第86話 眠
雲雀のヤマイは彼女の体が地面の同じ位置にあってはいけない。その為に歩き続ける、走り続ける、乗り物に乗り続けることが求められる。
それは眠る時も例外ではなく、彼女は小梅に頼んで自然と寝返りがうてるマットレスを作ってもらった。マットレスは小梅が作った道具の中でも、葉介の身体年齢を測る体重計に次ぐ傑作だ。
しかし、ヤマイを抑制できることは雲雀の睡眠が守られることには繋がらない。数分ごとに強制的に寝返りをうたされる雲雀は常に寝不足状態であり、泣きが落ち着いた今では睡魔が若干やってきていた。
鶯は彼女の背中を撫でながら、穏やかな顔つきで部屋を歩く。いつも眠ってしまう自分の隣で、常に笑いながら舞っている少女を想って。
晴れた日、陽光が降り注ぐ天気だと鶯は動けなくなる。
印数二、椿鶯のヤマイ――自然光を浴びると眠るヤマイ。
深い緑色の髪を持つ彼は、自然光を浴びると起きていられない。どれだけ抗おうとしても、確実に眠りへ堕とされる。例えそれが横断歩道を渡っている時でも、泳いでいる時でも、誰かと話している時でも。何をしていようとも鶯は陽光に負けてしまう。
鶯にとってはパナケイアなどどうでもいい。彼は雲雀の為に頑張りたくて、雲雀の為に戦いたい。
雲雀が誰かを恨めば鶯も共に恨み、雲雀が誰かに泣かされれば相手を潰す。雲雀が誰かを殺して欲しいと呟きでもすれば、鶯は迷いなく殺すだろう。
鶯は雲雀を抱いて、彼女がこれからどうしたいのか考えていた。
* * *
「こちらでよろしいでしょうか? 遮光性の高い布を合わせに合わせて分厚くなってしまっていますが」
「いい。光が遮れたらそれでいいから」
中学三年生の椿鶯は色の悪い顔で道具室を訪れた。小梅と葉介は何事かと顔に緊張を走らせたが、緑の少年は部屋の隅で膝を抱えている。
鶯は初対面の小梅に「光を絶対に通さない上着」を頼んだ。小梅は余りにも突然の要望に目を白黒させたが、葉介に頼んで早急に布を集め、取り敢えずの試作品を提出した。
目を充血させた鶯は布を受け取り、早急に頭から被る。黒い布達磨になった少年は、小さな声で確認した。
「これ、どれくらい光を通さない?」
「えっと、流石に百パーセントではありませんが、大方……八割位でしたら」
小梅の回答に鶯は悲しそうな顔をする。布を被った彼は膝を抱え、消え入りそうな声で呟いた。
「そうか……ごめん、ありがとう」
「い、いいえ。あの、差し支えなければどうしてこのような物を?」
小梅は苦笑しながら鶯の隣にしゃがむ。緑髪の少年は、よくよく見れば腕や顔に青痣が出来ていた。それを見つけた小梅は苦笑を消し、葉介は救急箱を準備する。
「俺は、椿鶯。ヤマイは、日の光りを浴びたら眠るヤマイ」
葉介は鶯の額や腕に湿布を貼り、緑の少年は直ぐに俯いてしまう。葉介の年齢が今日は四十代である為、大人に対応されているのが落ち着かないと言った態度だ。
「……何をしてても、どんな状況でも、俺は陽光を浴びたら眠る。意識が無くなって、倒れるんだ。そのせいで色んなものにぶつかるし、下手したら頭も打つし怪我もする。それでも、陽光を浴びてる限り俺は眠り続けるんだ」
「だから予防を求めたのか」
葉介の言葉に鶯は頷く。顔色の悪い少年は黒いフードを引っ張り、唇を結んでいた。
「……道具室に、ヤマイの為になる研究をしてるヤマイがいるって、猫柳さんって人に教えてもらったんだ。だから、もしかしたらって」
「そうでしたのね。私は桜小梅と申します。確かに、こちらの道具室を担当していますわ」
「俺は柊葉介。見た目はこんなだが、年齢は十五だ。寝る度に身体年齢が変わるヤマイでな」
「あ、そ、なのか」
鶯は安堵したように息を吐く。顎を引いた鶯に対し、葉介は少しだけ違和感を覚えた。だが銀髪の少年が何か問う事は無い。そのまま、鶯は布を纏って道具室を後にした。
――椿鶯は晴れた日に起きていられない。
朝起きた時に陽光を浴びることも、雲の切れ間から見える晴れ間も、一日を労う夕焼けも見てはいけない。浴びてはいけない。
彼がヤマイを発症したのは数週間前。中学校の朝礼の時間、突如グラウンドで抗えない睡魔に襲われて倒れたのが始まりだった。
