無羊(牧場運営の成功を祝う)

無羊むよう



誰謂爾無羊せいすいじむよう 三百維群さんひゃくいぐん

誰謂爾無牛せいすいじむぎゅう 九十其犉きゅうじゅうきじゅん

爾羊來思じようらいし 其角濈濈きかくしゅうしゅう

爾牛來思じぎゅうらいし 其耳濕濕きししゅうしゅう

 なぜ王が羊をお持ちでないというのか?

 三百からの羊があるというのに。

 なぜ王が牛をお持ちでないというのか?

 黄毛の牛だけでも九十以上いるのに。

 羊が近くにやってくる、

 その角は立派なもの。

 牛が近くにやってくる、

 その耳はぴんとしている。


或降于阿いくこううあ 或飲于池いくいんいち 或寢或訛いくしんいくか

爾牧來思じぼくらいし 何蓑何笠かじょうかりゅう 或負其餱いくふきこう

三十維物さんじゅういぶつ 爾牲則具じせいそくぐ

 牛たちは、あるいは谷間に降り、

 あるいは池で水を飲み、

 あるいは眠り、あるいは寝返りを打つ。

 羊飼いがその間で働く。

 みのや笠、あるいは弁当を背負って。

 三十からなる毛色がそろっている。

 いけにえに必要な羊や牛も、

 すぐに見つくろえよう。


爾牧來思じぼくらいし 以薪以蒸じしんじじょう 以雌以雄じしじゆう

爾羊來思じようらいし 矜矜兢兢きょうきょうきょうきょう 不騫不崩ふけんふほう

麾之以肱びしじこう 畢來既升ひつらいきしょう

 羊飼いがやってくる。

 手が空いた時には薪を取って

 煮つけを作ったりもする。

 また狩りに出たりもする。

 羊たちがやってくる。

 我先にと言う勢いでやってくるが、

 かといって群れを崩したりはしない。

 腕を上げて合図を出せば、

 整然と登ってくる。


牧人乃夢ぼくじんしむ 眾維魚矣しゅういぎょいー 旐維旟矣ちょういよいー

大人占之だいじんせんし 眾維魚矣しゅういぎょいー 實維豐年じついほうねん

旐維旟矣ちょういよいー 室家溱溱しつかしんしん

 羊飼いは夢を見る。

 たくさんの魚の夢、たくさんの旗の夢。

 占い師は語る。

 魚の夢は豊穣の兆し、

 旗の夢は一族繁栄の兆しである、と。




○小雅 無羊


斯干に引き続き、宣王が為したことの成功を祝う歌である。ここでなしたのは牧畜。ご立派なみたまやを建て、ご立派な牧場を抱えて、それで周の国を傾けたわけであるな。ご立派、ご立派。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%80#%E3%80%8A%E7%84%A1%E7%BE%8A%E3%80%8B

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