第37話

 ウソ発見機の攻略講座の後、僕たちは手分けして文献を漁っていた。


 それなりに量は多いのだが問題なく翻訳され読めるようだ。


 知りたかった事は何件かだが分かった。



 ・毎回、複数人が召喚されるが多くて5人


 ・その殆どが郷愁の念を抱いていて、訓練よりも帰還方法を探してばかりの者もいた。


 ・それなりに高ステータス、良スキル。


 ・低いステータス者はおらず、ましてや指輪しか装備できない者などいなかった。


 ・召喚された者に庇護などというスキルも庇護者という職もない。


 ・言葉や文字が通じない者はいなかった。


 ・それなりに態度の悪い者も中にはいたようだ。


 ・男女比率は毎回バラバラ。


 ・厄災までに平均で3年くらい期間があった。


 ・厄災の内容は大体が知性を持ったモンスターが現れて、他を率いて来る的な感じ。


 ・難易度までは伺えないが、それなりに怪我などはあったらしい。


 ・最終的なレベルや当時の死者までは記されていない。


 ・厄災後の勇者達の行方は記されていないし、誰も知らないらしい。



 今のところ分かったのは、このくらいか。


 後は細かいスキルや魔法、道具やモンスターについてだったり役に立ちそうもない情報も多い。


 追々、精査して行くとしよう。


 情報通りなら3年くらいありそうなのだ。



 連合での活動を終え、自室へと戻る。


 部屋着へと着替え、いつもの考察。


 過去の勇者と僕達の違いは何だろうか?


 同じ様に高ステータスと良いスキルを持ちながら、それでも地球に想いを馳せた彼等。


 一度は取り乱したとはいえ、殆ど郷愁の素振りを見せない彼女達との明確な違いは?


 ‥‥6人目の僕だろうか?


 庇護スキルが働いている?


 たぶん状況だけで考えれば過去の勇者達と同じ様な召喚だろう。


 ならば転移時に何か吹き込まれたり、ステータスやスキルが働き掛けているという線も疑わしい。


 いやいや、まさか。


 確信もないのに結論を出すのは危険だ。


 まだ、しばらく様子を見るしかないだろう。


 そこまでノートに記したところで睡魔が襲って来たので、僕は蝋燭の火を消しベッドに入って眠りについた。



 翌朝、時刻は6時30分。


 着替えを済ませ、トイレへ行ってから顔を洗いに行く。


 途中で会ったメイドさん達に驚いた顔をされたのは何故だろうか?


「おはようございます、カガワ様。」


 美しいロゼさんに声をかけられる。


「おはようございます、ロゼさん。今日も良い天気ですね。」


「ええ、気持ちの良い天気です。ところでカガワ様は、こんな所で何をされているのでしょう?」


「朝食までの間に身支度を済ませておくようにロザリー様に申し使っておりますので、井戸で顔を洗いに来ておりました。」


「…………。すみません、少々急用が出来てしまいました。失礼致します。」


 そう言い残すと、今日も今日とて美しいロゼさんは返事も待たずに去って行ってしまわれた。


 他のメイドさん達は青ざめておられる。



 異世界よ、皆様に何が起こっているのだろうか?

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