周囲は当初、鶯が倒れた原因を熱中症や体調不良だと考えた。しかし少年は日陰に運ばれれば直ぐに目覚め、しかし日の元に出れば再び眠ってしまった。
気絶するように眠る鶯に違和感を覚えた教師はパナケイアに連絡する。そこから研究員達は鶯のヤマイの仮定をいくつか立て、数日で少年のヤマイは陽光が原因であると確定した。
印数二を刻まれた鶯は寝ぼけていた。何度も眠っては覚醒を繰り返し、自分に何が起こったのか理解していない。クラスメイトよりも成長の著しかった体躯を丸めて、昼間は常に睡魔に襲われた。何があっても、どうなっても。
鶯は眠った。
朝は目覚められなくなり、昼間の活動は皆無。学校には曇りか雨の日だけ登校し、教師は苦言を呈していた。
「椿君、どうして学校に来られないのかな」
「……起きられないんです。俺、日の光りがあると、」
「それは君の気持ち次第なんじゃないの?」
「え、」
「君がもっと頑張ってみれば、解決できることなんじゃないかな」
教師の言葉に、鶯は何も言えなくなる。
彼が陽光を浴びて眠るのは、熱いものに触れれば火傷するのと同じこと。鶯の意思でどうこう出来る問題ではない。制御が出来ない事象がヤマイであり、ヤマイだと判断された者に刻まれるのが印数だ。
鶯は自分の左手にある二の印数を見下ろして、教師から降ってくる言葉と雨音を一緒に聞いていた。
「もっと頑張ってごらんよ」
頑張る。
頑張る。
……頑張る?
鶯の頭の中で同じ言葉が回る。少年は、何も返事が出来ないまま顎を引いた。
頑張ればどうにか出来るのか。頑張らなければいけないのか。頑張るとはどうするのだ。どう抗うことが正しいんだ。
鶯には分からない。頑張れと言われても、頑張る方法が分からない。どうにもできない事に挑む方法が分からない。
「がんば……る……」
頑張り方が分からないまま、鶯は眠った。雨がやんで晴れ間がのぞけば、体育の途中であろうと眠ってしまった。その場に倒れて腕や頭を打ち、青痣を作った痛みよりも睡魔が勝ってしまって。
彼が目覚めるのはいつも暗い時。光を浴びられなくなった少年の肌は日に日に白くなり、不健康に青痣ばかりが出来て、少年に降り注ぐ視線も冷たくなるばかりだった。
少年は外に出ることを恐れた。出てしまえば自分は倒れてしまう。また傷が増えてしまう。打ち所が悪ければもう目覚められなくなってしまうかもしれない。
彼は雨の音に安心するようになった。雨が降っていれば自分は起きていられる。突然眠ってしまう事は無い。その日は頑張らなくてもいい。
彼は雨上がりが一番嫌いになった。雨が上がってしまえば、雲が晴れてしまえば、自分は起きていられなくなる。再び頑張り方も分からないまま頑張らなくてはいけない。
眠るばかりの苦行。眠って、眠って、起きた時の日付も時間も分からない曖昧な感覚。時間を圧倒的に浪費している不安感。
勉強には遅れが見え、周囲の話も飛び飛びになってしまう。
そんな息子を両親は心配した。ヤマイであっても自分達の子だと思って、必死に背中を押そうと声をかけたのだ。
「頑張って、鶯」
「頑張れ、お前なら大丈夫だ」
両親から心配される度、鶯の感情は傾いた。親の言葉に応えられない自分が駄目なのだと責めて、日の光りを見るだけで脂汗が出てくる始末だ。
頑張らなければいけないのに、頑張るしかないのに、頑張らなければ、頑張って、耐えて、忍んで、頑張って――
「誰か、頑張り方を教えてくれ」
焦った鶯が駆けこんだのは
パナケイアに検診に来た時、青痣を作っている鶯に
「……俺は君を救えないけど、楽になるかもしれない手段は知ってるよ」
それは、蓮なりの優しさだった。
鶯は縋る思いで話を聞いた。アテナの事、
眠るばかりの少年は迷わなかった。今の状況が少しでも変わるなら、心が少しでも楽になるならば、頑張る方法に縋りたかったのだ。
だから小梅と鶯に布を作ってもらい、彼はアテナの戦闘員を相手するようになった。
晴れた日から逃げながら、晴れ間から逃げながら、震える手でテレクを握って。
メディシンがあれば、メディシンさえ打っていれば、自分は頑張ったと周囲から認めらえる気がして。
