第108話 謝罪

「お前はバカか、この役立たずめ!」

使者の任を終えた騎士をジェームスは罵倒していた。

「友好を求めたいのに宣戦布告とは何事だ!いつからお前はそんな権限を持つようになった。誰かコイツを牢に入れておけ、絶対に逃がすな。逃げられると帝国は滅びる事になるぞ!」

兵士は騎士を連れていく。

「皇子、ご再考をーーー」

ジェームスは聞く耳を持たなかった。


「しかし、この事態いかにする?」

ジェームスは幕僚に聞く、

「一戦交えて、帝国の武威を示すのは?」

「お前もバカか?法国の有り様を知らんのか、しかも、陛下と呼ばれた男は魔皇帝ユウヤであろう。勝てるはずがない。」

「倉田殿に協力を求めれば。」

「奴等は倉田の仲間らしい、どのようにして裏切らせるというのか?」

「ならば、降伏ですかな?」

ジェームスの知恵袋というべき老人が言う。

「そうなるであろう。このような事になるなら最初から私が行けば良かった。すぐに馬車を用意しろ、後は供に行く人数は最低限とする。」

「皇子!それでは奴等に。」

「多く連れても無駄さ、それならば少ない方が相手に会ってもらえるかもしれん。」

ジェームスは馬車の従者、護衛の四人を連れて鎮守府に向かった。


「陛下、また帝国より使者が参っております。」

「また、来たの?」

「今回は第二皇子自らと名乗っておりますが。」

「へぇー、いい度胸だね。うん、会って見よう通してあげて。」

ジェームスは鎮守府、謁見の間に通される。

「また使者が来たんだね、前回の使者は交渉はしないとか言ってたけど、どういう風の吹き回しだい?」

「此度の失礼お詫びいたします。前回の発言は使者が勝手にのべた事、私としては調査と思惑の確認、あと私の訪問の先触れのつもりでした。」

「えらく正直に言うね?」

「陛下の御前で嘘をついてどうしましょう。」

「うん、それなら前回の使者の無礼は忘れてあげてもいい。」

「ありがとうございます。」

「ただし、1つ条件がある。」

「なんでございましょう。」

「この地を貰い受けたい、このまま奪ってもいいが法国との戦いで同盟した仲だ、正式に貰えるなら貰えないか?」

「構いません、実際統治出来ておりませんし。その代わりと言うわけでもありませんが、私の街と友好条約を結んでいただきたい。」

「それは構わないよ。細かいところは事務に任せるとして、基本は不干渉。訪問は自由ぐらいのところかな。」

「それで構いません。後で事務の人間を連れて来ます。」

「では、友好は成ったということでいいかな?」

「はい、陛下の寛大なお心に感謝します。」

「それで、来ただけというのもつまらないだろ?街を見ていくか?」

「よろしいのですか?」

「特段隠すつもりはないよ。まあ、まだ建設中だから散らかってはいるがね。」


ユウヤはジェームスを連れて港に来た。

「ここの一番の目的は船で旅に出ようと思った事なんだ。」

「旅ですか?しかし、海の魔物は何かと強く戦い難さもあって危険と言われておりますが」

「そうなのか?まあ、俺達は戦うすべはあるしな、大丈夫だろ。」

「そうなのですか?」

「ああ、それで海で手に入れた珍しいものを街で売りだそうと思ってる。近隣の街のジェームスくんにも影響はあるかもな。」

「私達も購入出きるのですか?」

「買い占めは困るが普通に売り出すから買っていってくれ。まあ、成功したらにはなるがね。」

「はい、今後も良いお付き合いをお願いします。」


次にエステエリアに来る。

「ここには美容の最先端がある。女性の為の場所だ、ここだけの話、私も妻に勝てなくてな。この街で一番手がかかるってる場所でもある。俺には全くわからんが今あるものとは全然違うものらしい。まあ、ここも使用は出来るから知り合いの女性がいたら試して感想を聞くといい。」

「はい、後日婚約者を向かわせたいと思います。しかし、陛下なぜ私を案内してくれるのです?謝罪したとは言え敵になってもおかしくなかったと思いますが。」

「うん?何故だろう?まあ、せっかく作ったから自慢したいだけかな?それに近隣だし、仲良く出来るに越したことはないだろう。」

「温情に感謝します。」

その後もジェームスに街を案内して、帰り際には美容アイテムを土産渡した。






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