黃鳥(故郷を思う)

黃鳥こうちょう



黃鳥黃鳥こうちょうこうちょう

無集于穀しゅううむこく 無啄我粟むとんがりつ

此邦之人しほうしじん 不我肯穀ふがこうこく

言旋言歸げんせんげんき 復我邦族ふくがほうぞく

 黄鳥、黄鳥よ。コウゾの木にとまれ。

 我がアワの蓄えをついばみたまえ。

 この国の人は、私に良くしてくれぬ。

 帰りたい、ああ、帰りたい。

 わが故郷の家族のもとへ。


黃鳥黃鳥こうちょうこうちょう

無集于桑むしゅううそう 無啄我粱むとんむりょう

此邦之人しほうしじん 不可與明ふかよめい

言旋言歸げんせんげんき 復我諸兄ふくがしょけい

 黄鳥、黄鳥よ。クワの木にとまれ。

 我がオオアワの蓄えをついばみたまえ。

 この国の人は、想いを明かし合えぬ。

 帰りたい、ああ、帰りたい。

 わが兄弟らのもとへ。


黃鳥黃鳥こうちょうこうちょう

無集于栩しゅううむく 無啄我黍むとんがしょう

此邦之人しほうしじん 不可與處ふかよしょ

言旋言歸げんせんげんき 復我諸父ふくがしょほ

 黄鳥、黄鳥よ。クヌギの木にとまれ。

 我がキビの蓄えをついばみたまえ。

 この国の人は、私を安らがせてくれぬ。

 帰りたい、ああ、帰りたい。

 わが父祖らのもとへ。




○小雅 黃鳥


どう読んでも国風あたりに入っておるべき作品のよう思うのだが、しかし小雅なのである。実際、王風あたりの詩が誤って紛れ込んだのでは、とする説もある。詩序に載るのは周の宣王がその治世の末年に雑な政をしたため国が衰退した、というもの。以前であれば一笑に付すのであるが、束晳の補亡詩を見てしまうと、こう、一概に棄却するわけにも……と言う気分にもなってくる。難しいものであるな。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%80#%E3%80%8A%E9%BB%83%E9%B3%A5%E3%80%8B

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