第77話 ついに開戦

開戦日、ユウヤは中央奥に配置されていた

「あぅ~、前線が俺を呼んでい」

「ません、ゆうちゃんはおとなしくみんなの活躍を見ましょう」

「ユウ、待てだぞ、待て出来れば、誉められるのだ」

「キコ、俺は犬じゃねぇ~戦わせろー!」

ユウヤの悲しい叫びがこだました


カズマの耳にユウヤの叫びが聞こえた

「おっ、悲しい叫びが聞こえるな♪」

「くっくっく、哀れだな、家庭なんか持つから自由がなくなるいい気味だ♪」

「シンさん、ユウヤは結婚してませんよ」

「マキまだそんなこと言ってるのか?時間の問題だよ」

カズマもシンに続き忠告する

「マキ、お前はふられたんだよ、まあ、おじょうの目に写ってもないけど」

「おじょうはゆうちゃんしか見てないだろ?こっちにきてからその傾向が強くなったが」「そんな・・・」

「おじょうは優しいから勘違いするかも知れんがユウヤとそれ以外で分けてる、あきらめて他の女にしとけよ」

マキから返事はなかった

シンは殺気をこめマキに最後通告を行った

「言っておくが、おやっさんも二人を、認めている、いらんことしたら俺が殺す、タクミのようになるなよ」

マキはシンの本気を感じた

「申し訳ありません、どうやら俺は死の淵にきてるみたいですね」

カズマは少し安堵した表情で

「やっと、気づいたか、俺達に仲間殺しはさせないでくれよ」

「この失態は今日の戦いで返したいと思います」

「それはかまわんが無理して死ぬなよ」

「当然です、俺の手柄を見ていてください」

シンとカズマは一安心して、戦いに集中することにした


帝国軍

倉田は不機嫌そうに銀二に話しかける

「おい、銀次!」

「へい、何でしょう」

「なぜ、おじょうとユウヤはイチャイチャしている」

「二人はついに付き合い出したからでは?日本にいる時から時間の問題だったかと」

「邪魔してこい」

「へっ?」

「へっ、じゃない、チョメチョメを始めたらどうする」

「おやっさんが喜ぶかと」

「あんなバカはどうでもいい、さっさと行って二人きりにさせるな」

「嫌ですよ、おじょうに睨まれるじゃないですか、倉田のアニキがご自分でどうぞ」

「ワシはおじょうに嫌われたくない、理解あるいい叔父さんでありたいと思う」

「きたねぇー、俺は行かねぇっす!」

「なんだと!」

そこにマリアがフォローに入る

「まあまあ、倉田さま、チカさまの幸せを考えて差し上げては、女は好きな殿方の傍にいたいものですよ」

「マリアか、しかしだなおじょうに男はまだ早い」

「女は殿方より早く大人になるのです、邪魔するより見守って支えてあげるのが叔父の倉田さまの役目では?」

「うぬぅ」

「それより戦争はどうするんですか?何も指示ないですよ」

「なんだ、あんな雑魚など来たら斬ればいいだけだ、作戦などいらん」

銀次はあきれたが

「わかりました、兵に伝えてきます、配置は適当にしておきます」

「おう!」

銀次はさっさと離れて命令を、伝えに行った


魔貴族

バエルは本陣を眺めながら

「陛下は奥方と観戦なされるか」

アガレスも幸せそうにかたる

「仲良き事は美しいですなぁ」

アモンはやる気に満ち溢れ

「これは我等のいい所をお見せせねば、恥というもの、気合いが入ります」

バエルは改めて皆に指示を出す

「いいか、獲物は早い者勝ちだ」

武者姿のバルバトスは一番槍を狙っていた

「強者の首を陛下に捧げよう」

バエルは皆の気合いの入りように不安になり

「俺のをとるなよ」

「早い者勝ちだろ」

バエルは不安が的中している事に気付き提案すら

「魔貴族72柱、全員は多すぎだろ、何人か帰ってくれないかな?当たりが減る」

アガレスは不審な目をバエルにむけ

「なら、バエル君が帰りたまえ、我等は陛下に忠誠をお見せいたそう」

「アガレス!俺も陛下に忠誠を見せる、此度、奴等は奥方様を辱しめようとした許されざる大罪、俺が裁かず誰がさばく!」

「ワシが裁くから、バエルは帰っていいぞ」

「アガレス~頼むよ戦うよ、先陣切っちゃうよ」

バルバトスは先陣を譲る気はなく

「後ろで見てたらいい、俺が口火を切る」

「バルバトスまで、俺がやるからー」

魔貴族は仲良く先陣を争っていた


本陣

ユウヤは布陣が終了したことを確認して

「さて、そろそろ始めるか」

ユウヤは通信機や拡声器を使い全軍に声を届かせた

「みんな、ここに集まってくれて感謝する、今日、法国は消滅する、それは何故か!神の名を騙り、世界各地で徴発に差別、やりたい放題やってきたからだ!

・・・だが、俺としてはそんなことはどうでもいい、今回法国が滅びるのは俺の女を辱しめようとしたからだ、この戦いは俺の私怨である!だから、戦いたく無いものは帰っても構わない、だが俺と怒りを共にするものは戦って欲しい、法国に地獄を見せてやれ!!全軍突撃!!」


ユウヤの開戦の言葉を聞きシンは怒りを漲らせ

「兄弟の怒りは俺の怒り!心有るものは俺に続け!」

組員、モンスター兵はシンに続いた


倉田はやっと開戦したかと思い、突撃令を出す、それは殺意に満ち溢れていた・・・味方も危険なほどに

「おじょうに手を出す奴は、コロス、全軍突撃!!」

「い、急げ、突撃だぁ!倉田のアニキに殺されるぞ」

帝国軍ははっとしたかのように銀次に続いて突撃を開始した、その姿は既に死兵であった


バエルは魔貴族を代表して号令をかける

「陛下の御為に!魔貴族72柱、全軍突撃!」

バルバトスは真っ先に駆け出した

「おう!一番槍は俺がもらう!」

アガレスはスキルを使い予定どおり国境を封鎖した

「ワシの能力で国境に谷を作った、これで奴等は逃げれん」

続いてガミュギュンもスキルを発動、これにより法国軍の兵士はスキルを解除するまで死ねなくなった

「能力発動、奴等の魂はこの地に縛られた、これで死ぬことはできん、じっくり地獄を見せてやる」

「皆さん早いですね、私も海を封鎖しました、これで陸、海からは逃げれませんね」

話終わる頃にはバルバトスを先頭に魔族の軍は法国軍に、血の雨を降らせていた

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