敬之(引用5:天命によく従うべし)

敬之けいし 



敬之敬之けいしけいし 天維顯思てんいけんし 命不易哉めいふえきさい

 敬われよ、敬われよ。

 天意は常に明らかである。

 天命に従うは難きことである。


無曰高高在上むえつこうこうざいじょう 陟降厥士ちょくこうくつし 

日監在茲じつかんざいじ 

 天があまりにも高くにあるから、

 手出しができない、

 だなどと思ってはならぬ。

 その目はつぶさに

 士人らのふるまいを見ておられる。

 そう、今まさにこの瞬間をも。


維予小子いよしょうし 不聰敬止ふそうけいし

日就月將じつしゅうげつしょう 學有緝熙于光明がくゆうしゅうきうこうめい

佛時仔肩ふつじしけん 示我顯德行じがけんとくこう

 余は小子、賢明さも、天への敬意も

 未だ足りてはおらぬ。

 日に月によく励み、

 父王がごとき高貴なる徳を

 身にまとえるようにせねばならぬ。

 この双肩にかかる任は大きい。

 臣下らよ、予に顕徳を示し、

 よく導かれるよう。




○周頌 敬之

引き続き、成王が政務に臨むにあたっての決意表明である。この辺りの詩とか、後の世に言う太傅少傅、要は教育係が書いているのではないかな、と言う疑義が差し挟まれてならぬ。




■天意を重んぜよ


・左伝 僖公22-7

 無備雖眾,不可恃也。『詩』曰:『戰戰兢兢,如臨深淵,如履薄冰。』又曰:『敬之敬之,天惟顯思,命不易哉!』

・左伝 成公4-4

 詩曰.敬之敬之.天惟顯思.命不易哉.夫晉侯之命.在諸侯矣.可不敬乎.

・漢書81 孔光

『詩』曰:『敬之敬之,天惟顯思,命不易哉!』又曰:『畏天之威,於時保之。』皆謂不懼者凶,懼之則吉也。

・後漢書14 劉縯

 嗚呼!古人以蜂蠆為戒,蓋畏此也。『詩』云:『敬之敬之,命不易哉!』

・晋書52 阮种

 詩曰『敬之敬之,天惟顯思』,天聰明自我人聰明,是以人主祖承天命,日慎一日也。


天命は易きものではない、よく敬されよ、であるが、ここの「敬」字は「つつしむ」と読むことが多いようである。天意に従い振る舞うようにせよ、であり、だいたいの場合「慎重に行動せよ」の意味合いに転じる。




■長安の南北にちゃんと祭壇を


漢書25 郊祀

『詩』曰『毋曰高高在上,陟降厥士,日監在茲』,言天之日監王者之處也。


漢成帝が即位したとき、匡衡と張譚が成帝に上奏した。ちゃんと祭壇を設けておくことが重要なんやで、と言う内容を、すこぶる長々しく説いておる。その中で当詩を引用「神さんはずっと高いとこにいるだけやなく、ときどき降りてきてこっちのことみとらはるんやで」と語るのである。






毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B9%9D#%E3%80%8A%E6%95%AC%E4%B9%8B%E3%80%8B

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る