第121話 帝国の使者

戦争終結後、帝国からマリアとジェームスがやって来た。

「このたびは我が帝国の宰相が御迷惑をおかけいたしました。」

「いや、二人に謝ってもらう必要はないよ、ただ、今後も攻めてくるなら話は違うけど。」

「二度とこのような事はないように致します。あと、取り決め通り貴族の財産をお持ちいたしました。」

「ありがとう、おやっさんも喜ぶよ。」

「1つお聞きしてもよろしいですか?」

「マリアさん、何かな?」

「おやっさん、と言うかたは一体どんな立場の方なんですか?」

「あー、えーと、俺からしたら嫁の親で倉田さん含め金子組の連中の直接の上司かな?」

「それで、倉田さま、銀次さまの二人も慌てて戦いに行ったのですね。」

「あの命令聞いてのんびりしてたら、敵がいなくなるからなぁ~」

「それほど、命令は絶対なのですね。」

「うん、まあ俺は少しは反対出来る立場だけど、あまり逆らうと倉田さんに襲われるからなぁ~」

「反対意見も言えないのですか!」

「もちろん、白いものを黒と言ったらそれは黒だからね。」

「陛下、なら何故帝国は助かったのですか?」

「ジェームスくん、マリアさんがいたからだよ。」

「マリア姉さんが?」

「そうだよ、マリアさんは俺の嫁チカに事情を説明して、敵意が無いこと、そして、謝罪をしてきたから。チカの意見はおやっさんも耳を傾けるし。それに倉田さんの幸せの邪魔をするのはねぇ~マリアさん♪」

「ちょ、ちょっとユウヤさん、何を言ってるのですか、恥ずかしいじゃないですか。」

「いいじゃん♪実際それで攻めるの止めてるし。」

「そんな理由だったんですね、ではマリア姉さんの嫁入りの準備もしないとですね。」

「いいね、倉田さんの所にお嫁にきて貰おう。おやっさんの許可は俺が取るよ。」

「私は父、皇帝陛下から許可を取ってきますね。」

「もう、二人ともからかわないでよ!」

三人は終始和やかに話し合いはすんだ。

「そうだ、マリアさん。チカがエステエリアに招待したいって言ってたけど、どうする?」

「お言葉に甘えてよろしいのですか?」

「いいよ、チカが迎えに・・・」

「ゆうちゃん、遅いよ。準備出来たから行こマリアさん。」

「えっ、えっ?」

「行ってらっしゃい~~~」

マリアはチカにさらわれて行った。

「ジェームスくんは別で一杯やろう、おやっさんに会わしてあげる。変な事をしなかったら優しい人だから。」

「光栄です。」

「あと、帝国では食べれないような物を準備してるから期待してて♪」

「そのような物があるのですか?」

「ふふん、おやっさんは絶対なのです。まあ、行こうか、あまり教えて驚きが足りないと俺が怒られそうだ。」

ジェームスを連れ、新たに建てた迎賓館につく。


「君がジェームスくんか、ユウヤから聞いているよ。帝国で話し合いが出来る人間らしいな。俺は金子組 組長、金子平八郎である!」

「お、お初にお目にかかります。帝国第二皇子、ジェームスと申します以後お見知りおきを。」

「まあ、固い挨拶はこれぐらいで、こっちに食事を用意しているから、さあどうぞ♪」

「おやっさん、上機嫌ですね。」

「わかるかユウヤ、俺の能力を自慢する時だからな!」

「みんな驚いてますよ。」

「お前達は驚きが足りん!ここは何も知らない人を驚かせて楽しむさ。」

「ごめんよ、ジェームスくん何か変なスイッチが入ってるみたい。普通に驚いてあげてくれるかな?」

「はあ・・・」

「ユウヤ!何を頼んでる。純粋な驚きの邪魔をするな!」

おやっさんは俺を蹴る。

「おやっさん、痛いって!ケツ蹴るの止めてよ。」

ケツを蹴られる、ユウヤを見てジェームスはどうしていいか戸惑っていた。

「あっ、ついたよこの部屋に準備してるから。」

扉を開けるとそこには日本料理が所畝ましと並べられていた。

「こ、これは・・・」

「どうだい、見たことあるかい?」

「ありません、どれも初めて見るものばかりで、どう食べてよいかもわからないぐらいです。」

「そうだろ、あっそこの透明な鳳凰はアメで出来てるから食べようと思えば食べれるから。」

「この細工が食べれるのですか!」

「そーだよ~ほら、」

おやっさんは羽の一部を折り口に入れた。

「あっ!これ程のものを食べるとは・・・なんと贅沢な。」

「贅沢だけじゃないぞ、どれも味は最高の物を用意してある。さあ存分に味わってくれたまえ。」

おやっさんは上機嫌に食事を薦める。

「ジェームスくん、適当に食べてやってくれないかな?あーなったおやっさんは子供よりタチが悪い。なに、食べて感想言うだけでいいから。もちろん毒なんて入って無いから。」

「その心配はしてませんが、食べたら明日から帝国の食事が取れなくなりそうで怖いですね。」

「それならいつでも食べにこの街に来たらいいから。それにマリアさんも今頃この街無しでは生きられない事になってるかも・・・」

「姉さんに何かあったんですか!」

「悪い事は何もない、それは約束するよ、ただ良いことが有りすぎるのも危険なんだよ。」

「つまり、今の私の状態になっていると。」

「向こうはエステだけどね。女性の美に対する執念は怖いから。」

「わかります。陛下にいただいた美容品は母上が全て着服しましたから。」

「ああ、あれ。」

「はい、今回こちらに来るなら手に入れてこいとうるさいぐらいでした。」

「あんなのオモチャだよ。」

「えっ!」

「今、マリアさんが受けているのと比べたらだけどね。まあ、お母さんに伝えるかはジェームスくんに任せるよ。あとこの前の美容品はちゃんと帰りまでに用意しとくから。」

「あ、ありがとうございます。」

「こら、ユウヤ。邪魔してないでさっさと食べてもらえ!お前が話かけると食べれないだろうが!」

「はいはい、おやっさん落ち着いて。食べ始めたら会話にならなかったらいけないから話すことは先にしておかないと。」

「なら、もういいだろ。ジェームスくん食べてくれたまえ。」

「はい、いただかせてもらいます。」

ジェームスくんはその後無言で限界まで食べ続けた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る