文選補亡 白華(若者の輝かしきいま)

白華はくか



白華朱萼はくかしゅがく 被于幽薄ひうゆうはく

粲粲門子さんさんもんし 如磨如錯じょまじょさく

終晨三省しゅうしんさんしょう 匪惰其恪ひだきかく

 白い花、赤い萼。

 辺り一面を覆っている。

 輝かんばかりの子弟たちは、

 才覚を磨き合っている。

 朝に夕に自らを三度顧み、

 怠けず弛まず、高め合う。


白華絳趺はくかこうふ 在陵之陬ざいりょうししゅ

蒨蒨士子せんせんしし 涅而不渝はんじふゆ

竭誠盡敬かつせいじんけい 亹亹忘劬びびぼうく

 白い花と赤いうてなは、

 あの丘を縁取るかのように咲く。

 色鮮やかな男児たち。

 黒く染めようにも、染まりようがない。

 誠意を尽くし敬愛を持ち、

 日々努めにいそしめど、疲れも知らぬ。


白華玄足はくかげんそく 在丘之曲ざいきゅうしきょく

堂堂處子どうどうしょし 無營無欲むえいむよく

鮮侔晨葩せんぼうしんは 莫之點辱ばくしてんじょく

 白い花と黒い根が、

 丘の一角に生えている。

 その子は非常に堂々としたもの。

 野望も欲望も、ありはしない。

 朝の花のすがすがしさは、

 誰一人汚すことができない。




○文選補亡詩 白華


引き続き詩経で遺失していた詩の文選による補完。仕官前の若者の麗しさを華々しく歌う。ところで補亡詩については岩波文選を参照しておるのだが、「終晨三省は論語由来(学而4「曾子曰:吾日三省吾身。」)だから詩経の頃には確立されてない表現ですよ」みたいな注が入ってにやりと笑ってしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る