だが、鶯は普通の中学生だ。体躯はしっかりしているがそれだけで、小梅や葉介のように生まれた時からヤマイについて考えていた訳ではない。皇のようにヤマイである樒と会話が出来る訳でもない。暴力を求める樒のような感情も、やらねばならないと決めて動ける葉介のような器量も持ち合わせてはいない。
鶯は初めての任務の時、足を動かすことが出来なかった。握ったテレクをどうすることも出来ないまま、目の前でヤマイが戦闘員に襲われた。
鶯のフォローに回った皇は、狼牙棒を担いで首を鳴らす。金髪の彼は戦う事に慣れ、殺すことに躊躇は無くなった。
「なぁ、
それは皇なりの鼓舞だった。
鶯の内臓が震える。
少年は黒い布を被って小さく顎を引き、自分が選んだ頑張り方を習得しようと走り出した。
そんな鶯が初めてアテナの戦闘員を殺した時、渦巻いたのは喜びでも達成感でもなく、負の感情だった。
「これが、頑張った……結果?」
鶯は目の前に倒れている人を見る。
黒いペストマスクが砕けて、黒い上着が破けて、武器は折れて血だまりの中に。
鼻をついた鉄の匂いに、鶯は喉を這い上がる酸っぱさを思った。
少年は黒い破片の傍に気持ち悪さを泪と一緒に吐き出してしまう。
噎せて、噎せて、吐いて。
鼻を啜った少年は、何度も唾を吐きながら噎び泣いた。
項垂れる鶯の隣に立つのは、先輩である樒。彼女は微笑みながら狼牙棒を肩に担ぎ、赤い瞳を愉快そうに細めていた。
「お可哀想に。人間らしさって邪魔よね。そういうの、捨てちゃいなさい。今日の取り分はあげるから」
去って行く樒は己を確立する暴力に満足する。
皇は自分を脅かす者を排除できたことに微睡みの中で満足し、蹲ったままの鶯は頭の片隅に留めていた。
ひとり暗い路地に残った鶯は、体の震えが止まらない。
周りに頑張れと言われ続けて、頑張る方法を模索して、頑張り方として選んだ
鶯は血のついたテレクを見下ろす。
これはヘルスを守る行為だ。自分に「頑張れ」としか言わないヘルスを守る為に、自分の手は汚れていく。「努力しろ」と指さす社会の為に、悲しさが押し寄せる。
鶯は血のついた手で顔を覆い、喉と口に残る苦さに寒気を覚えた。
「――はい、お水」
そこで声をかけたのは、聞いたことのない少女の声。
鶯は肩を揺らして顔を上げる。彼の隣には青みがかった黒髪を揺らす少女が立っており、手には水筒とハンカチが差し出されていた。
「気持ち悪い? しんどそうだよ……って、あぁ……」
少女――
毒の世界で息を引き取った相手が何を考えていたかなど誰も知らない。ただ、そこで、息絶えている。
それが、現実だ。
「なんで、俺……こんなこと頑張ってんだろ」
鶯は顔を覆って体を小さくする。雲雀は少年を見下ろしながら足を前後させ、ふとしゃがみ込んだ。
彼女が一箇所に留まれるのは僅かな時間。それを承知で、雲雀は鶯の隣に膝を着いたのだ。
「誰かの為に頑張るからしんどいんだよ」
雲雀の言葉に、鶯は息を呑む。
恐る恐る緑の瞳を向けた先には、晴れやかに笑っている少女がいた。
「誰かの為じゃないよ。自分の為に私達は頑張るの。守る為に頑張るの。だって自分が一番大切だもん」
雲雀は笑いながら鶯に水筒とハンカチを持たせる。少年の瞳は立ち上がった少女を追い、そこでは青みがかった黒髪が揺れていた。
教師に頑張れと言われたから頑張った。
両親に頑張れと言われたから応えなくてはいけないと思った。
抗えないものに抗いたくて、頑張らなければ自分は許されないと言い聞かせて。
そんな、頑張っていた鶯の呼吸が許される。
頑張る理由が違ったのだと示される。
初めて頑張る意味を教えてくれた雲雀は、鶯の前で軽くステップを踏んだ。
「君、名前は?」
「……椿、鶯」
「あぁ、君が! なるほどね、小梅ちゃんから聞いてたけど、私と同じ鳥の名前だ! いいねいいね! あ、私は棗雲雀だよ! よろしくね」
「よ、ろしく」
鶯は水筒の水を借りて口をゆすぐ。視界に戦闘員を入れないようにして、自分が吐き出したものも無視して。今更ながら吐いて泣いていた姿を少女に見られたことが居た堪れなくなってきた。
それが鶯と雲雀のはじめまして。
鶯は覚束無い足取りで戦闘員を相手にする日々を送り、フォローには雲雀がよく回るようになった。雲雀は鶯より少し早く
