絲衣(引用4:祭祀にて酒を飲む)
祭祀の準備を執り行うものが着る
真っ白な衣は、また清らか。
雀色の冠をかぶり、
粛々と準備に従事する。
祭祀の会場から控え室に向かい、
進捗を告げた後、
生贄の羊や牛の様子を見る。
また、生贄を捧げるための
鍋や釜をも確認する。
酒を注ぐ角の杯は美しく曲がっている。
祭祀の参加者に酒が回るも、
その様子は穏やかである。
誰もがわめき立てず、
粗暴に振る舞うこともない。
長寿の福をここに得る、
誠にめでたきこと。
○周頌 絲衣
先祖を祀る祭祀の様子がしめやかに歌われる。祭祀をなして酒を飲む、その様子が賑々しくあれば、幸福もまた降ってこよう、とするのである。
■子供を求める祈り
晋書19 礼上
仲春玄鳥至之日,以太牢祀高禖。毛詩絲衣篇,高子曰靈星之尸。
当詩は「子宝に恵まれんが為の祭祀」であるという。そこで春まっただ中、燕がやって来る頃合いに太牢=羊、牛、豚を供え物とし、子宝の神「高禖」に祈りを捧げる、とするのである(なおこの記述は『礼記』月令・仲春之月「是月也,玄鳥至。至之日,以大牢祠于高禖。」に基づく)。そして当詩詩序が「高子」、ここで言う高禖が霊星=角宿天門、すなわち角宿主星、乙女座スピカの隣にある星座に仮託されている、と語るもののようである。なお角宿天門は后稷に比定されることもあるという。まぁ、どのみち「恵み」を示すので問題はあるまい。
■霊験あらたかな鼎は
漢の武帝の治世時、不思議な鼎が発掘された。それを見たとき、臣下らはその鼎を大事にするよう武帝に提案したという。天に愛された天子のもとには神鼎が現れ、天より見放された天子の元よりは消え失せる。それは当詩がめでたき祭祀に鼎が供えられ、そしてその祭祀に参加するものは天に対して驕り高ぶることがないと歌う通りだ、とするのである。それから間もなくして、武帝は「おらっ天帝、オレ様が天下を安らげてやったぜ」と報告する儀式、すなわち封禅を執り行うに至る。
・史記12 武帝
・史記28 封禅書
周德衰,宋之社亡,鼎乃淪伏而不見。頌云『自堂徂基,自羊徂牛;鼐鼎及鼒,不虞不驁,胡考之休』。
・漢書25.1 郊祀上
殷德衰,鼎遷於周;周德衰,鼎遷於秦;秦德衰,宋之社亡,鼎乃淪伏而不見。周頌曰:『自堂徂基,自羊徂牛,鼐鼎及鼒;不㕦不敖,胡考之休。』
それにつけても、史記より時代の降った漢書では「周から秦に継承された鼎」と、設定が水増しされておる。これは史記の当時に秦は問題外国家であったが、後漢の時代には幾分その正当性が認められもした、と言うことであるのかな。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B9%9D#%E3%80%8A%E7%B5%B2%E8%A1%A3%E3%80%8B
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