天上に向かって暮らす青さの
草食信仰森小説賞(https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054921677831)と草食アングラ森小説賞(https://kakuyomu.jp/user_events/16816452220005811476)
という自主企画を行いました。謎の評議員三名がすべての投稿作に目を通し、独自に講評をつけるという企画です。結果発表・全講評はnoteに載せております。
noteはこちらから→https://note.com/kusawotabenai
そのふたつの自主企画に主催である私も小説を投稿しました。
下ふたつです。
天上に至る青さよ(信仰森)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054921688847
下に向かって暮らしていくの(アングラ森)
https://kakuyomu.jp/works/16816452220149459951
この二作を書いた経緯というか「自分の企画だから何を書いてもいいに違いない」という思惑について特に書いてなかったので書きます。
どちらも異議を申し立てたい文豪作品のオマージュとなっていました。ではいってみましょう。
・天上に至る青さよ
これはそもそも芥川龍之介の「往生絵巻」を読んで、「意義あり!!!!」(クソデカ大声)になった記憶から来ています。青空文庫で読めますが、更に大本の話は今昔物語です。五位の入道というクソ男が出てきます。
簡単なあらすじですがこのクソ男が極悪非道の犯罪ばっかりやってきた男なんですが、なんでも仏に祈れば誰でも極楽浄土にいけると聞いて、やったぜとばかりに仏の名前を呼びながら永久に走り始める話です。
「往生絵巻」バージョンでは、走り続けて死んだあと通りかかった人が口から白い蓮華が咲いている入道を見つけて、徳の高い僧侶だったのかとなる、という幕切れなんですけど異議あり!!!!異議ありなんやって!!!!!
たしかに念仏さえ唱えていれば導かれる的に説く宗派もありますが! 私的にはオメ~~~ずっと走ってただけで!? メロスのこと見習ってください! もっとなんか、善行とか積んでよぉ!
あと口から白い蓮華っていうのが絶妙にオシャンでなんか腹立つ!龍之介くん!?無垢フェチか!?
このようにして納得がいっていなかったので「俺が……特に救われない自己中男の末路を書いてやるぜ……」となりまして、書きまして、できました。
書いてみると不思議なもんで、なんか五位の入道のことを許せました。むしろいや確かに、これだけ走って仏だけを永久に追っていたら、まあ、俗世の一切が洗い流されているかもしれない……それなら口から真っ白の、無垢を象徴するような蓮華が、ううん、そうね、咲いちゃうかあ……咲いちゃうな……天上に至るための青さとは、一心に仏を求める青い衝動のことなのかもしれない……。
などとなってしまったので芥川先生申し訳ございませんでした。ぼくが愚かでした。ウェルカムトゥルーザーズクラブ。
・下に向かって暮らしていくの
逆よだかなんですよ。宮沢賢治先生のよだかの星で発狂した哀れな植物が生み出した話です。
よだか。好きなんですけど~~~めっちゃ好きなんですけど~~~~~かわいそうじゃない!?
ぜんぜん相手にされないし、見た目がブスってだけですごい嫌われるし、ブスでもええねん、俺は好きやから……なんて言ってくれるひとはなく……家族にもじゃあなってどっかいかれて……いろんなところいくけど追い返されて……もう死ぬってときにぐんぐん登っていって星になるんですけど……かわいそうじゃない!?
だってこれ暗に「死にました!」って言ってるよね!? 死んだら星になるっていうのをちょっとコスってみた的な話なんじゃないのか、なあ賢治!?
異議を申し立てます。よだかを幸せにするのは俺だ俺だ俺だ~~~~!!!!
これが動機でしたが浅はかでした。よだかは充分幸せでした。幸せでしたというかよだかは神になっていました、次元が違っていましたぼくが浅はかでした。
とりあえず逆にして土をばんばん掘り進めてみたんですけど、まあ、結局燃えたんですよ。上にいっても下にいっても燃える、燃え続ける。それは幸不幸の段階を超えていてエントロピーを凌駕したってワケ……(白い生き物顔)
だから賢治先生は「今でもまだ燃えています」を小説の末尾になさったんですね。地盤を掘り進めてみてわたくしもようやく至りました、おゆるしください。せめてものリスペクトのためにサブタイトルを末尾の一文にさせていただきたいと思います……。平身低頭!
以上です。
草食○○森小説賞、ご参加くださった皆様、作品群を追ってくださった(くださっている)皆様、大賞副賞絵師二名様、一緒に走って燃えてくれた謎の評議員四名様、本当にありがとうございました。
また読みたいテーマが思いついたら不定期に現れるかもしれないので、そのときはそのときの草くんによろしく言っておいてください。
敬具
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