第6話 わたしはあなたを守りたい
「はうあぁっっっっ!?」
、と自分でもよく分からない雄叫びをあげること数十秒。右隣には赤城さん、左隣には花梨がおり、上を見れば見慣れない天井があった。
「ココハドコ?ワタシハダレ?」
「ここは保健室。そしてあんたは舞。高坂舞。ったく、急に倒れるから心配したんだよ?」
「か…りん?そうだ私花梨に…」
告白された…と言いかけて止める。顔が赤くなり口をパクパクしている私を見て、花梨は口角をあげた。
「なになに?急に意識して。もう一度言おうか?す…」
「ちょっと吉川さん、そう何度も言わなくて結構よ。それに高坂さんは今目を覚ましたばかりなんだから」
た、助かった。まさか赤城さんに助けられる日がくるとは…。ていうか
「あれ?宇城くんは?なんか倒れる直前に宇城くんの声を聞いた気がしたんだけど」
「ああ。宇城くんなら追い払っておいたわよ。あんな穢れた手で高坂さんに触ろうとするなんて、何を考えているのかしらね」
おい、何してくれてんだよ。でもまあそうなると2人が運んでくれたというわけで…
「あの…ありがとう」
「あら、随分と冷静なのね」
「いや、うん。2回目だからね」
人というのは本当に驚いた場合以外と冷静になれるものらしい。私はチラリと花梨を見ると花梨は苦笑した。
「別に好きだからどうこうってわけじゃないよ。変に意識されるより、いつも通りに接してくれた方が嬉しいな、私は」
「あら、以外ね」
「あんたには負けないから」
そんなこんなで、私は保健室を後にした。
放課後。私はお弁当箱を受け取りに宇城くんの元へ行っていた。だが、心はなんだかモヤモヤしていて宇城くんに会う気分ではなかった。理由は明白。花梨のことである。
花梨は私の幼馴染で、昔からずっと一緒で、確かに私に関しては少し過保護な面はあったけどでも好きとかそういう素振りは1度も…。
ぐるぐる頭を悩ませていると、待ち合わせの教室についてしまった。時間より大分早くついてしまったけど待ちながら花梨のことを考えよう。赤城さんはもう知らん。
「で、高坂舞がほんとにうざいんだけど」
瞬間、咄嗟に隣の教室に入った。
あっぶな…。今教室入ったら完全に終わってたわ。てか悪口じゃん、私の…。ふざけんなよ。
とりあえず相手だけ確認して30分くらいしたらまた来ようと思い少しだけ教室を覗く。
幸い相手は遠くの方にいて私のことは見えなかった。
相手は男子2人組か。てあれ?あいつどっかで…てかさっき聞いたあの声…
「こんな弁当いらねーつっの」
目を見開く。
いや、まさか。そんなはずはない。
そこには、
私があげた弁当片手に皮肉な顔で嘲笑う
宇城昴の姿があった。
「マジ気持ち悪い」
ガンッと、弁当が投げられる。弁当は壁に当たってそのままゴミ箱へと入っていった。
「いいのかよ?それ、返すやつだろー?」
「別に。ちょっと落としたとか言っとけばいけるだろ」
「ハハwおまえ性格悪いよなー」
「言ってろ」
フラフラする。立っていられない。
私はそのまま床にズルズルと座りこんだ。
「てか、ちょっと優しくしただけであれとか普通に馬鹿じゃねぇの?」
「それな。てかおまえ、弁当食ってんの?」
「食うわけねぇじゃん、気持ち悪い。今日も捨てた」
「wだよなー」
聞きたくない。今すぐこの場から消えたい。そう思うのに、足は床に吸い付いたまま動いてくれなかった。
泣きそうになった、その時だった。
「それはどういうことかしら」
そこには、
平静なふうを装っていながらも黒いオーラを発する赤城さんと、
今まで見たこともない不機嫌な顔をした親友、花梨がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます