第100話 戦後処理 勇者パーティー

戦争は終結した。

どうやら法王はシリウスに殺され、指揮者が居なくなったことで戦闘が不可能になっていた為、完全降伏になっていた。

そして、戦後処理に入る。

皆の薦めもあり戦功者と捕虜との謁見は魔王城にて行われる事となった。

ワザワザ転移をしようしなくてもとは思ったが・・・

そして、順次魔族や魔物が俺の元に討ち取った強者の首を持ってきて誇っていた。

ちょっとしたホラーだった。


そんな中、勇者パーティーを捕まえたラスと酒呑童子が来ていた。

「ユウヤさん、ボクですマコトです!どうか助けてもらえませんか?」

「なんで?」

「えっ?同郷ですよ、同じ日本人として助けるのは当然でしょ?」

「でも、お前は俺を殺そうとしてただろ?負けたから助けてはムシがよくないか?」

「でも、しかし・・・」

「酒呑童子、ご苦労だったな。日本の魔物達の力、同郷のものとして嬉しく思う。酒呑童子は今後俺の近くに控える事を許す。」

「はっ!勿体無き言葉、有り難き幸せにございます。」

「他の仲間達にもよく伝えておいてくれ、褒美は後日選考して渡すともな。」

「はっ!」

「それで、ラス。」

「はい。」

「お前は横取りしすぎ、苦情きてるぞ。でも、お疲れ。俺の為にいろいろ動いてくれて。お前の主でよかったよ。」

「ラスもユウヤ様の為に頑張れてうれしかったよ♪」

「ラスは私の獣魔のはずなんですけど・・・」

チカは何故かテイムしたはずの獣魔をとられていた。

「チカさん!助けてください、このままだとボクは殺されてしまいます。」

チカは叫ぶマコトを見た。

「はい?私達を殺す為に先頭に立って戦ってましたよね?勇者でしたっけ、みんなに頼られてさぞ気持ちよかったでしょう。なら、最後まで勇者らしくしたらどうですか?」

「じゃあ、俺を日本に帰してくれ。体を回復して、日本に帰してくれるだけでいい!」

「なんだコイツ、バカなのか?体を回復さして日本に帰すだと、要求全部じゃないか?それに日本に帰る方法なんてないぞ。」

「そんな、騙したのか!」

「いや、俺は一度も帰れるなんて言った気はないんだが?」

「うるさい、いいから俺を助けろよ!」

「ラス、コイツうるさいから取りあえず牢屋に放り込んでおいて。」

「はーい。」

ラスはマコトを連れていった。


さて、次は聖女マリーの番だった。

「聖女だったっけ?何か言うことある?」

マリーは平伏し、

「魔皇帝ユウヤさま、どうか命ばかりはお助け願います。」

「おや?聖女さまが魔物の長に命乞いしていいの?」

「神は私を守ってくれません。どうか、御慈悲を・・・」

「うーん、チカどうする?」

「奉仕作業をさせる事で助けるでいいんじゃないかな?」

「そうだね、聖女さん。貴女はこれから我が領内で回復魔法を使って奉仕作業を行ってもらいます。給料はでますが誰を回復させるかは選べません、相手は魔族、魔物、獣人といろいろいます。差別をした時は貴女の命が無くなる時です。覚悟して作業を行ってください。」

「ありがとうございます。陛下の温情に感謝いたします。」


「次はコウ、竜王の娘なのか?」

「私は竜王の娘コウ!見苦しい真似はしない、さっさと処刑しろ!」

コウは震えながらも、毅然とした態度でユウに向き合っていた。

「処刑してもいいの?じゃあ、処刑するか、どんな死に方がいい?」

「えっ!」

「君はたくさん魔物を殺したし、処刑する事に抵抗はないよ、ただ死に方ぐらいは選ばしてあげる。」

コウはいざ自分の死に方を考えると言葉が出ない、首を斬られる?槍で刺される?全てが嫌で恐ろしかった。

「どうしたの?選べないならこっちで決めるよ?」

コウはその方が覚悟出来るかもと考えた。

「うーん、スライム達に頑張って溶かしてもらうか、火系の魔物でジックリ焼こうか、ゴブリン達が苗床欲しがってたから繁殖に使おうか?迷うなぁ・・・」

コウは甘かった、自分が想像もしていないような死に方に心底恐ろしかった。

「いや・・・」

「なに?」

「いやです、死にたくないです」

コウは泣きながら命乞いを始めた。一度泣き出すともう止まらなかった。

「最初からそう言え、俺も子供を殺すような真似は極力しないつもりだが、本人が死にたいのを止める気はない。」

「またまた、ゆうちゃんワザと恐がらせたでしょ。」

「チカ言っちゃダメだよ、あーコウ、君は傷付けた魔物達に謝罪をしてもらう。その態度次第で君の命は決まると思ってくれ。いいね。」

コウは泣きながら、答えた。

「はい、頑張ります。」

ユウヤはコウの頭を撫で、優しく語りかける。

「恐がらなくても大丈夫、悪いようにはしないから。ベヒモス、この子に部屋を与えて休養をとらせてくれ。」

「かしこまりました。」

ベヒモスはコウを連れ下がっていった。

「ゆうちゃん、コウって子に優し過ぎない?」

「いや~なんか保護欲にかられて、可愛い子の涙は反則だよね。」

チカはギューと俺の腕をツネリ。

「浮気したらダメだよ!」

注意された。

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