載見(引用2:成王即位)

載見さいけん



載見辟王さいけんひおう 曰求厥章えつきゅうくつしょう

龍旂陽陽りゅうきようよう 和鈴央央われいおうおう

鞗革有鶬ちょうかくゆうそう 休有烈光きゅうゆうれつこう

 即位した成王の前に臣下らが参列し、

 新たな時代の典礼を承る。

 交わる龍を描いた旗が堂々と翻り、

 旗につけた鈴が涼やかに鳴る。

 金の装飾品が煌びやかに輝く。

 それはまるで、王の威光のよう。


率見昭考そつけんしょうこう 以孝以享いこういきょう

以介眉壽いかいびじゅ 永言保之えいげんほし

 王は臣下を率い、

 武王の廟に参拝する。

 父の廟への敬虔なる祈りは孝子の証。

 多くの供え物をも捧げ、

 こうして長寿の幸いを受け、

 臣下とともに、

 国を長く守らんことを誓う。


思皇多祜しこうたこ 烈文辟公れつぶんひこう

綏以多福すいいたふく 俾緝熙于純嘏へいしゅうきうじゅんか

 ここに大いなる幸いが下され、

 文武に功多き諸侯らをも

 また武王の徳が安んぜられる。

 そうして輝かしき、大いなる幸いは、

 子孫にまで及ぶのである。




○周頌 載見

武王の霊威が成王や、その臣下をも覆い、彼らの時代を祝福する。それは成王が即位して間もなく、今後の治世を父王に助けてもらいたい、と願う心でもある。しかし詩経の成王にまつわる詩の多さを見ていると、成王は即位当初微妙だったので、どうにか盛り立てなきゃやばいと思われていたよう思われてならぬ。




■厳密には引用ではないけれど


晋書55 張載

載見世方亂,無復進仕意,遂稱疾篤告歸,卒於家。


晋代の文人の一人、張載。彼の伝記の末尾であるが、世がまさに荒れ、これ以上宮仕えしたところで無駄だと悟るシーンで、微妙にその文字をチョイスする意味のない「見」字を用いておる。おそらくこの辺りは当伝記を書いた人間のちょっとした遊び心なのではないかと思い、紹介させて頂くこととした。




■対句構造から類推するに


魏書54 高閭

開古之高範,爰萃於一朝;曠葉之希事,載見於今日。


北魏献文帝に仕えた文人が献文帝の時代になした上奏の一節。内容はよくわからぬが「ヘーカにはよい政をして頂きたい!」と語っておるようである。その内容の一節であるが、この対句構造からするに「陛下が素晴らしき政をなさることで、恩徳が初めて世に行き渡る」的な内容となっておるのかな。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B9%9D#%E3%80%8A%E8%BC%89%E8%A6%8B%E3%80%8B

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