-11.担任はご機嫌斜め
会社に着くとやはり、担任の春日先生が来ていた。
「おぉ。玉田。お邪魔してるぞ。それにしても景色のいい部屋だな。お前株で儲けてるんだって?うらやましい話だな。それはともかく、ここに集まっているメンバー、今学校で噂になってるぞ。」
「え?どんなうわさですか?」
「今回の中間テスト、ここにいる奴ら全員満点だった。全教科。」
それを聞いていたみんなはワーッと喜びの声を上げた。
「みんなで勉強しましたからね。」
「そういう問題か?カンニングをうわさされてるぞ。」
「いやいやいや。無理でしょ。」
「まあ、あくまで勘繰られてるって程度だけどな。それにしてもみんな頭がいいんだな。会社も興すなんて。それも高1で。」
俺はにこにこと聞き流していた。
この先生何が言いたいんだろ?
「お前は一体何なんだ?何か隠してることがあるんじゃないか?」
「う~ん。もしたとえあったとしても、それを今先生に言う必要がありますか?」
「言え。私が気になる。」
「そうはいっても無理ですね。俺の秘密知ったら先生が先生やめなきゃいけなくなるかもしれないですよ?」
「…何か犯罪か?」
「いえいえ。犯罪なんかしてませんよ。きわめて合法的です。」
「合法的なんかの言葉が出るってことは一度は犯罪を考えた証拠じゃねえか。」
おぉ。この先生結構頭いい。
「まあ、ご想像にお任せします。」
「あのテストはカンニングじゃないんだな。」
「どの先生がカンニングだといってるんですか?」
「教頭だ。」
「いやいや。教頭は担任も持っていなけりゃ、試験監督もしてないでしょ?試験監督していた先生からそのような様子が見られたと報告がありましたか?」
「いや。ないな。私も含めてお前たちの試験を受けている様子に異常はなかった。」
「それならいいじゃないですか。」
「それが教頭がこんな満点なんて点が取れるわけがない。一人ずつ面接して白状させるようにってな。私のとこに言ってきてるんだよ。」
なんて教頭だ。
「まあ、学生時代頭が悪かったであろう教頭先生がどれだけ嫉妬していようと、俺たちは自分で問題を解きました。これが答えです。」
「お前それ教頭の前で行ってみろよ。」
「いやですよ。にこにこと良い生徒でいますから。」
俺はふと思いついた。
「じゃあ、先生。俺たち全員ある特殊な勉強方法で、すでに高校を卒業するレベルの学問はすべて習得してるって言ったら信じてくれますか?」
「何?それは本当なのか?」
「はい。本当です。」
「その勉強方法を教えろ。」
「いやですよ。そんなの俺に何のメリットもないじゃないですか。それにいいんですか?そんなことが本当にあったら、先生たちがいらなくなるんですけど。」
「私が首になったらお前に雇ってもらう。私はこう見えて英語はペラペラだし、海外留学もして海外生活経験もあるぞ。」
「う~ん。あんまりメリットないんですよね。俺たち全員英語とスペイン語とフランス語とあと数か国の言葉はしゃべれますよ。」
春日先生はびっくりしている。
「そうだ先生。俺たちが嘘ついていないってことを証明する方法がありますよ。今度の期末考査までに5月の終わりかな。それぐらいに大学受験模擬テストがあるじゃないですか?そこで好成績が取れれば信用できますよね。」
「え?お前たちまだ高1だぞ。そんな試験受けれるのか?」
「はい。さっきも言ったようにもう高校の勉強は終わってますから。」
「よし、わかった。その話を教頭にしておこう。お前たちも変な疑いを掛けられていやだろうが、前例のないことにはムキになって反応する人間がいるんだよ。それならお前たち自身の実力を示せるし、全国共通模試の試験会場では監視官も大勢入ってるしな。実力を試すにはもってこいだな。」
「じゃあ、俺たち9人の受験申し込みをしてもらっていいですか?学校から申し込めば結果が学校に来るでしょうから。」
それを聞いていた美香がはい!と手を挙げた。
「その試験、私も受けたい。」
これには全員が驚いた。
その後、妹の美香も受験できることがわかり、春日先生が申し込んでおいてくれることになった。試験一人当たり6,000円程の試験費用を10人分先生に預かってもらい、申し込みをしてもらうことになった。
英語・国語・数学・理科(物理、化学、生物)・地歴公民(日本史、世界史、政治・経済、地理)それぞれが二日にわたって予備校で行われ、それぞれ100点満点10教科で1,000点満点である。
ちなみに現在(2020年)の高校での授業科目は次のとおりである。
国語(国語総合・国語表現・現代文A・現代文B・古典A・古典B)
地理歴史(公民と合わせて昔の社会)
(世界史A・世界史B・日本史A・日本史B・地理A・地理B)
公民(現代社会・倫理・政治-経済)
数学(数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学Ⅲ・数学A・数学B・数学活用)
理科(科学と人間生活・物理基礎・物理・化学基礎・化学・生物基礎・生物・地学基礎・地学・理科課題研究)
つまり、一年では1/3どころか1/4ほどしか授業を受けることはない。
まして一学期の初めの中間テスト後ではその1/3の半分。
高校生活で受ける授業の1/24しかまだ受けていないのだ。
その時点で大学受験の模擬試験を受けるというのは大ぼら吹きと取られてもおかしくない。まして、妹の美香が受けるとなると…。
先生は笑いないながら帰っていった。
母さんが
「あんなこと言っていいの?美香まで受けるって言っちゃって。」
「あ、しまったな。母さんたちも受けるって言えばよかった。」
俺たちは爆笑した。
「本当にそうよね。うん。いいアイデアだと思うよ。明日追加でお金払って、母さんたちも一緒に試験受けてみようよ。多分相当自信がつくと思うよ。」
と、しおりも言い出した。
確かにそうだよな。
「いいな。よし。明日9人追加しておくね。母さんたち8/30,31は大学入試の模擬試験だからね。」
俺たちは大笑いした。
「でもこれで全員満点に近かったら、教頭どうするんだろ?」
「あの禿げ頭下げて教えを乞うなんてことはないと思うよ。」
「むしろそこまで高得点だと、その模擬試験を実施した予備校が黙ってないと思うよ。」
「だな。お母さんたちにもスカウト来るかも。」
俺たちはひとしきり笑った。
どんな展開になっても困ることはないだろう。
まあ、みんなで気楽に受けてみよう。
俺たちは早急にやらなきゃいけないことだけ済ませて今日は家に帰るつもりだ。
2日間家開けてるからね。
それぞれが家のこともしないとね。
俺たちは日曜日はそれぞれ過ごすことにして、また来週の月曜日学校で会うことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます