第08話】-(空間を歪ませる妖術
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
トゥエル・男性〉ギルメン、半分心は乙女
その他ギルメン〉カナタ、エテル、カルド
──────────
(客観的視点 続き)
三人が振り返ると
「イトア無事だったか‼」
透かさずエテルが駆け寄っていく。
「大丈夫だったかい?」
「はい……なんとかぁ……」
イトアはここに来るまで
それを見て心配したエテルが必要にイトアの腕や手を握っている光景を目にしたカナタは目を細め。そしてその間に割り込もうと近づきエテルからイトアの手を
「無事でなによりです。それにしてもなんでマント姿なんですか?」
趣味の悪い紫色のマント姿は誰がどう見ても
「いや……これにはわけが」
カナタが首を
「君はイトアという名だったんだね」
そして瞳を
「まさか、君たち彼女を取り戻しに? それはもう私のものだ。返してもらおうか」
涼しい顔から一変して髪の毛を
片方の口角を上げ、怪しく遊びを楽しむかのようにせせら笑う。その隙間からいく人もの人の
「まあ、君たちも悪くは無さそうだけど私の好みは
「君もとても素敵なのに……」
今度はトゥエルに
そんなやり取りが行われる一方でカルドは
「いいところにきた! あの
「そうみたいですわね。私もこの目で見ましたわ」
「それで、あの時……」
トゥエルが
「空間を
エテルが構えをとりながら背中越しに問う。
この間にも
「まずは黒髪の君から。逃げてばかりじゃこの私を倒せないよ?」
高く飛躍し
カナタの危機を
「あの……動きを止める魔法がありますっ」
「「「──⁉」」」
カルド、いやカナタ以外の二人も
「イトア……そんな魔法が使えるようになったのか⁉」
イトアは
──「イトア……強力な魔法使うとき……使いどころ絶対に間違っちゃダメ。今のイトアなら……多分出来ると思う……身体壊す程放出しないで……暴走するから」
この言葉がイトアに
「詠唱は覚えていますが今の私の魔力では足りません……」
イトアは歯がゆさで唇を噛んだ。
そこへトゥエルの提案が問題を瞬時に解決させる。
「それなら
でも、とトゥエルが続ける。
「いくら魔力を増幅させたとしてもイトアの魔力を考えるとあの魔法で引き留められるのは恐らく三秒ですわよ。その間に仕留められるのかしら?」
トゥエルは、その魔法がどんなものか知っているような口ぶりで的確な指摘をする。
「カナタ、君は
戦闘中のカナタに向かって挑発的な言葉で
「
話しの
「では、その作戦でいこう。俺とエテルで引きつけておくから後は頼む」
「そろそろ、作戦会議は終わったかい? 今度は少しは私を楽しませてくれそうだね。お手並み拝見といこうか。でもその
これだけ戦闘を重ねおうとも身なりひとつ崩れていない。サラサラの髪を流し涼しい顔で赤い瞳を光らせながら笑う。
イトアは
「でわ、いきますわよ! イトア」
「はいっ‼」
──『エインセル』
トゥエルが手を
「
魔法陣から現れたのはそれはそれは小さな妖精だった。少女の容姿をしたそれは、
「イトアに魔力を」
トゥエルが魔獣に命令を下す。するとエインセルは隣にいたイトアの腕まで飛んでくるとカプリと小さな牙を立てた。
「──っ‼」
イトアの足元から風が吹き抜け長髪が散らばる。彼女は自分の手のひらに視線を移した。すると肌から光が零れている。次に自分の身体がばらばらになりそうなくらいの
イトアは急いで詠唱を始めた。
その間カルドとエテルが
「もう少し静かに眺めていたかったのに。邪魔だね」
壁に床に、天井に
イトアは、顔中汗を流し胸に手を置き
その時──。
イトアの顔面に至近距離で
「この瞳……」イトアの手が小刻みに震えた。
(続く)
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