桃夭(嫁に出る娘を祝う/嫉妬せぬ妃)

桃夭とうよう

嫁入り 嫁の美しさ 結婚 妃の徳 不妬



桃之夭夭とうしようよう 灼灼其華しゃくしゃくきか

之子于歸しいしうーき 宜其室家ぎきしっか

 つややかなる桃の木に、

 しゃくしゃくと花が咲く。

 嫁ぎ行くあの子は、

 向こうの家に歓迎されよう。


桃之夭夭とうしようよう 有蕡其實ゆうふんきじつ

之子于歸しいしうーき 宜其家室ぎきかしつ

 つややかなる桃の木に、

 なる実は見事なもの。

 嫁ぎ行くあの子は、

 向こうの家と仲良くできよう。


桃之夭夭とうしようよう 其葉蓁蓁きようしんしん

之子于歸しいしうーき 宜其家人ぎきかじん

 つややかなる桃の木に、

 ついている葉も立派なもの。

 嫁ぎ行くあの子は、

 向こうの家と良き家族となろう。




○国風 周南 桃夭

桃の木に花が咲き、実がなり、そして葉を茂らせる。それはまさしく子孫繁栄をうたうためのもの。各連の末尾「室家」「家室」「家人」の差異からいかに違ったニュアンスを拾えるかがこの詩を楽しむ肝となろうか。いやただの韻踏みでしょと言われてしまうと実もふたもないのだが。一つ言えるのは結婚とは家と家とのつながりであり、娘が嫁に出ることで両家に紐帯がもたらされる、ここが第一となっておる。そのうえで「嫁ぎ先の家族たちと嫁が仲良くする」と歌われる。家同士の、家族間での助け合いがあり、はじめて生きていくことができる。そういった背景も感ぜられる気はする。




○儒家センセー のたまわく

「后妃之所致也。不妬忌,則男女以正。婚姻以時,國無鰥民也。」

妃が嫉妬してはいかぬよな! そうでこs




○崔浩先生 いらつく

やかましい。

この国風周南という章は、なまじ洛陽周辺の歌である分、どうにかして周王の家族の繁栄を願う方向でこじつけたがったようである。とは言え漢の時代にはすでにそのあたりから自由になっており、「いやこれ普通に嫁に行く娘が美しく育ったことを喜び、また嫁ぎ先の家族と仲良くできるだけのコミュニケーション力を持っていることを願う歌でしょ」と解釈されておる。なんというか、周の時代の皆様は色々大変であったのだな……。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%B8%80#%E3%80%8A%E6%A1%83%E5%A4%AD%E3%80%8B

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