第66話 中間テストのテスト範囲の発表

 10月19日の月曜日。今日は朝からすごく雨が降りそうな曇りです。とは言え、予報では傘マークがなかったので、それを信じてパレットは雨具なしで登校しました。教室に着くと何だかクラスメイト達がザワザワしています。その謎の緊張感が分からないまま、パレットは席に付きました。

 すると、そこにニッコニコのミッチーがやってきます。


「パレチー、無限列車編観た?」

「え? まだだよ。もしかしてミッチー観たの?」

「うん、すっごかった!」


 どうやらミッチーは映画の鬼滅の刃を観たようです。その満足そうな顔からも映画のクオリティが見て取れるようでした。ですが、パレットはこの映画をまだ観ていません。いつも話題作は一緒に観ていたのもあって、彼女は裏切られたと言う気持ちに満たされます。


「嘘ーッ! 何で先に観ちゃうのー!」

「ごめんて。土曜の夜にいきなり父さんが明日映画観ようて言ったもんだから。流石にそれにパレチーは誘えんでしょ」

「それは……うん」

「今度一緒に観に行こ。中間テストが終わったら」


 この時、ミッチーの口から出た言葉にパレットは一瞬時間が止まります。


「中間……テスト?」

「そうだよ。今日範囲が発表されるじゃん」

「うへえええ」


 この時まで頭の中にテストのテの字もなかったパレットは、いきなり鈍器で頭を強く殴られたような初撃を受けます。そうして、頭を両手で押さえてふさぎ込みました。


「どうしよう、何もやってない」

「今からテスト勉強すればいいじゃん。間に合うって」

「あはは、そうだよね」

「テストはテスト期間中に頑張るもの! ファイトだよ!」


 ミッチーに励ませられたパレットは気を取り直します。そうして、改めてこの教室のざわめきの理由も分かったのでした。みんなテストに向けて騒然としていたのです。真面目なクラスですね。

 いざ心がテストモードになると、パレットの目からはクラスメイトの誰もが自分より賢く見えてきます。


「うう……色々とヤバい。勉強しなくちゃだなぁ」


 その後、先生から中間テストの範囲が発表されます。パレットは改めて教科書を眺め、絶望に似たため息を吐き出したのでした。


 結局その日から部活はお休みで、視聴覚室にも鍵がかかったまま。ただ、予報通りに雨は降らず、青空の見える天気になります。パレット達は傘をささずに帰る事が出来たのですが、中間テストの事を考えるとパレットは気が重くなるばかりなのでした。

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