干旄(憧れの士大夫を見送る/文公は偉大)

干旄かんぼう



孑孑干旄けつけつかんぼう 在浚之郊ざいしゅんしこう

素絲紕之そしびし 良馬四之りょうばしし

彼姝者子かしゅしゃし 何以畀之かじひし

 浚の村で、旗が高くはためく。

 真っ白な手綱で結ばれた

 四頭立ての馬車。

 車上のあの立派な方に、

 はて、何を差し上げたものか。


孑孑干旟けつけつかんよ 在浚之都ざいしゅんしと

素絲組之そしそし 良馬五之りょうばごし

彼姝者子 何以予之かじよし

 浚のまちで高くはためく旗、

 描かれるのは、ハヤブサ。

 旗は真っ白な組みひもに彩られ、

 車を引く良馬は五頭。

 馬上のあの立派な方に、

 さて、何を差し入れよう。


孑孑干旌けつけつかんしょう 在浚之城ざいしゅんしじょう

素絲祝之そししゅくし 良馬六之りょうばりくし

彼姝者子 何以告之かじこくし

 浚の城で高くはためく旗、

 描かれるのは、キジ。

 旗は真っ白な組みひもに彩られ、

 車を引く良馬は六頭。

 馬上のあの立派な方に、

 さて、何と言祝ごう。




〇国風 鄘風 干旄


立派な車に乗っておるお方を見送る。その称賛ぶりがどんどん度を越していくのがなかなかに愉快である。馬車は四頭立てで士大夫、五頭立てで君子、六頭立てで天子のものなのだそうである。その馬車を見かけるのも街の片隅、中央通り、ついには城の側とグレードアップしていく。士大夫様カッコイイの思いが白髪三千丈がごとく爆発しておるのを感じられる。




〇儒家センセー のたまわく


ここで際限なく馬が増えておるのがキーポイントである! 馬の数が増えれば、御すのはそれだけ難しい! 馬の数、すなわち治めるべき民の数である! 衛の文公は実に見事な統治をなされた、それはまた子弟、臣下の手によるところも大きい! ああ、まこと偉大なるかな文公!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%B8%89#%E3%80%8A%E5%B9%B9%E6%97%84%E3%80%8B

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