第22話 家族になろうよ03
そして登校。
「兄さん♪」
ルンと弾んだ声。
鞄を握っていない左腕を、僕の右腕に絡めるラピス。
乙女の視線が魅力的。
セーラー服ごしの膨らみは男子高校生にはあまりに毒。
ついでにシャンプーの良い匂いまでする。
確かに今朝使っていたけども。
「離れて?」
「お嫌ですか?」
「色々と」
「じゃあ嫌がらせと言うことで」
――それもどうよ?
ニコニコ笑顔の妹を前にすると、なんとなく押しが弱くなるような気もし……多分ラピスだからと言うのも因果の一つ。
「あー!」
「朝からやるな」
途中で四谷と久遠と合流。
四谷は不機嫌。
久遠は呆れ声。
「あ、ビッチに妥協案」
「だーかーらー!」
「売女?」
「天誅!」
チョップ。
「はいそこまで」
僕が護る。
「だから兄さん大好きです」
さらにギュッと抱きしめられます。
豊かな胸が刺激的っ!
ルリが大っきくなると、こんなにも攻撃的な体つきになるのか。
将来が楽しみすぎる。
「司馬から離れろ!」
「譲りません!」
わんわんにゃーにゃーと、一人足りないけど姦しい……ていうか「人間、二人居て対立し、三人居て派閥が出来る」の典型例。
「妥協案ってなんだろうなぁ」
久遠は久遠で思案してるし。
「司馬の不潔!」
「兄さんは清らかです」
「アンタの事だし!」
「ビッチに言われても……」
「うーがー!」
「君らは喧嘩しか出来ないの?」
「ビッチが絡んでくるんです」
「司馬が煽るんでしょうが!」
「おちけつ」
他に言い様もない。
とりあえずは、両者を宥めながら登校……またこの軍勢の四分の三が魅力的すぎて衆人環視を集める集める。
「気が逸るな」
久遠の言葉も、ご尤も。
気苦労が絶えない。
僕も引き籠もろうかしらん?
ルリと一緒に居るだけで幸せな僕だったりして。
言わないけどね。
火薬庫の隣で火遊びする趣味は無い。
さて、
「司馬はいいの?」
「何がでっしゃろ?」
「ラピスと……その……イチャイチャして……」
「いいんです!」
ラピスの主張だけど、君には聞いていないよ。
「少なくとも顔は可愛いから、イチャイチャ……というか仲良くする理由の五十一パーセントは満たしてるよね」
「面食い?」
もうちょっと根が深いけど、ここで言うことでもにゃ~。
「一応書類上は妹なので」
「義理の兄と妹が仲良くするのは世界の真理! 根拠は妹萌えのジャンルがサブカルで一切廃れないこと!」
グッとサムズアップ。
無論ラピスの物。
「妹萌えは、過去の歴史から脈々と受け継がれている属性ですので。実のところサブカルだけの教義でも無いよね」
気疲れもしますけど。
「妹萌え?」
「事実の一側面ではあるね」
ルリが大好きな僕としては。
僕が大好きなラピスとしては。
「兄さん!」
「あいあい」
「愛してます!」
「知ってる」
何度も言われりゃ、そりゃこうなる。
「にゃあごう」
僕の肩にほっぺをすりつけるラピス。
本当にペットに懐かれた気分で、甘え方はルリとたしかに相似する。
「ぬぐぐ……っ」
四谷はどこか悔しそう。
「何か不満でも?」
にゃーにゃーと僕に懐いているラピスを見て、歯噛みしている四谷の憤怒の表情が不思議で為らなかったのだけど、
「司馬。それはない」
久遠にツッコまれました。
ジト目に呆れ声。
――何か不手際があったかな?
「ビッチはおっぱい小さいですし」
「司馬みたいに下品な体つきじゃないからね」
「虚しい防衛規制ですねぇ」
イソップ童話。
酸っぱい葡萄と狐の負け惜しみ。
「司馬もおっぱい好きなの?」
「…………次点では」
ルリのロリボディで御飯三杯いけるので。
おっぱいが好きなのでは無く、好きな人のおっぱいが魅力的といえるでしょう。
要するに僕はルリが大好き!
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