第03話】-(人食らいとの激闘
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
フルミネ〉人食らいになってしまった少女
ギルメン〉トゥエル、エテル、ユラ、フルーヴ
──────────
「狂ってやがる」
「……最低ですわ」
ユラとトゥエルが悪態を吐く。
「ねぇ、エテルも食べさせてよ」
「……『も』だと?」
再会の
「さあ、楽しみましょう? それに私、丁度お腹が空いていたの」
お腹が空いた……私たちを
「メインディッシュはこれから……」
少女の灰色の瞳に殺意の光が
そして少女の両手にそれぞれ
エテルはその少女の姿に
「では……作戦通りに」
エテルが口火を切った。
★ ★ ★
(客観的視点)
小雨が降りしきる中静かに戦いは始まった。イトア達は視界を
──『ワルキューレ』
トゥエルが召喚したのは戦女神。全身に
──『
今度はトゥエルの足元に魔法陣が現れる。その陣の中心に立つと、彼女は舞を始める。それと共にワルキューレが動き出した。まるでその動きは舞うトゥエルの意思が込められているかのように
「ふふ。面白い技を使うのね」
フルミネは
「うおおおおおおおおおおっ‼」
エテルの
全身が刃と化した円月輪はその道筋にある雑草を狩りその葉先を周囲にまき散らし、行く手を
エテルと対角線上から
片手を
瞬時に察知したフルミネが後方に飛躍し二人の攻撃をかわした。エテルの大剣は地面に亀裂を生じ
その頃、
「噂には聞いていたけど、エテルが冒険者になるなんて。そして剣を交える日が来るなんて、私嬉しいわ」
自分の元に帰ってきた円月輪の
「その余裕もいつまで続くかしら。
これが自分達が長年パートナーとして
「まずは、こちらのナイトからあああああっ‼」
フルミネはワルキューレを操作しているトゥエルを潰しにかかってきた。エテルとワルキューレの攻撃の隙間をついて両の円月輪を後方にいるトゥエルに向かって
その刃がトゥエルに触れようとした
「させるかよっ‼」
無防備なトゥエルの隣で防衛に徹するユラ。
その頃フルーヴとイトアの詠唱が終わった。
「イトア……行くよ」
二人は息を合わせフルミネに向かい手をかざし解き放つ。
──『
二人分の魔力が注がれたその魔法は威力を増し、炎を
この広範囲の攻撃にフルミネに逃げる場所など無く。もろに剣の
「うぐうっつ‼」
フルミネが
彼女は
「うふふ」
しかし彼女には
「思ったより回復が早いな。
「それではきりがありませんわ」
ユラは
「皆、心臓を狙うんだっ‼」
エテルが次の攻撃の構えをうつ。
「おいっ‼ あいつの心臓をよく見てみろっつ‼」
そこへユラが叫んだ。
一同の視線がフルミネの心臓に向けられた。左の胸にはフルーヴ達が解き放った剣が一本も刺さった形跡がない。
「そんな……」
「急所を……強固したんだ……」
イトアは焦りの色を見せ、フルーヴが冷静に考察を述べる。彼女はこの場所の皮膚を硬化する為、他の部位を全て捨てたのだ、と。
「かまうなっ‼ 突っ込むぞっ‼」
エテルの合図を皮切りにフルミネの身体が回復している間にも攻撃の手は休まることはなく。
(続く)
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