黍苗(引用1:召伯の南方遠征)

黍苗しょびょう



芃芃黍苗ほうほうしょびょう 陰雨膏之いんうこうし

悠悠南行ゆうゆうなんこう 召伯勞之しょうはくろうし

 長く生い茂るキビの苗を、

 雨がしとしとと潤す。

 はるか遠き、南への遠征を、

 召伯様が労われる。


我任我輦がにんがれん 我車我牛がしゃがぎゅう

我行既集がこうきしゅう 蓋云歸哉がいうんきさい

 荷担ぎや手車を引くもの、

 車や、牛たち。いずれも側が公役に

 よく従ってくれている。

 さあ、公役が片付いた。

 帰途につくとしよう。


我徒我御がとがぎょ 我師我旅がしがりょ

我行既集がこうきしゅう 蓋云歸處がいうんきしょ

 側近や御者、司令官、そして兵士たち。

 さあ、公役が片付いた。

 帰途につくとしよう。

 

肅肅謝功しゅくしゅくしゃこう 召伯營之しょうはくえいし

烈烈征師れつれつせいし 召伯成之しょうはくせいし

 謝のお城の普請工事を、

 召伯が成し遂げられた。

 烈気に満ちた軍勢を率い、

 召伯が成し遂げられたのだ。

 

原隰既平げんしつきへい 泉流既清せんりゅうきせい

召伯有成しょうはくゆうせい 王心則寧おうしんそくねい

 そばの平原も、よくよく治められる。

 泉のの流れは清らか。

 召伯が成し遂げられた、この功績。

 王の心もまた安らかとなった。




○小雅 黍苗


召伯による南方遠征と、その成功。南方にはまた謝という前線基地も建設し、ここから周辺に睨みをきかせる。それによって王は南の安泰に喜ぶ。周の威光が更に行き及ぶことを称える歌であり、そして詩序がいつものように「ほれほれ幽王、こういうのが素晴らしき治世だよ、お前にこれできてんのか、ん、んん?」と詰める。ちなみに朱子はもう詩序に取り合わず「うーん宣王の時代の武威盛んだったんだね☆」と他人事である。




■黍苗は滅亡の証


新書31 后妃伝序

至若儷極虧閑,憑天作孽,倒裳衣于衽席,感朓側於弦望。則龍漦結釁,宗周鞠為黍苗;燕尾挻災,隆漢墜其枌社矣。


美辞麗句のオンパレードである。鬱陶しい。皇帝がオセッセセに狂って変なやつを娶ればひどいことになるよ、現に龍漦(=褒姒)があらわれて「黍苗の揺れるさま」を現出させ、燕尾(=趙飛燕)が漢の権威を失墜させたじゃんね、というのである……ううむ、これはむしろ王風黍離の引用でないとはまらぬ気がせぬでもないのだが。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%BA%94#%E3%80%8A%E9%BB%8D%E8%8B%97%E3%80%8B

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