商頌

那(湯王を祀る)



猗與那與いよだよ 置我鞉鼓ちがとうこ

奏鼓簡簡そうこかんかん 衎我烈祖かんがれつそ

湯孫奏假とうそんそうか 綏我思成すいがしせい

 なんと美しく盛んなること、

 ずらりと太鼓が並ぶ。

 鳴り響く太鼓の音はにぎにぎしく、

 天の湯王を楽しませる。

 湯王の子孫たる殷王の演奏を聴き、

 湯王の霊は、子孫に幸いを下す。

 

鞉鼓淵淵とうこえんえん 嘒嘒管聲けいけいかんせい

既和且平きわしゃへい 依我磬聲いがけいせい

於赫湯孫おかくとうそん 穆穆厥聲ぼくぼくくつせい

 太鼓の音が、深く遠くに響き、

 笛の音が清く澄む。

 あらゆる音が混じり合い、調和する。

 ああ、ご立派なる湯王のご子孫。

 その素晴らしき、音楽の響き。


庸鼓有斁ようこゆうえき 萬舞有奕ばんぶゆうえき

我有嘉客がゆうかきゃく 亦不夷懌えきふいえき

自古在昔じこざいせき 先民有作せんみんゆうさく

 鐘や太鼓が鳴り、

 美しき万民の舞が披露される。

 我が元に湯王の神霊がお越しになる。

 喜ばれぬ方はない。

 それは古より伝わる、

 我らの先祖が定められたもの。


溫恭朝夕おんきょうちょうせき 執事有恪しつじゆうかく

顧予烝嘗こよじょうしょう 湯孫之將とうそんししょう

 朝より夕べに至るまで、

 酒を楽しみながらも、穏やかである。

 そうして祭事は執り行われる。

 供え物を受け取られよ、

 ここに湯王の子孫が奉らん。




○商頌 那

最終章、商頌。その冒頭は殷王(詩よりどの王なのかを比定する材料は見つからぬ)が、湯王及びその先祖らを祀ることにより、お国の繁栄を祈るものである。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%8C%E5%8D%81#%E3%80%8A%E9%82%A3%E3%80%8B

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