心意と魔法の旅々

作者 一片

作者様の、溢れる「言葉」への愛に敬意を。

  • ★★ Very Good!!

第三話までを読み終えての感想・レビューです!

カクヨムにファンタジー創作は数あれど、しっかりとその世界観を構築できていると言えるものは何割ほどでしょうか?

「ゴリゴリのハイファンタジーを探し求めの皆様、お待たせ致しました」
そう言わんばかりの、しっかりと創り込まれた物語の世界へと、冒頭から誘われます。

あらゆる言葉を駆使して紡がれるストーリーは、一貫して硬質であり、軽いノリのコメディやネタで逃げない姿勢にとても好感を持ちました。(^^)


★こんな人におすすめ★

・世界観が創り込まれたハイファンタジーが読みたい!
・セリフだらけで埋めるんじゃなく、地の文でいかに魅せるかが小説ってもんじゃない?
・じっくり、丁寧に小説を堪能したい気分。


□良かった点
まずは、ファンタジーや架空の世界を舞台とする作品において、必須条件となる『世界観の構築』、これが第一話でしっかりと成されている所が良かったです。
特に、魔法って結構何でも有りになりがちですが、「魔法にもきちんと制約だったり注意すべき点があるよ」というのを、しっかりと説明している点が素晴らしい。ぐっと、世界観に深みが増したかと思います。

また、若干十二歳の少女と、彼女と一緒に暮らす孤児院の子供たちがメインキャラクターですが、その年頃の前向きさや無謀さ、また現実に直面した時に怖気付いてしまって、そこで初めて自分には覚悟が足りなかったことを知る…といった、リアルな感情表現も、本作への没入感や臨場感を高めています。

そして何より、独特の言葉回しがカッコいい!やっぱり硬派な小説には、語彙力が必要になってきますね。(^^)
作品の雰囲気を、地の文の表現一つ一つから丁寧に作り上げていこうという、作者様の熱い思いが伝わってくるようでした。


■気になった点
作者様の特徴は、やはりその語彙を駆使した独特かつ硬質な文体にあるかと思います。
ですが、随所で「これは作者の意図した意味で本当に使われているのか?」「これはあえて間違った漢字を当て字にしているのか?」と疑問を抱く所が多々あり、そうした小さな違和感につまづく度、物語の世界から一気に引き戻されてしまいます。

例えば第一話で言うと、
「盲いた目を釘付けにして止まず」
→盲いた目とはつまり盲目ですが、その目がなぜ釘付けに??
「立ち込めていた臭いが鼻孔を捻じ曲げた」
→鼻孔は鼻の穴なので、表現としては「鼻が曲がる」or「鼻孔をくすぐる」
「尻餅を撞く」
→撞くという漢字は突くと同じで、「尖ったものを勢いよく当てる」という意味になり、この場合は搗くが正しい漢字です。
「心の裁判長に終身刑を言い渡されていた向日葵は、懐裡の檻で永劫に覚めぬ眠りについておくべきだった」
→これは、どういう意味なのか分かりませんでした…。

あえて今回このような指摘を書いたのは、先述の通り、この文体こそが作者様の特徴であるからに他なりません。
この語彙力や文章表現を売りとするならば、「言葉の使い方」にはかなりの気を使う必要があると思います。(特に、非常用漢字や日常生活で目にすることのない表現を多用するならば)

加えて申し上げると、若干十二歳の子どもの一人称視点であるにも関わらず、これだけ難解な表現が多用されていることに、そもそも違和感を覚えました…。
一人称視点では、地の文からもキャラクターが形成されていくため、「モコは普段、『蛇蝎視』という言葉を使うような子なのか?」と疑問に思った後、モコが「簡単な本なら読めるようになっている」程度ということが分かり、少し混乱しました。(>_<)


設定やストーリーそのものが面白いだけに、「もったいない…!」という思いが強く、つい気になる点が長くなってしまいました…。🙇‍♂️

先述の通り、ストーリーの面白さは疑いようがありませんので、引き続き最後まで読ませていただこうと思います!😊

これからも応援しております!

以上、水無月トニーでした。

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