第39話
美しいロゼさんと王族の元へ向かう。
一昨日より遅れてしまっているのだが、怒られたりしないだろうか?
「おはようございます。待っていましたよ、リトさん。」
「おはようございます。お待たせして申し訳ありません。」
遅れた事を怒るどころか、僕が来る事を心待ちにしておられたようだ。
本日のキング・シリウスの顔色は宜しい。
王女姉妹もご機嫌のようだ。
ふと思うが、メロメロを公言しておきながら王妃様としか会話していないのだが良いのだろうか?
「ユーリ様、セレス様、おはようございます。」
「「おはようございます。」」
試しに挨拶してみたが嬉しそうにしている。
「あらあら。」
王妃様も嬉しそうだ。
我が同志キング・シリウスもニヤついている。
おい、これがポーズである事を知っているよな?
朝食を摂りながらパオラ様との会話が続く、
「過去の勇者様の文献に付いて調べているそうですね?何か分かりましたか?」
キングの方を見ると目を逸らされた。
別に構わないが筒抜けじゃないか。
「そうですね、いくつかの事は。ですが今回も全く同とは限りませんし、あくまで目安程度に考えています。」
「どんな事が分かったのかしら?」
「おそらく厄災が起こるのは、今から3年後ではないかと言う事。過去の勇者たちは郷愁の念に駆られ訓練よりも帰還方法の探索に励む者もいたようですね。」
暖かなテラスの気温が少し下がる。
誰か空調を弄ったのだろうか?
「興味深いですね。あなたも帰還の方法に興味があると?」
「はい。文献には書かれていませんでしたし、厄災を救った後の勇者達の動向が何処にも書かれていないのも気になっています。無事に帰れたのか、それとも相討ちになって厄災を鎮めたのか…。」
更に気温が下がる。
「あなたはメロメロになっている娘達がいると言うのに帰りたいと言うのですね?」
目の前に、魔王ブリザードクイーンが現れた。
キング・シリウスを見る、凍えながら震えている。
役に立たない。
王女姉妹を見る、悲しそうな瞳で僕を見ている。
美しいロゼさんを見る、無表情でも美しい。
魔王からは逃げられない。
僕は先制攻撃を仕掛けた、
「あの、パオラ様?失礼ですけど、パオラ様は人の話を最後まで聞かないとか、すぐ勝手に決めつけ過ぎるとか言われませんか?」
キング・シリ臼に謎の大ダメージ、恐慌状態。
本当に役に立たない。
王女姉妹が青ざめて震え始めた。
美しいロゼさんは、目を見開いても美しい。
魔王は唖然としていて行動出来ないようだ。
なので僕は追加攻撃を仕掛けた、
「今は文献に書いてあった事、なかった事の話をしているだけです。確かに一緒に来た女子達には待っている家族が居ますので、出来れば帰してあげたいとは思っていますが。」
キング・尻臼は錯乱している。
本当に全く役に立たない。
王女姉妹は様子を伺っている。
美しいロゼさんは、動揺していても美しさに陰りはない。
魔王は混乱していて行動出来ない。
更に僕のターン。
「ですが、僕自身が一言でも帰りたいなどと言いましたか?待っている者などいない僕が?ご冗談でしょう?話は最後まで聞いてからご判断して下さい。」
菌愚・尻臼が仲間になりたそうにこちらを見ている。
本当に、全く、絶対に、いらない。
王女姉妹が頬を染めてこちらを見ている。
美しい、美の化身ロゼさんが、美しく女神ってる。
パオラ様は涙目で行動出来ない。
異世界よ、何だ?
この茶番は?
やり過ぎてしまったのだろうか?
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