綿蠻(公役の憂鬱)

綿蠻めんばん



綿蠻黃鳥めんばんおうちょう 止于丘阿しうきゅうあ

道之云遠どうしうんえん 我勞如何がろうじょか

飲之食之いんししょくし 教之誨之きょうしかいし

命彼後車めいひごしゃ 謂之載之いしさいし

 美しき文様のコウライウグイスは、

 丘の峠に止まっている。

 我らがゆく道程は遠い。

 その労苦、いかほどであろう。

 上役殿は我らに食べ物飲み物を下さり、

 足りぬところをお教えくださり、

 そして車に荷物を乗せよ、

 とおっしゃる。


綿蠻黃鳥めんばんおうちょう 止于丘隅しうきゅうぐう

豈敢憚行がいかんたこう 畏不能趨いふのうすう

飲之食之いんししょくし 教之誨之きょうしかいし

命彼後車めいひごしゃ 謂之載之いしさいし

 美しき文様のコウライウグイスは、

 丘の片隅に止まっている。

 遠くに行くのを嫌がるわけではない。

 速く進めぬのを恐れているのだ。

 上役殿は我らに食べ物飲み物を下さり、

 足りぬところをお教えくださり、

 そして車に荷物を乗せよ、

 とおっしゃる。


綿蠻黃鳥めんばんおうちょう 止于丘側しうきゅうそく

豈敢憚行がいかんたこう 畏不能極いふのうきょく

飲之食之いんししょくし 教之誨之きょうしかいし

命彼後車めいひごしゃ 謂之載之いしさいし

 美しき文様のコウライウグイスは、

 丘の傍らに止まっている。

 遠くに行くのを嫌がるわけではない。

 たどり着けぬことを恐れるのだ。

 上役殿は我らに食べ物飲み物を下さり、

 足りぬところをお教えくださり、

 そして車に荷物を乗せよ、

 とおっしゃる。




○小雅 綿蠻


コウライウグイスがのどかにくつろいでいるのを見かけ、而してくつろぐことが許されぬ身の上を嘆く詩である。なお詩序はこれだけ堂々と「飲み物食い物は与えてくれるし、色々教えてくれる」と詩中で語られておるにも関わらず、「幽王の配下はそういったことをしてくれない」と謗る。いいかげんにしろ(爆笑)




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%BA%94#%E3%80%8A%E7%B6%BF%E8%A0%BB%E3%80%8B

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