誕生日の祝いなんているのかよ。それにいつも城に遊びに行く度、子供が忍びこめる警備ってどれだけ
早速、ロンの提案通り城庭に面している木まで駆けた。二人で木に登ると城の庭は、忙しいそうだ。よく見るとロンのパパが気付いて手を振っている。僕達は、クスクスと笑い合い、夜よろしくねーの意味を込め手を振り返す。城内で働く人々は、今日の催しの準備に忙しいそうだ。。
城の反対側を見ると湖がキラキラと輝き綺麗だった。昔は、もっと綺麗な
湖で精霊がいたという御伽話がある。
御伽話の内容は、300年前にたくさんの精霊が住んでいたけれど、精霊の花嫁だった予定だった王女が死んでしまい、怒った精霊さんがこの国を守る事をやめてどこかに行ってしまったと悲しいお話だ。
周りの山々を見るとハゲている箇所が沢山ある。この国は、貴重な鉱石が取れ、発掘のため山を削っている。この鉱石で周辺国との取引はさかんに行われている。鉱山発掘の際には温泉が湧き出た。効用としては、傷や痛みが和らぎ、女の人にとっても肌がピカピカなり美容温泉で有名になり保養地として多くの人が訪れている。民に解放されている温泉は、泳げるくらい広いから僕とロンのお気に入りだ。
昔、南のゾーン国とこの国が協力して山を削り街道ができ、そのおかげで多く人がこの国に訪れている。
さらに、北にある国、ノーザンランド帝国と東の国のアンデルク国との共同建設で北東部にトンネルが開通した。この国は、お金を一切出していないので、トンネルを掘ってあげると言いながら山の中にある鉱石を獲る口実なのではとおじい様が教えてくれた。山を削ってトンネル作ったり、鉱石取ったり、山は、痛いよーって泣いているようだ。山を削ったり人が沢山訪問する国だから精霊が逃げ出したんだと思う。
ゾーン国は、以前から北の脅威ノーザンランド帝国を意識しておりトンネルを開通したことで緊張が高まっており、ゾーン国が、この国を攻めてきて占領するのではと言われている。王家は、ゾーン国との関係を恐れ今回のパーティを開き、ゾーン国のご機嫌取りに必死だ。
この国の民は、いつ変わるかわからない不安な情勢を心配しないものはいないのだ。
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