彼女は気づけばアテナにも行き、傷を作って帰る姿に鶯は息を呑む日々である。
「棗、また、怪我」
「ふっふーん、こちらは勝利の誉でございます!」
どんなに怪我をしても満面の笑顔でブイサインをする雲雀。鶯は何とも言えない気持ちになりながら、どうして彼女はそこまで頑張れるのか分からなかった。
それでもやはり、燦燦と輝く陽光を浴びれば眠る事に変わりない。鶯は晴天の昼間は布を被っていたが、薄く日が透けるだけで眠ってしまった。
「やぁ、おはよう椿君!」
パナケイアで眠れば仮眠室に運ばれ、起きれば目の前に雲雀がいる。最初は鶯も驚いていたが、今では起きれば雲雀がいると頭に刷り込まれていた。
彼女は鶯が眠っている間に何があったか、楽しげに語った。歩きながら、まるで小劇でも見せるような足取りで。
歩いて跳ねて、まるで太陽のように。
鶯は彼女の様子を見る度に、沈んだ気持ちが薄れていった。
「椿君は怪我するの怖い?」
「怪我、は、もう、別に」
パナケイアの中庭のベンチにて。厚く曇った天気の中、雲雀と鶯は共に居た。毎日嫌というほど眠る鶯は、目を開けても体がだるくて堪らない。
そんな少年の前では雲雀が踊るように歩き続け、鶯はぼんやりと彼女を眺めていた。
「なら、怖いものってある?」
雲雀の問はいつも分からない。要点を掴もうにも鶯の頭は上手く回らず、どうして彼女が自分の傍にいるのかと不思議がる日々だ。
「俺は……大人が怖いよ」
「どうして?」
「俺が眠るのは、俺の意思が弱いからだろって怒るから。頑張れって、言うから。怪我したらなんで怪我したんだって、すごく、問い詰められるし」
鶯の目の前に浮かぶのは暗闇だけ。暗くなって初めて目覚めて、暗がりの中を歩いて、リビングで顔を覆う両親の声を聞く。学校には意識で改善できると注意する教師がいる。サボりだと笑うクラスメイトがいる。
鶯は左手にある印数を強く掻き、サイコロに亀裂が入った。
「俺だって、好きで眠ってるわけじゃない」
雲雀が躍らせていた足を止める。彼女は青みがかった瞳を微かに細めて、緑の毛先を見下ろした。
「誰も、好きでヤマイになってないよ」
震えた鶯の頬を雲雀が撫でて、上を向かせる。
「だから、椿君は何も悪くないんだよ」
優しく手の甲で撫でられた温かさを知った鶯は、泣くのを堪えて目を閉じた。
「ねぇ、椿君」
雲雀の声はよく通る。暗闇の中でも、血なまぐさい中でも。
ぼんやりと感じている鶯は、晴れたように笑う少女を見上げた。
「自分勝手でいようよ。だって私達は生きていたいだけだもん」
雲雀は鶯の布の裾を引っ張った。勢いに負けて立ち上がった少年は、踊るような少女に着いていく。
彼女は楽しそうに笑い、鶯は思わず言葉を零した。
「棗は、なんか、晴れてるな」
「晴れてる?」
小首を傾げた雲雀に、鶯は笑ってしまう。少女は青みがかった両目を丸くさせ、まじまじと少年の顔を覗き込んだ。
「晴れてるってどういうことだろうねー?」
「……俺、晴れてる空なんて、もう暫く見てないんだけどさ」
鶯は雲雀の隣に並ぶ。少年は布のフードを下ろして、厚く曇った天気の下で微笑んだ。
「棗といたら、青空を見てる気分になる」
雲雀はそこで足を止める。一瞬だけ、本当に微かに。
鶯は立ち止まった少女を振り返り、少女はくすぐったそうに口角を上げた。
「それは、嬉しいな!」
雲雀は軽快なスキップをして鶯の布を引く。
歩くことを促された少年は、目の奥が光る錯覚を覚えていた。
青空を見られなくなった自分でも、雲雀がいるならば、と思ってしまいながら。
頑張る理由が見つかり始めたある日、鶯は気づく。
雲雀の様子がおかしいことに。
少女は日に日に顔色を悪くし、歩くだけでは呼吸がままならず、徐々に徐々に走る時間が長くなった。どれだけ肺が痛くても走り始めてしまった。呼吸を求めて足を回した。
それは鶯だけでなく、皇や小梅も初めて見た姿。
青空のように溌剌としていた少女の顔から笑みが消え――白目は黒く反転した。
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